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2023/06/20
舌炎と舌癌、その違いは?正しく見極め早期発見に繋げよう
口の中や舌に炎症ができると、「口内炎ができた」と考える人も多いのではないでしょうか。実際に、口内炎を含む「舌炎」であるケースが多いようですが、稀に口腔癌の一つである「舌癌」の初期症状である可能性も考えられます。 今回は舌炎と舌癌の違いや、見極め方について詳しく解説していきます。
舌炎の特徴
舌炎とは舌に生じる炎症の総称で、舌の表面が炎症を起こしている状態を指します。まずは舌炎の原因や症状、治るまでにかかる時間についてみていきましょう。
舌炎の原因
不規則な生活やストレスにより免疫力が低下すると、舌炎になることがあります。ビタミン不足などによる栄養の偏りや、喫煙の習慣も舌炎を引き起こす原因の一つです。 また、誤って舌を噛んでしまったり、尖った歯や入れ歯、矯正器具などによる物理的な刺激が加わったりすることでも舌炎が引き起こされる可能性があります。 そのほかに、口腔内で繁殖した雑菌やウイルス、口腔アレルギーなどが原因で舌炎を発症することもあります。
舌炎の症状
舌炎を発症すると、舌の表面が赤く腫れ、外部の刺激に対して痛みを強く感じることがあります。症状によっては舌の表面がつるつるとした状態になり、火傷をしたときのようにヒリヒリとしたり、熱をもった状態になったりすることもあるようです。 また、塩気の強いものや味の濃いものを食べたり飲んだりすると、舌の表面にしみてしまうこともあります。
舌炎が治るまでにかかる時間
舌炎は通常1週間~2週間程度で徐々に小さくなり、自然に治ります。
舌癌の特徴
口の中にできる癌を総じて「口腔癌」と言います。中でも、口を大きく開けたときに見える舌の範囲に生じた癌が「舌癌」です。ここからは舌癌の原因や症状、治るまでにかかる時間についてお伝えします。
舌癌の原因
舌癌のはっきりとした原因は明らかになっていません。 しかし、喫煙や飲酒の習慣がある人は舌癌を発症するリスクが高いと考えられています。また、合わない被せ物・詰め物、ずれた嚙み合わせ、虫歯などにより長期間にわたり舌への刺激が加わることも、舌癌を発症する要因の一つと言われています。
舌癌の症状
舌癌は初期の段階では痛みがなかったり、触ってもわからなかったりするため、歯科医院で偶然発見されることも少なくありません。 舌癌が進行してくると、口内炎のようなものの周囲が硬くなったり、大きく広がり潰瘍になったりして、出血や悪臭、持続する痛みを生じるようになります。 さらに進行すると、癌が首のリンパ節に転移し、しこりが触れるようになります。
舌癌が治るまでにかかる時間
舌癌は2週間以上経過しても症状が改善されず、自然に治ることはありません。
舌炎と舌癌の違い
舌炎と初期の舌癌は症状が似ており、見極めるのは難しいです。とはいえ、以下のような点で違いが見られることもあります。
ひとつずつ紹介します。
痛み
舌炎は、何もしなくても痛みがあったり、何かに触れたときに痛みを感じたりしやすいです。一方、舌癌は進行が進み、大きくならないと痛みが出ないことが多いです。
しこり
舌炎の場合、しこりは感じません。一方、舌癌の場合は、触ると硬く感じることがあります。早期の段階では厚みを感じることもあるでしょう。
色や境目
舌炎の場合、色は灰白色、境目は赤い縁取りで明瞭です。一方、舌癌は白色や赤色が混在し、境目も不明瞭なことが多いようです。
治るまでにかかる時間
先述の通り、舌炎は長くても2週間程度で自然に治ることが多いです。2週間で治らない場合でも、炎症部分が小さくなったり、形に変化が見られたりします。 一方、舌癌は自然に小さくなることはなく、2週間以上症状が続きます。
医療機関を受診する目安
医療機関を受診する目安は以下の通りです。
舌炎か舌癌かわからない症状が続いている場合は、早めに医療機関に行って診察を受けるようにしましょう。
▶口腔がんの詳細や医療機関の受診についてはこちらの記事をご覧ください。 口腔がん、どのような時に歯医者さんに行けば良いのか
早期発見・早期治療が大事
舌癌は、早期発見・早期治療によって治る可能性がある病気です。消化器官の癌などと違い、舌癌は舌のセルフチェックを行うことで、比較的早期に発見できることが多いとされています。 しかし、早い段階から転移したり、急速に進行したりする場合もあります。また発見が遅れるほど治療が難しくなったり、再発するリスクが高くなったりするため、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診するのがおすすめです。
(seeker編集部)