コラム>詰め物・被せ物
2023/04/07
歯の被せ物、治療の流れを教えて!
虫歯が進行して状態がひどくなり、歯をたくさん削らないといけなくなった場合、治療として歯に被せ物をします。ちなみに被せ物と間違えやすい「詰め物」は、小さい虫歯を削った穴を埋めるもので、比較的初期の段階における虫歯の治療です。 虫歯治療で被せ物が必要となったとき、どのように治療をするのか不安を感じる人もいるでしょう。被せ物の素材は銀歯や硬質レジンなどさまざまで、素材によって保険適用かどうかも異なります。今回は、被せ物による治療の一般的な流れについて説明します。
治療の流れ
1.虫歯除去(根管治療)
まずは虫歯を取りのぞきます。その際に必要であれば「根管治療」を行います。根管治療とは、細菌に感染した歯の内部にある「歯髄(しずい)」を除去したり、きれいにしたりすることです。 歯髄は神経や血管が通っている組織なので、細菌に感染し壊死すると、ズキズキと痛んだり患部が腫れたりすることがあります。感染した歯髄を除去することを、俗に「神経を抜く」といいます。
2.根管充填
根管治療の終わりには「根管充填」を行います。根管内を消毒した後、細菌の侵入と増殖を防ぐために根管の隙間をなくす目的で薬の詰め物をする処置です。根管充填することで、歯の根っこが折れにくくなり補強できます。
3.土台(コア)作り
歯がなくなった部分は支えが弱いため、削った歯に直接被せ物をしてもすぐに取れてしまいます。そのうえ、歯髄を除去した歯は強度がなくなるため、被せ物の下にしっかりとした土台を作る必要があります。 被せ物をした歯が長期的に安定するかどうかは土台に左右されるともいわれるほど、土台作りは重要です。土台の素材にはいくつか種類があるので、気になる方は歯科医師に聞いてみましょう。
4.型取り・色合わせ
続いて、被せ物を作るため歯の型取りをする段階です。型取りは、シリコーンゴムやアルジネートに代表される「印象材」という素材を使います。その後、型から作った模型を使い、歯科技工士が被せ物を作成します。 被せ物にセラミックなど白い素材を選択した場合には、まわりの歯とくらべて不自然にならないよう、歯の色味を選択することも可能です。
5.被せ物のセット
被せ物ができたら、いよいよ歯への装着です。かみ合わせやつけ心地をたしかめ、最終調整をした後に、接着剤でとめたら完了となります。 被せ物をした直後は「キツく感じる」など違和感がある人もいるようですが、次第に慣れていくものですので安心してください。もし違和感が長く続く場合は、早めに歯科医院に行って相談してみましょう。
歯科医院に行く回数と期間
虫歯治療から土台作り、型取りまで
虫歯の進行状況にもよりますが、被せ物をする場合は虫歯が進行しているケースが多いため、虫歯治療が1度で終わらないこともあると想定しておきましょう。 虫歯治療が終わった後、そのまま土台作りと型取りをしてもらえる場合もあれば、あらためて通院する場合もあります。土台作りと型取りには、30分から1時間をみておくといいでしょう。
被せ物のセット(装着)
型取りした後、被せ物ができるまで1週間ほどかかるため、虫歯の治療後、被せ物をつけるために再度通院する必要があります。被せ物をセットする時間も30分から1時間が目安です。ただし被せ物の種類によっては、その日のうちにできあがり装着までできる場合もあります。
虫歯治療の開始から被せ物による治療完了まで
歯の被せ物をするには、「虫歯治療」と「土台作りと型取り」、その後の「被せ物のセット」で通常は数回にわけての通院が必要です。被せ物を作るのに1週間ほどかかることから、スムーズに予約が取れた場合でも、治療期間として1か月ほどはみておいたほうがよいでしょう。
一度の通院で済ませるのはムリ?
先に述べたように、型取りから被せ物を作るまでには日数を要するため、一度に治療を終わらせることはできません。型取りは歯科医師もしくは歯科衛生士が行いますが、被せ物を作るのは歯科技工士です。 歯科技工士は歯科医院ではなく歯科技工所にいる場合が多いため、型取りで取った型やできあがった被せ物の運搬にも時間を要します。もちろん型から被せ物を作るにも日数を要しますので、全体として1週間程度はかかってしまうのです。
被せ物による治療には時間が必要!虫歯治療は早めにはじめよう
歯に痛みや違和感があっても「面倒くさいから」「歯科医院の予約が取りにくいから」などと、通院を億劫に感じる人もいるかもしれません。しかし被せ物による治療をすることになったら、より多くの通院が必要となり時間もかかります。 歯に痛みを感じる方や虫歯が心配な方は、できるだけ早く歯科医院に行き、治療をはじめるようにしましょう。
筆者:seeker編集部