1. トップ  > 
  2. コラム一覧  > 
  3. インタビュー>歯内治療 > 
  4. 【歯科医師インタビュー】なるべく抜かない、根の治療知っていますか? 歯を長生きさせる『歯内(しない)療法』の最新事情 ~Part2 ~

インタビュー>歯内治療

2021/05/21

【歯科医師インタビュー】なるべく抜かない、根の治療知っていますか? 歯を長生きさせる『歯内(しない)療法』の最新事情 ~Part2 ~

今回は歯内療法を専門に,歯を抜かない治療をモットーにされている、『マーレ日本橋デンタルクリニック』の川島先生に根の治療のキホンから、歯科医院選びまでを教えていただくインタビューの第2弾。 今日からすぐに使える歯科医院選びでおさえておくポイントから自宅ケア、さらに根管治療の今後についてお話をお伺いしました。


歯科医院選びのポイント

ーーーいいクリニックでいい先生に出会うことが何よりも大切だと思いますが、歯科選びでおさえておくポイントを教えていただけますでしょうか。


最近は前に通っていたクリニックの説明が分かりにくかった、不安になることを口にされた、治療もなかなか完治しなかった…と感じられて、当院にいらっしゃる方も多いです。私は患者さんのお話をじっくり聞くようにしているので、特にこのようなリアルな声を耳にします。

大事なのはご自身が納得できる治療方針を選べて話をしっかり聞いてくれるかどうかだと思います。日本では、一般的な医院でも技術は比較的高いので、一番はクリニックや先生との相性と自分自身が納得できるかどうか。たとえその治療が保険でも自費であっても患者さんが選ぶものが最終的なベストになるので、押し付けるのではなく必ず選択してもらうようにしています。

うちにはセカンドオピニオンで相談に来られる方も多いです。この間は1件目のクリニックで虫歯が10本、2件目で0本といわれて、3件目の当院で混乱してきた方がいました。ええ!?って、感じですよね(笑)。私の診断では実際は治療が必要な歯は2本のみでした。でもこれは歯科医師からすると理解できることでして、学問的な虫歯とそうでないものが存在しているということと、10本と伝えたクリニックは虫歯ではないが詰め物を取り換えたほうがいいというのを虫歯と説明してしまっていたのだろうなと思いました。



ベストな歯科医院選び

ーーーなるほど。虫歯が10本ってぞっとしますものね。きっとその患者さんもご不安だったでしょう。後はよく歯が痛くて治療に行ったら、すぐに歯を削られてびっくりしたという話も聞きます。事前に治療内容や方針に納得して治療できるかどうかは歯科選びでとても大事なポイントですよね。


そうですね。歯科医師側からすると「主訴」、つまり今一番訴えていらっしゃる症状に対しては、その日に手をつけてどうにかしなければ…それが患者さんが望んでいる事だというマインドになりやすいので、そうなってしまうのも分かるんです。

ただ患者さん自身が安心できるかどうかが今後の治療においても大切だったりするので、初診料やレントゲンの料金がかかってしまっても、まずカウンセリングや事前相談に行って、クリニックの雰囲気を見てから、ベストなクリニックを選んでいただきたいと思っています。




大事な自宅でのセルフケア

ーーークリニックでの治療と合わせて大事なのが自宅でのケアだと思いますが、どのようなことがおすすめでしょうか。


自宅でのケア、虫歯予防はとにかく大切です。歯磨きだけではなくぜひフロスも使ってほしいです。 歯と歯の隣接面の汚れは歯磨きだけではなかなか取れないのです。フロスを通すだけでも仕上がりが大分変わるので合わせてケアしてみてください。難しそうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、慣れればフロスの方が簡単だったりもしますしね。



今の歯内治療について

ーーーありがとうございます。この先の歯科治療という大きなお話になるのですが、先生が研修医だったころと今、歯内治療はどのように変わってきていますか。


根管治療は歯の中で、目では直接見えない部分の治療になるので、私が学生だった頃は、職人芸のようなイメージでした。
でも今では根管形成のロータリーファイルも手でやるものではなく、画一化された電動のものが出てきています。誰がやってもある程度は上手にできるような「ツール」を先人の先生たちが開発してくれて、良い歯内治療が実現できる世界になってきています。

ただ基本のスタンダードは昔から変わらないものだと思っていて、顕微鏡も道具もない時代でもしっかり治している先生はいらっしゃいます。カリエス(虫歯)がちゃんと取れているのか?古い材料のとりのこしはないか?洗浄できているのか?というポイントをおさえて+αで機材(顕微鏡)があれば、成功率もあがります。



歯内(根管)治療にといて保険適用と自費診療の違い

ーーー技術の進歩によって治療はある一定レベルは再現できるようになっているものの、根管治療のスタンダードな部分は変わらず丁寧な治療ができているかどうかなのですね。皆さん、根管治療において保険と自費の治療で何が違うのか知りたいと思うのですが、どのようなことなのですか。


当院は必要な処置によって患者さんと相談し、自費の材料や処置を選ぶことができます。完全に自費で提供する医院だと数万円~数10万円の料金がかかるケースもありますね。

自費治療の価値としては、使用している最新の道具や機器であったり、医師の膨大な知識と技術がそこに含まれています。最新のツールが出てきて、比較的昔よりは誰でも一定のクオリティで治療が出来るようになったとはいえ、知識や技術はその先生によって違いますからね。ただ逆に言えば、保険治療であってもちゃんと知識や技術をアップデートしている先生であれば問題ありません。



