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2025/01/30
歯が欠けた・折れた時の応急処置と注意点について解説

歯が欠けたり折れたりすると、突然の出来事に驚き、どう対処すべきか迷うことも少なくないでしょう。
こうしたトラブルが発生しても、適切な行動を取ることで歯を元に戻せる可能性が高まります。本記事では、歯が欠けたり折れたりした際の応急処置や注意点を具体的に解説します。
歯が欠けた・折れたとき、最初にすべきこと
歯のトラブルに直面した際には、まず冷静になることが大切です。状況を正確に把握し、必要な処置を迅速に行いましょう。
頭部の痛みや強い衝撃があった場合、まずは外科・脳外科へ
歯が欠けたり折れたりする外的な原因としては、転倒や交通事故、スポーツ中の衝突が考えられます。これらの事故に巻き込まれたとすると、歯の損傷だけでなく、頭部に衝撃を受けているケースも少なくありません。
頭痛やめまい、吐き気、意識の混濁といった症状がある場合、頭部外傷や脳内部へのダメージが疑われます。できるだけ迅速に対応しなければ命にかかわる恐れもあるため、歯科ではなくまず外科または脳外科を受診する必要があります。
落ち着いて、欠けた歯の破片を探して保存する
頭部の怪我の心配がない場合、次に行うべきは欠けた歯や破片を探すことです。
見つかった破片は乾燥させないように注意して、汚れを軽く取り除いてから保存してください。保存の方法については後述しますが、この段階で適切に対処することが、治療の成功率を高める鍵となります。

歯が欠けた・抜けた場合は「洗わない・乾燥させない」
歯が欠けたり折れたりした場合の応急処置は、その後の治療結果に大きな影響を与えます。以下のポイントを参考に、適切な対応を行いましょう。
歯を洗わないことが重要
折れた歯や抜けた歯に付着している歯根の組織は、再生治療に必要不可欠です。水道水やアルコール消毒液は組織を損傷させ、歯の再接着が困難になる恐れがあるため注意が必要です。汚れが気になる場合は、生理食塩水や牛乳で軽くすすぐ程度にとどめてください。
歯が完全に抜けた場合
抜けた歯は乾燥させないよう注意しましょう。
1. 生理食塩水:折れた歯の保存用には最も適切で、組織を良好に保つことができます。清潔なタッパーやジッパー付きビニール袋に生理食塩水を入れ、折れた歯をつけた上で歯科医に持っていきましょう。
2. 牛乳:生理食塩水がない場合に代替として使用できます。保存・運搬方法も生理食塩水と同様です。
3. 唾液:清潔な容器に歯を入れ、唾液で満たします。ただし、誤飲を防ぐため歯を直接口に入れるのは避けてください。
保存後は速やかに歯科医院へ持参してください。
痛みを和らげる応急処置
歯が欠けたり折れたりした際、痛みがある場合は患部を冷湿布で冷やすと腫れや痛みが軽減されることがあります。市販の鎮痛剤の服用も有効ですが、服用前には薬の説明書をよく確認しましょう。

自己判断で放置しない
歯が欠けたり折れたりしても、痛みがない場合や見た目がそれほど悪化していない場合、「大丈夫だろう」と自己判断して放置する人もいますが、以下のようなリスクが考えられます。歯が欠損したらできるだけ早く歯科へ行きましょう。
虫歯や歯周病の進行:欠けた部分からは細菌が侵入しやすいため、歯の折れ・欠けを放置することで虫歯になりやすくなる・いっそう虫歯が進行するリスクがあります。
また、歯茎に近い部分に欠けや折れが発生すると、その箇所にプラークが溜まりやすくなり、歯周病が進行する可能性もあるでしょう。
かみ合わせの悪化:歯が抜けた状態で長期間放置すると、噛む力のバランスが崩れ、顎関節症の原因になることがあります。
歯科医院では、欠けた部分の修復や補綴(ほてつ)治療を含む、症状に応じた適切な処置を受けることが可能です。早めの受診が、より良い治療結果につながります。
▶歯が折れた時の応急処置と治療方法については、次のコラムもご覧ください。 慌てず対処!歯が折れた時の応急処置と治療方法

早めの歯科受診を
歯が折れた・欠けた際の最善の対応は、少しでも早く歯科を受診することです。歯科医師が破損状況や周囲の組織の状態を診断し、最適な治療法を提案してくれます。
受診時には以下の情報を伝えると、診療がスムーズになります。
1.トラブルが起きた日時と経緯
2. 抜けた歯や破片の保存状況
3.痛みや腫れなどの症状
早期の受診は、治療の選択肢を広げるだけでなく、さらなるトラブルを防ぐためにも重要です。
また、歯の破片を乾燥させないこと、応急処置を施した後は早急に歯科を受診することが口内の健康維持の鍵となります。
いざというときに備え、本記事の内容を参考にして適切な行動を心がけてください。
筆者:seeker編集部