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2025/03/27
歯の神経が「死ぬ」とはどういうこと?わかりやすく解説!

「歯の神経が死ぬ」とは、歯の内部にある神経や血管が壊死することです。この状態を放置すると細菌感染が広がり、歯を抜かなければならない場合もあるため、早めの治療が大切です。
この記事では歯の神経が死んでしまう原因や、死んでしまった場合の処置法、放置した際のリスクなどをご紹介します。
歯の神経が死んでしまう原因とは?
歯の神経が死んでしまう原因として、主に虫歯の進行や外傷、歯軋りなどが挙げられます。
神経がダメージを受けると最初は痛みを感じることが多いですが、放置すると神経が死に、痛みを感じなくなるでしょう。最終的には歯を失うリスクもあります。
まず具体的な原因について詳しく解説します。
原因1 虫歯の進行
歯の神経が死んでしまう最も一般的な原因は、虫歯の進行です。初期の虫歯では痛みを感じることが少ないため、そのまま様子見をしてしまうケースが少なくありません。
しかし、虫歯がエナメル質や象牙質を超えて神経(歯髄)に到達する段階まで進行すると歯髄が炎症を起こし(歯髄炎)、最終的に神経が壊死してしまうのです。
原因2 歯への外傷(怪我や事故)
事故や転倒などによって歯に強い衝撃が加わると、歯の内部の神経が損傷を受けて壊死することがあります。
ぶつけた直後は異常がなくても、時間が経つにつれて歯の色が変色することがあります。これは、神経が死んでしまったことを示しており、見つけ次第早急な治療が必要です。
原因3 歯軋りや強い噛みしめ
無意識のうちに行っている歯軋りや強い噛みしめも、神経の壊死につながることがあります。
長期間にわたる強い圧力が歯にかかると、神経がダメージを受けて徐々に死んでしまうのです。特にストレスや緊張が原因で歯ぎしりをしている方は要注意です。

歯の神経が死んでしまった場合の治療法
ここでは歯科医院での主な治療方法について紹介します。
歯垢・歯石の除去
歯の神経が死んでしまうと、痛みを感じなくなることがありますが、放置すると抜歯しなければならない事態になることもあります。
そのため、以下のような適切な治療が必要になる場合があります。
根管治療(神経を取り除く治療)
神経が死んでしまった歯を保存するためには、根管治療が必要になります。
これは、神経が死んでしまうと、歯の内部で細菌が繁殖し、歯の根っこに病巣が出来たり、根管内で炎症を起こしたりする可能性があるためです。結果として歯肉の腫れや圧迫痛が引き起こされることがあります。
治療では壊死した神経を取り除き、根管内を消毒・清掃した後に薬剤を充填します。
抜歯が必要なケース
根管治療で対処できないほど細菌感染が進んでいる場合や、歯が割れてしまっている場合には、抜歯が必要になることがあります。
重度の感染が広がると周囲の歯茎にも悪影響を及ぼすため、感染の度合いによっては歯科医師が抜歯の判断を行うこともあるでしょう。
被せ物での補強処置
根管治療を行った歯は脆くなりやすいため、被せ物(クラウン)で補強する処置が必要になります。特に奥歯は噛む力が強いため、自分の歯を長持ちさせるために根幹治療後に金属やセラミックのクラウンを装着することがほとんどです。
症状や進行状況によっては、被せ物をせずにレジンなどで穴をふさいで治療を完了する場合もあります。

歯の神経が死んだ場合に放置するリスク
歯の神経が死んだまま放置すると、内部で細菌が繁殖し、感染が広がる可能性があります。
初期は自覚症状が少ないこともありますが、炎症の進行にともなって、さまざまな口内トラブルを引き起こしかねません。
歯茎の腫れや膿の蓄積(根尖性歯周炎の進行)
神経が死んだまま放置すると、歯の根の先に膿が溜まり、根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)を引き起こします。根尖性歯周炎は、歯茎の腫れや強い痛みを伴うだけでなく、顔の腫れや発熱を引き起こすこともあります。
噛むたびに痛みや違和感が生じる
神経が死んだ歯は一時的に痛みを感じなくなることがありますが、感染が進行すると噛むたびに痛みや違和感が出てきます。放置すると歯が割れるリスクも高まるため、早期の治療が重要です。
炎症が周囲の組織や骨に広がると、腫れや膿がたまり、いっそう強い痛みを引き起こすことがあります。
全身への悪影響
感染が広がると、歯だけでなく全身に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、細菌が血流に乗って全身に広がると、心臓や腎臓に悪影響を与えることが指摘されています。
さらに、細菌によって糖尿病の悪化や誤嚥性肺炎のリスク増加など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性も指摘されています。免疫力が低下し、様々な感染症にかかりやすくなる恐れもあるため、口腔ケアは全身の健康維持に不可欠です。

違和感があれば迷わず歯科医院へ相談を
「歯の神経が死ぬ」という状態は、決して珍しいことではありません。しかし、そのままにしておくと、口内環境が悪化し、最悪の場合は抜歯が必要になることもあります。
虫歯や外傷、歯軋りなどが原因で神経がダメージを受けることがあるため、日頃から歯の状態に注意を払いましょう。
もし、歯の色が変わったり、違和感を覚えたりしたら、すぐに歯科医院で相談することをおすすめします。早期に適切な治療を受けることで、歯を残せる可能性が高まります。
歯の健康を守るためにも、定期的な歯科検診を習慣にしましょう。
▶歯の神経の役割と炎症の影響については、こちらのコラムをご覧ください。 歯の神経の役割と炎症時の影響:早期治療の重要性
▶歯の神経を抜くメリット・デメリットと注意点については、こちらのコラムをご覧ください。 歯の神経を抜くとどうなる?メリット・デメリットと治療後の注意点
筆者:seeker編集部