コラム>歯科トレンド
投稿日:2026/02/12
更新日:2026/02/13
歯の本数は年齢でどう変わる?できる限り減らさないための予防法
自分の歯がいま何本残っているか、意識している人は少ないでしょう。永久歯は親知らずを除くと28本ありますが、実際には加齢や生活習慣の影響で、少しずつ本数が減っていくことが多いです。 しかし、歯を失う原因の約9割は虫歯と歯周病といった生活習慣病であり、正しいケアを続ければ多くの歯を長く残すことは可能です。歯の本数は噛む力だけでなく、栄養状態、筋力、認知機能など全身の健康にも深く影響する指標とされています。 本記事では、年齢によって歯の本数がどう変化するのか、厚生労働省が示す残したい歯の目標本数、歯を失う原因と起こるトラブル、今日からできる予防法などを解説します。
▶歯の寿命については下記の記事をご覧ください 歯の寿命と健康の関係を解説:失う原因と予防策
目次
歯の本数は年齢とともにどう変化する?
私たちの歯は、親知らずを除くと永久歯が28本です。基本的にはこの本数を一生使い続けます。しかし実際には、年齢を重ねるにつれて歯の本数が少しずつ減っていく人が多いです。
しかしそれは加齢そのものが原因ではなく、失われた歯のほとんどは、虫歯や歯周病といった生活習慣病によるものです。年齢とともに歯が減っていくのは避けられない現象ではなく、日々の習慣やケアで大きく差が出る部分となります。
年齢ごとの歯の目標本数はどのくらい?
厚生労働省では、歯の本数が咀嚼力だけでなく全身の健康にも深く関わることから、年代ごとに残しておきたい歯の本数の目安を示しています。その代表的な目標が、60歳で24本以上、80歳で20本以上です。
50代以降は虫歯や歯周病の影響が蓄積しやすく、ここから歯を失う人が急増するため、60歳でどれだけ本数を維持できているかが、その後の健康状態に大きく影響します。
80歳で20本以上の歯が残っている人は、噛む力が保たれやすく、栄養状態、運動機能、認知機能などの面で良好な傾向がみられることがわかっています。一度失った歯は基本的に元に戻りません。
だからこそ、自分の現在の本数を把握し、目標との差を知ることが、これ以上歯を減らさないためのスタートラインになります。現在の年齢にかかわらず、今ある歯をできる限り守るという意識が大切です。

歯の本数が減ることで起こるトラブル
歯の本数が減ると、まず大きく影響を受けるのが噛む力です。奥歯のどれかが欠けただけでも、噛む方向が偏りやすくなり、硬いものや弾力のある食材が食べにくくなります。こうした咀嚼力の低下は、食べられる食品の種類を減らし、栄養が偏る原因にもなるでしょう。
歯は1本でも欠けると噛み合わせのバランスが崩れ、残っている歯に大きな負担がかかります。その結果、歯や顎に痛みが出たり、頭痛・肩こりなど全身の不調につながることもあります。噛み合わせの悪化はゆっくり進むため、自覚しにくいのが特徴ですが、放置するとさらに歯を失う悪循環を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
さらに、近年注目されているのが、歯の本数と全身の健康との関係です。歯が少なくなると噛む刺激が減り、筋力の低下、栄養不足、食欲の低下などを通して「オーラルフレイル」と呼ばれる状態を招きやすくなります。
オーラルフレイルは、要介護や認知症のリスク増加とも関連が報告されており、歯の本数は単なる口の問題にとどまらず、健康寿命にも影響する重要な指標です。
このように、歯を1本失うことは想像以上に大きな影響をもたらすため、できる限り本数を減らさないことが、長く健康に過ごすための基礎になるのです。
▶オーラルフレイルについては下記の記事をご覧ください オーラルフレイルとは?症状から予防までわかりやすく解説
歯の本数を減らさないために今日からできるセルフケア
歯の本数を守るためには、毎日のセルフケアが欠かせません。歯を失う原因の多くは虫歯と歯周病であり、どちらも日々の習慣によって進行を抑えることができます。特別な道具が必要なわけではなく、少しの工夫で将来残せる歯の本数が変わります。