お子さん、ママ、マタニティの患者さんが増えている背景

ーーー少し話しが戻りますが、川島先生は根管治療をベースにしつつも、実際にはクリニックにいらっしゃる患者さんが、お子さんやママ、マタニティの方が増えてきた背景は、住環境の変化が大きいのでしょうか。


そうですね、コロナ禍でホームページを修正したりしていて、今までは学歴ぐらいしか載せていなかったのですが、自分の人となりを書くようになったので、それに共感していただくことが多いようです。妊娠や出産についても、良かったことも辛かったことも体験しました。

そのため妊娠中は何があるか本当に分からないので、今絶対にしないといけない治療以外は産後にしていくようにお願いをしています。そのような内容もホームページに記載していたりするので、見ていらっしゃる妊婦さんが増えたり、お子さんがいらっしゃるママに来ていただくようになりました。



今後のマーレ日本橋デンタルクリニックについて

ーーー確かに実際に妊娠出産を経験されている方が医師だと、とても心強く安心ですものね。今は本当に幅広い層の方に支持されていますが、この後どのようなクリニックにしていきたいですか。またどのような治療をしていきたいでしょうか。


今まさに勉強中なのですが子どもの口の中、足の成長も鼻呼吸も身体の発育や成長に影響していたりします。女性も身体の変化で口の中は変わります。

お子さんから妊婦さんまで、そしてお子さんのうちから大人までずっと通えるような、まるでホームのように安心できる場所にしたいです。そのほかにも色んなストレスがある方もいらっしゃるので、パワースポットのように来ると元気になるような場所にもしたい。そのためにも、おもてなしや接遇が行き届いたスタッフをそろえています。患者さんが笑顔になって「来てよかった」と思えてもらえるならば、私たちが「今日もいい仕事ができたっ!!」と一番思えるところですね。




今後の歯内(根管)治療について

ーーーパワースポットのような歯科クリニック、素敵です。今後、根管治療はどのようになっていくのでしょうか。


歯科医療自体は予防がメインになっていくので、根管治療もしなくてよい状態になるのであればそれがベストです。歯科医師の仕事も将来的にはAIに乗っ取られるんじゃないか?なんて言われていますが、私はそうは思いません。

患者さん一人一人の状況もタイプも違いますし、最終的には臨機応変に人間が判断することが必要になります。

今、光学印象(※従来の歯の型取りではなく何千枚という写真データを合成して3Dデータをデジタルで取得する型取りのこと)できるようになったので、歯の形態から根管の形態がわかるようになるかもしれないですよね。3Dプリンタのようなものを使う場面も出てきているので、将来的には患者さんの根管の形状に合った器具をその場で作って形成できるようになったら面白いですよね。



読んでいる皆さんへメッセージ

ーーーそんなことも将来できるようになりそう。AIや自動化で担う部分と、医師である人が担う部分がより明確になり、掛け合わせて最善の治療が提供できるようになるといいですね。最後に川島先生からメッセージをお願いします!


色々なクリニックで悩んだり、不安な思いをしている方もいらっしゃると思いますが、歯科クリニックには通い続けるものだということ自体を知らない方が多いのが現実です。予防として来ていただくのが大事だと思っています。

健康で良かったですね、と帰ることができるのは唯一、歯科だけなので。私も患者さんと定期的にコミュニケーションしたり、お会いできるのは嬉しいです。

歯科は自分で予防と管理ができる医療なので、自分の歯の事を他人事ではなく“自分事”として捉えていただきたいなと思います。「歯を抜かれた」「削られた」など〇〇されたというのを聞くととても悲しいものです。歯科医師も悪意があってするわけではなく、良くしようとして治療しているわけなので。それってやはり歯科医師との意思疎通ができていなかったことが原因なので、歯を削らざるを得なかった、抜かざるを得なかった、といった理由も納得できているのがベスト。

私たちも患者さんと二人三脚になれるように最大のサポートをするので、自宅のケアもすることでさらに歯の健康と美を保てるようになります。私たちは国家資格を持ったプロの歯科医師ですが、患者さん側もプロ患者とでもいいましょうか、そのような意識をもって口腔ケアにおいて一緒に成長できるといいなと思っています。



■取材した方
マーレ日本橋デンタルクリニック
院長・歯学博士
川島栄里子氏

歯科大学卒業後、横浜で研修医として勤務、その後浜町のクリニックで経験を積み、2013年に東日本橋駅近くにマーレ日本橋デンタルクリニックを開業。根管治療を専門にしながら、長く健康を保てる歯の状態を維持できることを治療方針にしている。患者さんとのコミュニケーションを何よりも大切に、自身も2児のママであることから妊婦さんや小さいお子様を持つご家族に対しても親身なサポートをしている。



・マーレ日本橋デンタルクリニック
https://seeker-dental.com/dent/15646

人気記事ランキング

歯内治療ランキング

人気記事ランキング

予防歯科が得意な歯科医院

こちらもcheck!