インタビュー>矯正歯科
2020/03/09
【歯科医師インタビュー】見た目のキレイだけではなく、人生までも変える矯正。今後の矯正歯科のあり方、選び方とは?

審美という側面でも海外だけではなく日本でも当たり前になってきた矯正歯科。そして、審美性だけではなく、健康面やメンタル面にも大きな影響があると重要視されてきています。まさに人生のQOLを高めるためにも欠かせない存在なのが矯正歯科です。 一方、技術も進歩して、歯科医院もグンと増えているからこそ、どこで何を選択して良いか迷うこともしばしば。今回は30年近く『矯正』を専門に治療に従事され、全国に7医院をも開設されている銀座青山You矯正歯科グループの青山理事長にお話をお伺いしました。
『矯正』を専門とされている理由
ーーー最初に先生が歯科治療のなかでも主に『矯正』を専門とされている理由を教えていただけますか。 今も矯正歯科だけではなく通常の虫歯治療などもしているのですが、私は“歯を抜かない”=非抜歯の矯正歯科を専門としております。矯正というと、どうしても歯を抜いたり、場合によっては骨を削ったり…外科的処置が怖い方もいらっしゃると思います。実際に歯を抜くことで顎関節症(*顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり、顎が痛い、口が開きにくいなどの症状が現れるもの)などもリスクもあります。 私の場合は、マルチループという特殊な器具を使って、奥歯を後ろに動かしスペースを作り、矯正を行うという非抜歯の方法をとっております。法の矯正を知り、当時はまだメジャーではない非抜歯を専門とするようになりました。

矯正にはどんな治療方法があるのか
ーーー矯正と言っても従来通り歯を抜いて行う方法もあれば、非抜歯で行うというアプローチ方法もあるのですね。そもそも矯正にはどんな治療方法があるのでしょうか。 矯正には大きく分けて3つの治療法があります。いわゆる昔からある歯の表面にマルチブラケットという矯正装置を取り付け、ワイヤーを通し固定する『ワイヤー矯正』、歯の裏側に矯正器具を取り付けて治療する『裏側矯正』、そして近年多く見られるようになった、透明のマウスピースを使った『マウスピース矯正』です。当院でもインビザラインというアメリカで開発された着脱可能な透明マウスピース型の矯正器具を用いて、見た目にも目立たず、正確に治療できる方法を取り入れています。
青山先生が大事にしていること、医院の特徴
ーーー矯正器具が目立たないのは、ハードルが下がった気がいたします。青山先生が大事にしていることや、医院の特徴があれば教えていただけますか。 大きく二つあります。
一つ目
患者さんとって心地良い対応ができるかどうかです。グーグルなどの口コミを見るとわかると思いますが、治療には直接関係ないところで、不快な想いをさせてしまっていることもあると思います。 例えば、受付の対応、待ち時間の長さ、先生の雰囲気などでネガティブな印象を持たれてしまう場合も実際にあります。もちろん治療が何より大事ですが、今や綺麗に仕上がることは前提条件でしかないのでその他のスタッフのホスピタリティやクリニックでの過ごしやすさを大事にしたいなと努力しております。特に矯正歯科は1年以上の長いお付き合いになることがほとんどなので、患者さんがいかに気持ちよく通い続けることができるのか?という観点を大切にしております。
二つ目
治療の結果を患者さんに心から満足してもらえるかどうかです。私たちは決して歯並びを変えることだけを目的にしているわけではないのでまずは治療に満足してもらい、自信を持ってもらい、最終的に「やってよかった」と心底思ってもらえることを目指したいです。歯並びが綺麗になったことで、自身の笑顔が増えた、人生が変わったと言われるのが本当に嬉しくて…虫歯治療だとなかなかそこまで思っていただくことも少ないので、矯正を売っているというよりは、人生の幸せ、安心感そして信頼関係を提供している感覚です。

歯科医院選びのポイント
ーーー確かに矯正というよりは、患者さんの人生の充実を提供しているに近いですよね。そこで大事になってくる、歯科医院選びのコツはありますか。 昔はリアルなクチコミだけが頼りでしたが、ネット社会になった今は歯科医院のホームページなどでも簡単に情報を得られるようになっています。ただどこの歯科医院のホームページもいいことしか書いていないので(笑)、実際に矯正相談に行った時にどうか?という視点が大事になるかと思います。
- 大きくは3つで、
- 1)ホームページで謳っている内容と相違はないか?(*1)
- 2)医院の雰囲気はどうか?(*2)
- 3)歯科医師や歯科衛生士はきちんと向き合ってくれるのか?です。(*3)
- *1)については治療方針や内容について
- *2)は訪れた時の医院のオーラや空気感などで、ギスギスした雰囲気などはよく伝わるといいます。
- *3)は特に大事にですが歯科医師や歯科衛生士が、歯だけしか見ていないのか?人としても見てくれているのか?という視点・スタンスはよく見極めた方がいいです。
結婚のお見合いと同じようなものなので、とにかくフィーリングが重要です。コンサルテーションの仕方や説明の丁寧さ、そして何よりも相性が合うかどうかをしっかり読み取って判断していただきたいです。 まずは相談で医院に行き様子を見てみるほかに、歯石取りやホワイトニングなどライトな治療で気軽に訪れてみて、まずは院内の雰囲気を感じてから矯正治療をするかどうかを決めるることがオススメです。
自宅でできるケア
ーーー歯科医院の雰囲気や医師の方のスタンスはとても大切なポイントですね。矯正は歯科医院での治療が主だと思いますが、自宅でできるケアなどはありますか? お子さんがいらっしゃる場合は、小さい頃から意識しておくといいことはあります。なるべく、口呼吸ではなく鼻呼吸を心がけるようにクセづけた方が良いです。口呼吸だと、身体にバイ菌が入るだけではなく、歯並びにも影響します。また、歯周病になってしまうと歯並び自体が崩れてしまい、矯正もできなくなってしまうので歯の丁寧なケアはベースとして大事になりますね。

矯正治療の未来
ーーー青山先生ご自身、今後の矯正治療はどうなっていくと考えられますか? マウスピース型のインビザラインのような手法がどんどん取り入れられていくと思います。どんどん開発も進み、技術も向上しているので、患者さんの見た目にも影響なく、より正確に矯正ができるようになっていくのではと。また現在も3Dコンピューターで型取りなどを行なっていきますが、今後も限られた医師の職人技ではなく、自動化され標準化されていく世界になりそうですね。結果、矯正の料金ももう少し安価になると思うのでより気軽に治療できるようになると思います。
患者さんへのメッセージ
ーーーもっと手軽に歯科矯正で綺麗になれる機会が提供されるのは、とても嬉しい未来です。最後に患者さんへのメッセージをお願いします。 歯科治療をする上で、不安な面もあると思いますが、デメリットやリスクだけにフォーカスするとしすぎると何も手を出せなくってしまうので、まずは一歩踏み出してみることも大切です。私が専門にしている矯正も通う医院選びは慎重にした方がいいと思ますが、矯正自体をやってよかったと思う患者さんが圧倒的に多いので、まずはフィーリングの合う医院や医師を見つけて前に進んでいただきたいですね。
(取材日:2020年2月19日) ■取材した方 医療法人社団 健青会 銀座青山You矯正歯科グループ(銀座、青山、新宿、渋谷、池袋、横浜、広島) 青山健一理事長・総院長
医療法人社団健青会 歯科医院