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2021/05/10
歯ぎしりは治る?原因と対処法を知ろう!

ギリギリと歯をこすり合わせる「グラインディング」や、カチカチと歯をすばやく打ちならす「タッピング」のように、強い力で上下の歯を噛み合わせることを歯ぎしりと呼びます。 いずれも、無意識に行うケースが多く、歯や歯ぐき、あごへ大きなダメージを与え、せっかくの健康な歯を失うことにもなりかねません。

実はとても怖い歯ぎしり・・・。 どうしたら改善することができるのでしょうか。歯ぎしりの原因や対処法についてまとめてみました。
歯ぎしりの原因はストレスって本当?!
歯ぎしりの原因は、かみ合わせの異常やあごの変位、お口に合わない金属製の詰め物、習慣やストレスではないかと言われていますが、実はまだはっきり解明されていません。 その中でも群を抜いて多いのがストレスによる歯ぎしりで、寝ている間、無意識に歯を食いしばり、歯ぎしりをすることで、日々の不安や憂鬱、恐れを発散していると考えられています。 ストレスを発散することは大切ですが、歯ぎしりは歯に悪影響を及ぼすため、放っておくわけにはいきません。
歯ぎしりが歯に与える悪影響
歯のすり減りや折れ
上下の歯をこすり合わせることで、歯のすり減りや折れの心配があります。さらに悪化すると歯の表面のエナメル質がはがれ、象牙質が露出することで知覚過敏になります。

頭痛や肩こり
歯ぎしりをすることでお口周りの筋肉は緊張状態に。その周辺にある筋肉にも影響し、頭痛や肩こりにつながることがあります。
お口周りの不調
慢性的な歯ぎしりは歯だけでなく、あごの筋肉や関節、骨にまで悪影響を及ぼし、顔の形が変わってしまうことがあります。また、歯の詰め物の劣化や破損、せっかく矯正した歯並びが再び崩れてしまうなど、歯科治療の妨げになります。
顔のシワやほうれい線が深くなる
歯ぎしりの影響で歯がすり減ると、噛み合わせが悪くなります。また、お口周りの筋肉がこわばることで、えらの筋肉が発達し表情筋も固く縮こまってしまいます。 それにより口角が下がったりお口がゆがんだりし、口元のシワやほうれい線が深くなってしまうことも考えられます。
自覚のない歯ぎしりには要注意!
何かに集中している時、無意識に歯ぎしりや食いしばり、噛みしめをしていたという経験はありませんか?もしそうなら自分で気が付くことができますが、注意すべきは自覚のない歯ぎしりや食いしばりです。 自覚のない歯ぎしりは、歯やあごなど、身体に不調が現れて初めて気が付きます。症状が悪化してから気付いては遅いので、以下のようなセルフチェックを定期的に行い、歯ぎしりをしているかも?と思った時には早めの受診がおすすめです。
- <セルフチェック項目>
- □ 歯にひびや欠け、すり減りがある
- □ お口を閉じた状態で、上下の歯がくっついている
- □ 集中している時など、無意識に歯を噛みしめている
- □ 歯と歯肉の境目が削れている
- □ 寝起きにお口の周囲がこわばっていたり、あごが疲れていたりする
- □ 頬の内側や舌に、噛みしめた跡がある
- □ 肩こりや頭痛がある
- □ むし歯がないのに冷たいものがしみたり、歯ブラシが当たると痛みがあったりする
歯科医院でできる歯ぎしりの治療
歯ぎしりをしていることが分かったら治療をする必要がありますが、いかんせん原因が不明なため、歯ぎしりを完全に治すことは難しいと言われています。そのため、現在では症状の軽減や、歯やあごを守るための治療が行われています。 現在では・・・
- ・噛み合わせの治療(矯正治療含む)
- ・口の周りの筋肉をリラックスさせるマッサージ
- ・ボツリヌス菌から作られた製品の注射により筋肉の動きを弱め、緊張をほぐす
- ・歯ぎしり用マウスピースの使用
などが、主な治療方法とされています。中でも、マウスピースを用いた「スプリント療法」は最もよく選ばれる治療法です。 寝ている間にマウスピースを装着することで、食いしばる力を逃しやすくすることはもちろん、お口周りの筋肉の緊張をほぐしてくれます。また、歯ぎしりによる歯のこすれや顎関節症予防にも一役買います。

マウスピースの使い始めには、口内の渇きや違和感を不快に感じることがあります。その場合は、短い時間の使用で様子をみたり、お水でこまめにうがいしたりするなどし、少しずつ慣らすことから始めます。ストレスなく続けられることが大切なのです。
メンタルの健康も大切
歯科医師への相談は歯ぎしりの改善に欠かせませんが、原因とされるストレスを解消することも避けては通れないポイントです。 ストレスフルな時代ゆえ、ストレスの元をごっそり取り除くことは困難かもしれませんが、リラックスできる時間をとるなどし、心身ともに健康でいることが何より重要です。それが気持ちの余裕やメンタルの健康につながり、歯ぎしりの改善に結びつくかもしれません。
筆者:seeker編集部