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インタビュー>矯正歯科

2020/12/23

【歯科衛生士インタビュー】本当に目立たない?ぶっちゃけ効果はあるの? 日本初のマウスピース矯正研修講師に聞く 今、知っておきたい『矯正治療』最新事情とは 〜Part3〜

日本初のマウスピース矯正研修講師の穴沢さんに矯正治療について聞くインタビューの第三弾。第一弾、第二弾に引き続き、矯正の歯科クリニックを選ぶポイントをもっと深掘りして、さらに私たちへのメッセージをいただきました。今回も見逃せない内容になっています。


(Part2)からの続き


症例数は歯科医院選びの基準になるのか

ーーー歯科クリニックを選ぶ際のポイントを引き続き。診断や治療計画をどこまでが機械が行い、どこまでを歯科医師が行っているのか、どのように患者さんの治療計画を立て施術していくのか、というのは歯科クリニックを選ぶ際の大きなポイントになるのですね。あと、取扱い症例数が多いというのも一つの指標になりますか?


そうとも言い切れないのです。もしかしたらみなさんも歯科医院のホームページなどに掲載されているインビザライン症例数(○○プロバイダーなど)をご覧になったことがあるかもしれません。

実はそれ、患者さんとの契約ベースの数字なんです。つまり治療がスタートした数ということ。(前年の成績)正直その症例が治っているか(治療終了しているか)という結果はわからないんですよね。症例の数は大切ではありますが、それだけにとらわれないことも重要です。

矯正治療を考えられるときには最初にカウンセリングや矯正相談に行かれると思いますが、歯科医師や歯科衛生士、トリートメントコーディネーターが自分の質問にしっかり答えてくれるのか、そもそも質問させてくれるのかどうかという点は見た方がいいと思います。一方的に歯科医師ばかりが話していて質問を一切させてもらえない医院もあるそうです。自分の悩みと似たような症例がある場合に丁寧に説明してもらえるようなところだと、さらに安心ですね。


矯正専門医院の方が良い?

なるほど。症例数が多いから安心というわけではないのですね。あと気になるのが、矯正をするならば矯正専門医院にした方がいいのか、ということですが。


これもニーズによるかな、という回答になってしまいます。矯正専門医院はもちろん専門に学んできた先生なので矯正の診断能力が高いというのはありますが、虫歯や歯周病など他も含めたトータル治療受けられない(矯正専門医院からの紹介またはご自身で探す)ということも。何カ所も歯科医院に行かなくては・・・と時間や手間がかかってしまうこともあります。一般歯科で矯正歯科も標榜している医院だと包括医療を提供してくれるのでいいと思います。

ただどうしても包括的に見ていると矯正の勉強に時間が取れるのか、経験量がどうなのかという側面もあるので、自分にとって矯正専門でしっかり見てもらいたいのか総合的に見て欲しいのか、ニーズに合わせて選ぶといいと思います。


矯正治療で大切にしていること

自分のニーズとともに、ホームページだけではその歯科クリニックが実際どうなのか分からないので、治療に対して丁寧に説明してくれるのか、質問に答えてくれるのか事前カウンセリングで判断したほうが良さそうですね。穴沢さんが歯科治療や矯正において今後大事にしていきたいことや、現在大切にしていることはどんなことでしょうか?


健康を守るために治療を提供しているので、患者さんの健康を害さないことが一番大事なことです。ディスキングも慣れていない方がやると歯の形がいびつになってしまっていることも。十分な治療がなされないことで噛み合わせが悪くなったり、汚れが溜まり虫歯になりやすくなったり不健康になるのはよくありません。健康になるための治療を提供することが大原則だと思います。

そして患者さんのお話をしっかりと聞くことです。数ヵ月前、矯正相談へお越しになった患者さんに「こんなに話を聞いてもらえるんですね」と感激されたんです。嬉しい反面、そんなに話を聞いてもらえなかったんだと少し悲しくなってしまったのも事実。その患者さんは数軒の歯科クリニックをまわったそうなのですが、一方的に提案をされ治療期間や費用の説明をされるだけだったそうです。

