歯ブラシをお口に入れた時や歯科医院でお口の中を触られた時、嗚咽がしたり気分が悪くなったりした経験はありますか？歯みがきのたびにえずいてしまっては歯みがきが嫌になり、次第に歯みがきをしなくなったり、きれいに磨けないまま終わりにしてしまったりする恐れがあり、その結果、むし歯や歯周病を引き起こしてしまうでしょう。

歯みがきや歯科治療はとても大切なことで、えずいてしまうからといって、ケアや処置をしないわけにはいきません。どうにかして直したい、この現象…。原因や対処方法を解説します。

「オエッ」となる現象の正体

歯みがきや歯科治療でえずいてしまう現象は、子供や妊婦さんをはじめ、どんな人にも起こりうることです。この現象は「嘔吐反射」と呼ばれるもので、その症状の度合いには個人差があります。ほとんどの人が、のどの奥にものが触れると嘔吐反射が起こりますが、敏感な人はお口にものが入っただけで、えずいてしまうのです。

えずいてしまう要因は心理的な影響が大きく、のどを詰まらせた経験やお口の中にものを入れた時にえずいてしまった経験がトラウマとなることが多いと考えられています。歯ブラシがのどの奥に届いてしまうように感じたり、お口の中の異物が入っているように感じたりすることで、嘔吐反射が起こるのです。

歯をみがく時にえずくのを防ぐ方法

舌に触れない

えずいてしまうポイントのひとつが舌の奥です。舌に触れると嘔吐反射が起こりやすいため、そうならないためにも、歯をみがく時は舌に触れないように注意しましょう。

また、お口を清潔に保つためには舌みがきも大切ですが、嘔吐反射が起きやすい人はとても辛く感じることでしょう。そこで、舌みがきをする時には声を出しながら行うと嘔吐反射が起きにくいといわれています。

アゴを引く

のどの奥に歯ブラシが近づいているのを感じることで、えずいてしまうケースの場合、軽くアゴを引き、下を向いて歯をみがくと、のどの奥に歯ブラシが近づいている不快感を覚えにくくなります。また、歯みがき中にのどに唾液が溜まると、吐き気を催すことがありますが、アゴを引き、下を向くことで、唾液がのどに流れ込みにくくなるのです。

歯みがきの方法に注意

歯ブラシを前後に動かすと、のどに触れやすく嘔吐反射が起きやすくなります。のどの奥や舌に触れそうな部分をみがく時には、小さな動きで縦向きに動かすとよいでしょう。また、お口の中の異物感を最小限に抑えるために、力を入れずにみがくことも効果的です。

歯みがき粉を使わない

香りやフレーバーが強い歯みがき粉や泡立ちやすい歯みがき粉は、お口の中の異物感を増長させるため、えずきやすくなります。無香料の歯みがき粉や発泡剤不使用のジェル歯みがきの使用、もしくはお水のみでの歯みがきを試すといいでしょう。

ヘッドの小さい歯ブラシを使用する

ヘッドの大きな歯ブラシは、お口に入れた時の異物感を感じやすく舌に触れやすいという点から、えずいてしまう人にはおすすめできません。Sサイズや子供サイズの歯ブラシなど、ヘッドの小さい歯ブラシを選びましょう。

ながらみがきをする

お口の中の不快感を紛らわすために、お風呂に入りながらやテレビを見ながらの「ながらみがき」でリラックスすると、えずくことなく歯みがきができることもあります。

歯科治療でえずいてしまう人は…

嘔吐反射が軽度の場合

嘔吐反射の症状が強く出てしまうと、歯科治療を受けることが困難な場合があります。だからといって歯科治療を受けないわけにはいきません。安心して歯科治療を受けるために、あらかじめ嘔吐反射が出やすいことを治療前に申し出るようにしましょう。

治療を受けている最中は、深呼吸をして気持ちを落ち着かせたり、鼻からゆっくり呼吸をしたりします。口呼吸をするとお口の中の異物感を強く感じてしまいます。治療中には別のことに意識を向けるのもおすすめです。

嘔吐反射が強く出る人の場合

笑気麻酔
前述の方法を試しても嘔吐反射に耐えきれない人もいるでしょう。そんな時は、鎮静剤や麻酔薬を用いて、意識を遠ざけて治療をすることができます。例えば「笑気麻酔」は亜酸化窒素というガスを鼻から吸いながら治療を行う方法です。リラックスした状態で歯科治療を受けられるので、嘔吐反射が出にくくなります。

静脈鎮静法
笑気麻酔でも歯科治療が難しい人は「静脈鎮静法」で治療を行います。これは、点滴を使って麻酔を入れる方法になります。ただし、静脈鎮静法ができるのは、口腔外科麻酔の専門家がいる歯科医院のみです。

また。嘔吐反射が強いという理由で鎮静剤や麻酔を使用する場合、自費診療になるため、費用は歯科医院によって異なります。しかし、このような手段をとることで、えずいてしまって辛い人でも楽に治療を受けることができます。

こんな病気に注意！

歯みがきや歯科治療でえずいてしまう人の中には、何らかの病気が原因というケースもあります。特に、これまで一切歯みがきや歯科治療でえずくことがなかったのに、急に症状が出てきた時は注意が必要です。自律神経の不調や薬や化学物質による化学物質過敏症、逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍などの胃腸の病気が原因でえずいてしまうこともあるので、病院で検査を受けることをおすすめします。

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筆者：seeker編集部