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2020/05/26
顎が痛い・顎から変な音が…「顎関節症」って何?

顎関節症という単語はたまに聞きますが「顎が痛かったり上手く開かなかったりすることかな?」くらいで、いまいちピンと来ない方も多いはず。顎関節症とは、顎関節やあごを動かしている筋肉の痛み、顎関節での雑音、開口障害あるいは顎の運動異常を主とする障害をとりまとめた病名です。顎関節症は主に種類が4つに分かれます。

症状
①I 型 (咀嚼筋痛障害)
咀嚼筋(噛む時に使われる顔の筋肉)疼痛・運動痛 開口障害 (軽度) があります。この場合は雑音はありません。
②II型 (顎関節痛障害)
顎関節部庄痛、開口障害、運動時の疼痛があります。
③Ⅲ型 (顎関節円板障害)
Ⅲ型は顎の関節円板という部分が通常の位置からズレている状態です。関節円板が顎を動かしたりした際に、一時的に正常な状態に戻る(復位)か戻らないかによって、さらにaとbの2つに分類されれます。
- a 復位をともなう関節円板転位 →クリック音というカクカクした音がなる
- b.復位をともなわない関節円板転位 →開口時の疼痛がなくなり音が聞こえなくなる。開閉口障害(クローズドロック)がおこる。
④IV(変形性関節症)
関節円板の位置や形態が崩れてしまう(クローズドロック)状態です。また、口が開かなくなる病態が長期化した場合に発生する関節雑音(クレピタス音というザラザラジャリジリとした音)が聞こえる場合があります。顎関節痛、運動障害もあります。

治療方法
①薬物療法
消炎鎮痛薬や筋弛緩剤などによる内科的治療で顎関節の疼痛を緩和します。
②スプリント治療
歯をカバーするマウスピースを装着し、噛みあわせを調整することで顎関節の安静を図ったり、リラックスさせます。それによりずれてしまった顎関節組織の位置を修正します。昼間はマウスピースを装着する必要がないため、日常生活への影響はあまり大きくありません。
③理学療法
手で関節を動かし、ずれてしまった顎関節組織の位置を修正します。場合によっては顎関節に直接麻酔することもあります。また、電気を流したり、マッサージをしたりして、顎周辺の筋肉の緊張を改善を図ることもあります。
④手術療法
難治症例に対しては関節を開放したり、内視鏡を用いて手術をする場合があります。
⑤その他
生活習慣の中で顎関節に悪影響を与えていると考えられています。各自で気をつける例として、硬い食品や長時間の咀嚼は避ける、頬杖や猫背治す、また睡眠時の歯ぎしりなどがあります。

まとめ
顎関節症は短期間で治すことは難しいですが、歯科医師の指示に従ってセルフケアを継続すれば、多くのケースが数ケ月程度で治ります。顎が痛い、顎に異変を感じる…そんな時は早めに歯科医院に行き、早期に治療を開始しましょう。
筆者:seeker編集部