フロス・歯間ブラシを毎日の習慣にする
歯ブラシだけで落とせる汚れは全体の6割程度とされ、歯と歯の間には汚れが残りやすく、虫歯や歯周病の温床になりがちです。フロスや歯間ブラシを使うことで、歯ブラシでは届かない部分の汚れを効果的に除去できます。
特に歯周病は歯の喪失につながりやすいため、歯間ケアを毎日の習慣にすることが、歯の本数を守るうえでの大きなポイントです。
フッ素入り歯磨き粉でエナメル質を守る
フッ素には、歯のエナメル質を強くし、初期虫歯の進行を抑える効果があります。歯磨き粉は、大人であればフッ素濃度1,500ppm、2歳以上の子どもは950ppmのものを選べば、十分に予防効果が期待できるでしょう。
また、歯磨き後はなるべく少量の水で1回だけすすぐことで、フッ素が口の中に残りやすく、虫歯予防効果が高まります。
間食の回数を減らし、口の中を休める
虫歯の原因は食べる量よりも食べる頻度の方が影響が大きいです。飲食のたびに口の中は酸性に傾き、歯が溶けやすい状態になります。間食が多いと歯が再石灰化する時間が確保できず、虫歯リスクが高まります。
完全に間食をやめる必要はありませんが、回数を減らす、甘い飲み物を控える、食べたら口をゆすぐなどの工夫が大切です。
唾液を増やす生活習慣を取り入れる
唾液には、汚れを洗い流す自浄作用や、歯を修復する再石灰化作用があり、口の健康を守るために欠かせません。よく噛んで食べる、水分をこまめにとる、口呼吸を避ける、ガムを噛むなど、唾液を増やす習慣を取り入れるだけでも、虫歯や歯周病の予防効果が高まります。
特に加齢とともに唾液量は減りやすいので、注意が必要です。

歯の本数を減らさないために歯科医院でできるプロのケア
毎日のセルフケアに加えて、歯科医院でのケアを受けることは歯の本数を守るための最も確実な方法です。虫歯や歯周病は自覚症状が出にくく、気づいたときにはすでに進行しているケースも珍しくありません。
定期的に専門家のチェックを受けることで、トラブルを早期に発見し、歯を失うリスクを大幅に下げることがでるでしょう。
定期的な歯のクリーニング
歯科医院で行うクリーニングは、セルフケアでは落としきれない歯石やバイオフィルムを取り除くことができます。歯石は一度つくと自分では除去できず、放置すると歯周病の進行を加速させます。
歯周病は歯を失う原因の一つであるため、3〜6か月ごとにプロのクリーニングを受けましょう。
虫歯や歯周病の早期発見・治療
虫歯や歯周病は、初期段階では痛みがほとんどありません。しかし、見逃したまま進行すると、歯を大きく削る治療が必要になったり、最悪の場合は抜歯をすることになります。
定期検診では、レントゲンや歯周ポケット検査などにより、目に見えない初期の異常を発見できます。早期治療は歯の本数を守るための最も効果的なアプローチです。
噛み締め・歯ぎしり対策
噛み締めや歯ぎしりの癖は歯への負担が大きく、歯の欠け・すり減り・破折、歯周病の悪化など、歯を失うリスクを高める原因になります。歯科医院で、ナイトガード(マウスピース)の作製など、適切な対策を提案してもらいましょう。
噛みしめ癖を放置しないことも、長期的に歯の本数を守る重要なポイントです。
歯の本数は一生の資産!今からケアを始めよう
歯は一度失うと、二度と元には戻らない一生の資産です。加齢の影響もありますが、多くは生活習慣で防げます。今日からの小さな習慣や定期的な歯科受診を積み重ね、10年後・20年後に残せる歯の本数をできる限り増やしていきましょう。
筆者:seeker編集部
監修者・コメント
歯科医師
都内歯科医院勤務
三宅 友紀 先生
歯の本数は、年齢とともに自然に減るものと思われがちですが、実際には虫歯や歯周病といった生活習慣病が主な原因です。歯は1本失うだけでも噛み合わせや全身のバランスに影響を及ぼすため、できる限り減らさない意識が重要になります。
毎日の丁寧なセルフケアに加え、定期的な歯科検診で早期に異常を見つけることが、将来の歯の本数を左右します。今ある歯を守ることが、健康な生活を長く続けるための土台となります。
