私は歯列矯正で治したい“今“の状況だけではなく、具体的にどんなことに困っているか、将来的にどうなりたいのかというゴールまで共有していきたいなと思っています。例えば上顎前突(上の前歯が出ている歯並び)の場合でも患者さんによって悩みが全然違います。口が閉じにくく乾いてしまうのか、横顔が気になってしまうのか、いつも歯に口紅がついてしまうのか、前歯ばかり着色してしまうのか、歯磨きしても虫歯になりやすいのか、などいろいろです。上顎前突だから歯を抜いて治せば完了という治療方法だけに終始してしまうのは悲しいなと感じます。

問題点を理解して治すことは簡単ですが、あくまで治療は方法であり手段。矯正によってどうなりたいのか?どんな未来を手に入れたいのか?という目的に共感していくことが大事。口を閉じられるようになって健康的になりたいのか、横顔まで美しくなりたいのかなど、その方が何を大切にしたいのか、そこまで捉えていくことが大切です。>治療にはある程度の根気が必要です。途中で挫折しそうになる方もいらっしゃるので、目的を共有して治療に寄り添っていきたいです。


歯科治療の未来

ーーービジネスにもある「目的と手段」の話ですよね。目の前のニーズだけではなく、その先に何を目指すのかというゴールが見えないとモチベーションが続かないということですね。モチベートの源泉、立ち返る場所が必要なのは同感です。穴沢さんは未来の歯科治療はどうなっていくと感じていらっしゃいますか?


AIの進化などにより、歯科治療に人が携わる機会は減ってくるのかもしれませんね。ただ個人的には治療に携わる人間はゼロになってほしくないです。治療は機械でも提供できますが患者さんの気持ちに寄り添うカウンセリングはやっぱり人が担うものなのです。また、人間の歯はサメと違って、一生に何度も生え替わらないのですが、歯の再生医療が進化して歯を失ってもまた歯が生える・・・なんてことが出てくるかも知れませんね。


マウスピース矯正の未来

ーーー穴沢さんのご専門であるマウスピース矯正はどうなっていってほしいと思いますか?


医療従事者として正しい情報を患者さんに伝えて欲しいと思っています。宣伝や広告は誇張されていたり、正直いいところしか訴求されていないことも。メリットがあればデメリットもあるし、得意とするところがあれば不得意もたくさんあります。患者さんが正しい両側面の知識を知った上で、どうするか選んで欲しいと思っています。


患者さんへのメッセージ

ーーー今回はご丁寧にありがとうございました。矯正治療を検討する際にとても参考になりそうです。また、矯正治療をしてみようかなと背中を押していただくような内容でした。最後に患者さんへのメッセージをお願いします。


患者さんからよく矯正について「大人になってからでも大丈夫ですか?」「こんな歳からでは遅いですよね?」と言われますが、いつからでも治療できます。いつでもやりたいと思った時にできるので勇気を持って扉をたたいてほしい。歯科クリニック選びでは先ほどもお話ししたように、いいことばかりいう人は個人的にも信用できないと思っているので、きちんと質問に丁寧に答えてくれる人のもとで治療を受けて欲しいです。

虫歯や歯周病やインプラントはマイナスの状態をゼロ戻すくらいの感じですが、矯正治療は今よりも良くなりプラスになるものだと思っています。(間違った場所でさえやらなければ)矯正治療をしてみようかなと思ったご自分の気持ちを尊重し、ぜひ前向きに進めていただければ嬉しいです。




■取材した方
横浜関内矯正歯科ブランシュ 副院長
株式会社Blanche代表
穴沢 有沙氏

2004年に愛知県立歯科衛生専門学校卒業後、医療生活協同組合みなと医療生活協同組合 みなと歯科診療所勤務。結婚を機に働き方を変えて三菱東京UFJ銀行にて為替窓口業務担当したのち、歯科業界に復帰。医療法人スワン会ミッドランドスワン歯科・矯正歯科で多数の症例を経験、多くを学んだのちに2016年マウスピース矯正研修講師として独立して2018年に株式会社 Blanche (ブランシュ)代表取締役社長に就任。東京都内、名古屋市内、横浜市内など複数歯科医院で矯正歯科衛生士として歯科医療に従事。患者さんのために妥協しない矯正治療を進めたいという想いから2020年横浜関内矯正歯科ブランシュを共同開業。



・横浜関内矯正歯科ブランシュ
https://seeker-dental.com/dent/46692

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