歯みがきから考えるSDGs!オーラルケアもサステナブルに
コラム>歯科トレンド
2022/05/10

近年、さまざまな分野でSDGsへの取り組みが見られるようになりました。これは、オーラルケアにおいても例外ではありません。毎日行う歯みがきだからこそ、小さなアクションから大きな成果が期待できるかもしれません。サステナブルなオーラルケアには、どのような選択肢があるのかをまとめてみました。
歯ブラシを交換する目安は1ヶ月に1本といわれています。単純計算すると、年間で12本、10年で120本・・・。そうやって考えると、1人の人間が一生に消費する歯ブラシはどれほどになるのでしょう。一般的に売られている歯ブラシの場合、持ち手はポリプロピレン、毛はナイロンで作られています。ポリプロピレンもナイロンもプラスチックなので、自然に分解されることはありません。
日本では、ゴミになったプラスチックの9割近くをリサイクルしています。リサイクルの内訳を見てみると、新たに素材として再利用したり、石油などに戻されたりするのは3割程で、残りは燃やすことで熱エネルギーとして利用されているそうです。ところが、プラスチックは石油由来のため燃焼時に二酸化炭素を排出し、気候変動を加速させる原因になるという課題も隠れています。
また、海に流れ出たプラスチックゴミは、分解されることなく、極小さなプラスチックの粉「マイクロプラスチック」となり、海の生態系に影響を与えます。しかし、私たちの生活に歯ブラシはなくてはならないもので、衛生面を考えると歯ブラシの交換が必要です。では、どんな歯ブラシであれば、環境に優しいオーラルケアができるのでしょう。

*竹などの天然素材*
プラスチックのゴミを減らす動きが注目される昨今、天然素材でできた歯ブラシが注目されています。中でも竹は丈夫で加工しやすいため、歯ブラシの持ち手に使用されています。さらに、歯ブラシの素材として竹を利用することには、もうひとつサステナブルな観点があるといわれています。竹は成長速度が早いため、近隣の敷地にまで広がってしまったり他の植物に悪い影響を与えたりするのだそう。そんな竹を歯ブラシの持ち手として利用できれば一石二鳥!竹でできた歯ブラシは持続可能な製品といえますね。
*天然毛の歯ブラシ*
豚毛や馬毛などの歯ブラシは、プラスチックよりも耐久性があるので、長く使うことができます。特に馬毛はコシや高い復元力を持つため、毛先が広がりにくいという特徴を持ちます。歯ブラシの毛にナイロンを使用しないこと、そして長く使えるものを選ぶことで、ゴミを減らすことができます。馬毛の歯ブラシは、しっかりと磨けるうえ、エナメル質を傷つけにくい絶妙な硬さ。ブラッシングの心地よさにハマる人もいるのだとか…。
*生分解性プラスチック*
生分解性プラスチックは、通常のプラスチックと同様に使用できますが、廃棄になった後は、微生物によって水と二酸化炭素に分解されて、自然界へと循環する注目の素材です。歯ブラシの持ち手に使用されることが多く、手触りや使用感はプラスチックの歯ブラシと大きな差はありません。
*繰り返し使える持ち手*
歯ブラシの中でも劣化するのは主にブラシの部分であり、持ち手はまだ使えるのにもったいない!そんな考えから、ブラシ部分のみを取り替えられる歯ブラシも作られています。持ち手はプラスチック製ですが、付け替えることで捨てる部分が従来よりも少なく済みます。
では、歯みがき粉はどうでしょう。歯みがき粉のチューブもプラスチック素材であることが多く、歯ブラシ同様問題視されています。また、化学物質を使用しない歯みがき粉を選ぶ人も増えています。続いて、歯みがき粉について考えてみましょう。
*パッケージを見直す*
サステナブルな歯みがき粉といえば、リサイクルのできる金属製のチューブを用いたものが有名です。そのほかに、歯みがき粉をシートやタブレットにすることで、プラスチックのチューブを使用しないパッケージの導入や詰め替え用の販売が可能になります。歯みがきシートやタブレットは、お口に含み軽く噛み砕けばブラッシングができるため、持ち運びにも便利です。
*素材を意識した歯みがき粉*
歯みがき粉に含まれる化学物質や発泡剤を避け、海塩やココナッツオイルなどの天然素材で作られる歯みがき粉を使用する人も増えているそうです。加えて、それらの素材もフェアトレードであれば、サステナブルな歯みがき粉を選ぶことにつながるでしょう。

重曹や塩、にがりを使った歯みがきについては、こちらのコラム「重曹や塩、にがり歯磨きは歯が白くなる?虫歯予防に効果的?」で詳しく説明しています。正しく理解して使用することが大切です。
また「歯みがき粉を使用しない」という選択肢もあります。歯みがき粉を使用せずとも歯をみがくことが可能ですが、歯の着色を予防するという観点では、時々は研磨剤の入った歯みがき粉を使用することをおすすめします。
ホテルのアメニティの歯ブラシや歯みがき粉は、1ヶ月どころか1日の使い捨てです。2022年4月1日から、プラスチック製品の削減を進める法律が施行され、歯ブラシや歯みがき粉の設置方法や素材が見直されていますが、個人でも意識を変えることが求められています。例えば、出張や旅行に歯ブラシを持参することも有効です。
また、日頃から歯みがき中はこまめに水を止めること、毎日使うものほど、素材や耐久性を考え選ぶことも、サステナブルなオーラルケアといえます。オーラルケアもエコを意識する時代。身近なことから始めてみるといいかもしれませんね。
(seeker編集部)
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