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【歯科医師インタビュー】QOLに直結するからこそ、今、知っておいて欲しい 進化し続ける“義歯”の話 ~Part1~

インタビュー>有床義歯

2021/07/08

有床義歯 入れ歯 全部床義歯 部分床義歯

“義歯”いわゆる入れ歯ってどんなイメージをお持ちでしょうか。「高齢の方がしているイメージで」「喋りにくそうだし噛みにくそう」「何より見た目があまり・・・・」等、正直、負の印象が強いのではないでしょうか。義歯といえども、治療方法も種類や内容もさまざま。そして、誰が治療するかによって仕上がりに大きな差が出るのも事実。義歯は歯科治療の中でも食事や会話などQOLへの影響がとても大きく、健康で楽しく生きていくのに重要な要素なのです。



今回は歯科医師としてだけではなく、義歯の研究に長く携わりセミナーや書籍などで多数指導されている、医療法人社団ハイライフ大阪梅田歯科医院の院長で、『ハイライフデンチャーアカデミー』で学術統括責任者も務める松田謙一先生に、そもそもの義歯とは何?のキホンから、最新治療、そしてクリニック選びまでを詳しくお伺いさせていただきました。



本日は、よろしくお願いします。まず初めに松田先生の人となりを教えてください。大学病院で培った技術と知識を活かして、現在は多くの歯科医師の方にも指導されておりますが、どのような経緯で歯科医師になられたのでしょうか。

大した理由がないのが正直なところでして(笑)。曽祖父から歯科医師で、祖父の代から心斎橋で開業しており、幼い頃からずっと後継ぎだと言われていたので、私自身が歯科医師になるのは何の疑問もなく当然だと思っていました。もちろん歯科医師は悪い仕事ではないとは思っていましたし、学生時代もずっと迷うことがなく歯学部一本だったので、進路面談は周りがびっくりするぐらい毎度すぐに終わっていました(笑)。



父親の診療現場に行くことはあまりなかったのですが、仕事として社会のため、患者さんのためになるやりがいを十分に聞いていたので、ごくごく当たり前に歯科医師を目指しました。どちらかというと歯科医師になってからの方が、自分の意志でその先の道を考えるようになってきたかと思います。



そうなのですね。当たり前に目指していたといっても、お祖父様、お父様の背中を見ながら歯科医師の仕事に魅力をずっと感じていたのですね。歯科でも義歯を専門にされている経緯は?そもそも義歯はどんな種類があるのですか?

大阪大学歯学部にある講座には、クラウンブリッジを専門にする第一補綴科有床義歯(歯が抜けたり欠けたりした際に、歯を補う人工の歯のこと)を専門にする">第二補綴科に分かれています。(現在は講座名は変わっています。)



義歯って大きくは、総入れ歯という言われる全て入れ歯になる『全部床義歯(ぜんぶしょうぎし)』と一部の入れ歯になる『部分床義歯(ぶぶんしょうぎし)』の2つに分かれます。第二補綴科では全部床義歯と部分床義歯の臨床と教育をおこなっています。また、全部床義歯と部分床義歯は必要な知識が大きく違うため、それぞれをきちんと知った方がいいのですが、どちらも徐々に教育や実習にかける時間が少なくなっているのが現状です。



総入れ歯なのか、部分的な入れ歯なのかによって、学ぶべき知識がそんなにも違うのですね。松田先生が修復や歯周治療でもなく、補綴治療(※)、有床義歯を専門分野として選んだ理由はどのような背景なのですか?

歯学生の時は全然真面目ではなかったので、毎日定時に帰ることばかり考えていました(笑)。ただある程度、手先は器用だったこともあり実習の評価は高かったんです。卒業が近づくと大学院のどこの科に残るのか決めることになるのですが、興味があったのが歯周病と高齢者の義歯で、お誘いも受けていました。これから高齢化が進んでいく背景から義歯も勉強しておこうかなというぐらいの気持ちで、義歯科の大学院に行きました。



卒業してすぐ働くか、大学院に行くのか選択肢があるのですが、働くのは父の医院もあるのであまり焦りはなかったので大学院に残ることにしたんです。

※補綴(ほてつ):歯が欠けたり無くなった場合に被せ物(クラウン)や入れ歯などの人工物で補うことを指す。


その当時で早くも高齢化に着目したのは素晴らしいですね。大学院に入ってから、この義歯というものにのめり込んで行ったのはどういった経緯なのですか?

