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2024/02/01

奥歯にできた虫歯が白い歯に!保険適応になったPEEK素材とは?

今まで、大臼歯と呼ばれる奥歯の虫歯治療を保険適用で行うためには、銀歯を使用した治療を選択しなければなりませんでした。しかし、2023年12月1日から「松風ブロックPEEK」という製品を使う場合に限り、保険適用で奥歯の虫歯治療に白い被せ物が使用できるようになりました。

今回は、保険適用になったPEEK素材について解説するとともに、従来のCAD/CAM冠や銀歯との違いについてお伝えします。

PEEK素材とは

PEEKとは、ポリエーテルエーテルケトン(Poly Ether Ether Ketone) の略称で、スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)に分類されるプラスチックの一種です。正式名称の頭文字をとって「PEEK(ピーク)」と呼ばれています。

PEEK素材は、安全性や強度が高い一方で、破折リスクが低いのが特徴です。そのため、臨床現場では、医療機器やカテーテル、体内インプラントなどの材料として活用されています。また、金属アレルギーの患者さんにも使えます。

PEEK素材の特徴やエビデンスについてさらにくわしく見ていきましょう。



PEEK素材を使った被せ物の特徴と適用範囲

PEEK素材を使った被せ物には、以下の特徴があります。

  • 割れにくく粘り強さがある
  • 摩耗しにくい
  • 吸水が低い
  • 耐熱性がある
  • 衝撃吸収ができる
  • 金属材料やジルコニアと比べて軽い
  • これらの特徴から圧がかかりやすい奥歯の虫歯治療に使えると評価されました。そのため、従来のCAD/CAM冠では保険適用で治療できなかった歯に対しても、保険適用による治療ができるようになったのです。

    2023年12月時点での保険適用範囲は、第一大臼歯、第二大臼歯、第三大臼歯(親知らずを含めた奥から3本)です。これらの歯の虫歯治療などで被せ物が必要になった場合、または金属アレルギーの場合に使用できることになっています。


    ▶虫歯については、次のコラムをご覧ください。
    これって虫歯?虫歯は目で見て分かる・分からない?



    PEEK素材を使った被せ物のエビデンス

    広島大学が行った臨床追跡調査では、20人23事例について6カ月間の追跡調査が行われています。その結果から臨床的に問題ないことが分かっており、金属のクラウンと代替できると期待されています。

    その他の調査報告は現時点ではありません。しかし、保険適用となるため今後はより多くの事例が集まることが予想されます。より高いエビデンスが示されるでしょう。



    PEEK素材を使った被せ物とその他の治療法の違い

    保険適用で治療できる被せ物には、従来のCAD/CAM冠と銀歯があります。PEEK素材を使った被せ物との違いについてお伝えします。



    従来のCAD/CAM冠との違い

    従来の保険適用で行うCAD/CAM冠は、歯科用プラスチックのレジンとセラミックを混合した「ハイブリッドセラミック」または「ハイブリッドレジン」を材料としています。

    レジンにセラミックを混ぜているため、レジン単独よりも耐久性や安全性が優れているのが特徴です。歯と馴染みやすく、アレルギーのリスク軽減、審美性の高さなどでも評価されています。


    ▶詰め物・被せ者治療法については、次のコラムをご覧ください。
    保険適用で白い詰め物・被せ物ができる!?CAD/CAMって何?


    難点として、条件によって使用できない点が挙げられます。例えば、保険適用でCAD/CAM冠を使って第一大臼歯(前から6番目の歯)を治療する場合には、上下左右ともに、第二大臼歯(前から7番目の歯)が残っていなければなりません。

    PEEK素材の被せ物を使うには、そのような条件がありません。条件なく保険適用で治療ができる点が従来の治療法との違いです。



    銀歯との違い

    銀歯を使った治療は、全ての歯に保険適用となるため、治療費を抑えられるのがメリットです。しかし、治療部分が目立ちやすかったり、金属アレルギーのリスクがあったりするなどデメリットがあるため、銀歯での治療を避ける人もいるでしょう。

    PEEK素材を使った被せ物なら、白いプラスチックを使用しているため目立ちにくく、金属アレルギーの心配もありません。このような点が、PEEK素材を使った被せ物と銀歯との大きな違いです。


    ▶その他の奥歯の治療方法については、次のコラムをご覧ください。
    奥歯の被せ物、セラミックと金属どちらを選ぶ?メリット・デメリット徹底比較!



    PEEK素材の保険適用で歯科治療の幅が広がる

    PEEK素材の被せ物が保険適用になったことで、審美性を意識した歯科治療を受けられる人が増えるでしょう。

    しかし、保険適用になったばかりのため、予測できないトラブルが起こる可能性もあります。歯科医の判断によっては、PEEK素材を使った歯科治療を受けられないこともあるかもしれません。

    白い被せ物で奥歯の治療をしたい場合には、歯科医とよく相談しましょう。



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    筆者:seeker編集部

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