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2024/10/10
親知らずの抜歯は必要?難しいケースや抜歯後の注意点について解説
親知らずの抜歯というフレーズを聞くだけで不安になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、親知らずの抜歯についての基本的な情報から、知っておきたい注意点まで詳しく解説します。 不安を解消し、安心して治療に臨むために、親知らずに関する疑問を一緒に解決していきましょう。
親知らずの抜歯が必要な場合
親知らずの抜歯は、メリットがデメリットを上回ると判断された場合に行われます。痛みや腫れがなく、歯として正常に機能している場合、抜歯の必要はありません。
痛みや腫れがある
親知らずに痛みや腫れを感じる時は早めに歯科医院を受診しましょう。親知らずが斜めや横向きに生えると、周囲の歯や歯茎に圧迫を加え、炎症や感染を引き起こしやすくなります。このため持続的な痛みや腫れがある場合は、抜歯となる可能性があるでしょう。
歯並びに悪影響がある
親知らずが横向きや斜めに生えると、隣の歯を押して歯並びが乱れ、噛み合わせが悪くなる可能性が高まります。また、親知らずによって押された手前の歯の根が溶けてしまい、歯並び全体に悪影響を与えることもありえるのです。 歯並びが乱れると、食べ物が歯と歯の間に詰まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まるため注意が必要。噛み合わせの乱れは身体全体のバランスにも影響するため、抜歯が検討されるでしょう。
嚢胞や腫瘍のリスクがある
まれな症状ではありますが、親知らずが完全に生えず、歯茎や骨の中に埋まったままの状態だと嚢胞(のうほう)や腫瘍が発生する恐れがあります。 嚢胞や腫瘍が悪化すると顎の骨を侵食し、合併症を引き起こしかねません。定期検診で親知らずの状態を確認し、リスクがある場合には早期に抜歯を行うことが重要です。
▶親知らずを抜くべきかについては、次のコラムもご覧ください。 抜くべき?抜かないべき?親知らずのトラブルと抜くタイミング!
親知らずの抜歯が難しいケース
親知らずの抜歯は、親知らずの位置や形状によって、手術が必要になります。親知らずの抜歯が難しい具体的なケースと、それに伴う手術の詳細について説明します。
斜めに生えている
親知らずが斜めに生えている場合、他の歯を圧迫したり、歯茎の中に部分的に埋もれたりすることがあります。このようなケースでは、通常の抜歯よりも手術が複雑になります。 手術は、親知らずを小さく分割して取り除く方法が採用されることが多いです。これにより、周囲の歯や骨へのダメージを最小限に抑えることができます。
歯茎に埋まっている
親知らずが歯茎や骨の中に埋まっていると、斜めに生えている時以上に抜歯の難易度が上がります。
歯が露出していない場合は、歯茎を切開してから、歯を数個の小さな部分に分割して取り除かなければなりません。このプロセスは時間がかかり、手術後の回復期間も通常より長くなることがあります。
親知らずと下顎神経の距離が近い
下の親知らずは下顎神経に非常に近いことがあります。抜歯手術で神経を損傷するリスクがあるため、歯科医師はX線やCTスキャンを使用して、親知らずと神経の正確な位置関係を把握したうえで手術を検討します。
歯科医院の方針にもよりますが、状況によってはクリニックから大学病院や口腔外科での施術を勧められることもあります。また、可能性は低いものの後遺症としてしびれや麻痺が残る恐れもあるため、あえて抜歯せず親知らずを温存する選択もあるため、歯科医師に相談してみましょう。
親知らずの根が曲がっている
親知らずの根が曲がっている場合、抜歯が非常に困難です。根が複雑な形状をしていると、単純に引き抜くだけでは除去できないことがあります。
手術では、歯科医師が歯茎を切開し、根の形状に合わせて分割して取り除く必要があります。この場合も、手術時間が長くなり、回復期間が延びる可能性が高いです。
親知らずを抜歯した後の注意点
親知らずの抜歯後には、適切なケアが重要です。抜歯後の回復をスムーズに進めるためには、いくつかの注意点を守る必要があります。
安静に過ごす
抜歯後は、できるだけ安静に過ごすことが大切です。特に手術当日は、運動や激しい活動は避け、体を休めましょう。また、頭を普段より高くして寝ることで、出血や腫れを軽減することができます。
抜歯箇所には刺激を与えない
抜歯後の傷口には、できるだけ刺激を与えないよう、食事は柔らかいものを選びましょう。食べ物が傷口に直接触れないように気を付けてください。
また、うがいや歯磨きも慎重に行い、傷口を刺激しないように注意が必要です。喫煙や飲酒も、抜歯後の回復を遅らせる可能性があるため、控えるようにしましょう。
抗生物質・痛み止めを使用する
抜歯後の感染や痛みを防ぐために、歯科医から処方された抗生物質や痛み止めを正しく使用することが重要です。指示された用法・用量を守りましょう。特に抗生物質は必ず飲み切るようにします。
特に注意すべきは、ドライソケットです。抜歯後は血餅(けっぺい)という血のかたまりが傷口に形成されますが、これが外れたり形成されなかったりすることで、骨が露出し、激しい痛みが起こる状態です。強いうがいや激しい運動を避けることでリスクを軽減することができます。ゴシゴシと歯を磨くのも控えましょう。
▶入院が必要な親知らずの手術については、次のコラムもご覧ください。 親知らずの抜歯、入院が必要なケースも!?
親知らずの抜歯後は口腔ケアを徹底し、異常時はすぐに医師へ相談しましょう
親知らずの抜歯は、痛みや腫れ、歯並びの乱れ、嚢胞や腫瘍のリスクなど、様々な理由で必要となる場合があります。特に斜めや横向きに生えている親知らず、歯茎に埋まっている親知らず、神経に近い親知らず、根が曲がっている親知らずの抜歯は難しく、専門的な技術が必要です。
抜歯後には、安静に過ごし、抜歯箇所に刺激を与えないように注意しましょう。また、強いうがいや歯磨き、激しい運動を控えることでドライソケットを予防できます。何か異常を感じた場合は、すぐに歯科医師へ相談しましょう。
適切な口腔ケアを行い、歯科医師の指示に従うことで、親知らずの抜歯後の回復をスムーズに進めることができます。自分自身の健康を守るためにも、抜歯後のケアを徹底し、異常を見逃さないようにしましょう。
筆者:seeker編集部