やりがいとしてとても大きなものがありました。多くの場合、歯科治療は患者さんは歯が痛くて来られて、治療して喜んで帰っていくようないわゆる除痛が主だと思います。一方、義歯は食べられない、飲み込めされない、話せない、など患者さんの身体の『機能』に直結していることなので重要性がとても高いのです。

いわゆるQOLの低下に対してアプローチするものなんです。


その分責任もとても大きいですが、「先生が治療してくれた歯が命の次に大事」と言ってもらえるぐらい患者さんに非常に感謝されることが何よりも嬉しいんですよね。特に高齢者の方は食べることが楽しみの一つだったりするので、貢献度が高い治療だと感じています。



貢献度が高く今後さらにニーズが高まると思われますが、今、義歯を学ぶのは結構難しいのでしょうか?

義歯の教育は非常に難しいのが現状ですね。大学の中で義歯の教育が行われていますが、以前は実際の患者さんのケースを、学生自身で実際に技工(入れ歯を作る)までして治療していました。しかし現在は難しくなり、臨床実習で上下総義歯の患者さんをたまたま受け持ったとしても、技工までしないで卒業することも多いです。そもそも上下総義歯の患者さんを受け持つこともなくなってきているので、教育の難易度が本当に上がっています。



義歯治療はある程度経験を積んでから自身の治療の良し悪しがわかるようになるので、歯科医師になってから困る先生も多く、実際に開業医の方は義歯でお困りの場合が多いんです。私自身も義歯の教育を大学外の先生に向けて行うようになってから、この課題に気づき始めたんです。



ちなみに具体的にはどんなきっかけで義歯の教育現場の課題に気づかれたのでしょうか?

大学にいた時に、義歯で有名な前田芳信教授のかばん持ちで仕事のお手伝いするようになりました。義歯の治療によって患者さんからはもちろん感謝されるのですが、義歯のノウハウを教えに行った先で、歯科医師の先生からも感謝されることも非常に大きなやりがいを感じました。中でもある程度経験があり、実際に義歯治療で困っている歯科医師さん向けにお話するととても喜ばれます。
世の中で義歯のニーズがより求められるにも関わらず、学び、実践する機会が少なく、臨床の場で苦労されている現実を目の当たりにして、治療だけではなく教育にも本格的に進もうと思うようになりました。



正直なところ義歯は結構、難易度の高いことしているんですね。特に義歯の中でも、総入れ歯は無の空間に大きく歯を作るという難しさがあります。義歯で食事をするということは、口の中の粘膜の厚みは数ミリ、その下に固い骨があり、そこにプラスチックの物を上下につけているという状況だといえます。つまり、元々かなり高度なことを口の中で機能させないといけないという。



歯科医師も患者さんも最初はそこまで難しく考えていないことも多く、あとで苦労するケースも。私は治療に際して、患者さんにきちんと説明をして、日常生活でも義歯を上手に使いこなせるような状態までフォローやサポートすることが大事だと考えています。



 〜Part2<後編>に続く〜







■取材した方
ハイライフデンチャーアカデミー 学術統括責任者
医療法人社団ハイライフ 大阪梅田歯科医院 院長
歯科医師・歯学博士
松田 謙一氏

大阪大学歯学部卒業後、同学有床義歯補綴科にて大学院を修了し、同講座にて教員として有床義歯の臨床、研究、教育に長く携わってきた。その後、有床義歯分野の卒後教育に取り組んでおり、雑誌での連載記事や書籍の執筆、セミナーなども多数行なっている。

日本補綴歯科医学会 代議員/専門医/指導医
日本老年歯科医学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
IADR (International Association for Dental Research)
ICP (International College of Pr



・大阪梅田歯科医院
https://seeker-dental.com/dent/21181

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