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2021/08/25

ヤニによる着色だけじゃない!喫煙が歯に与える影響とは

喫煙は肺を汚すといわれますが、お口の中にも大きく影響を与えます。タバコの煙が身体に吸収される道のりを想像してください。タバコの煙はお口を通って身体に吸収されるため、お口は喫煙の影響を最初に受ける器官です。しかもお口の中の粘膜は、さまざまな成分を吸収しやすい性質を持っています。

喫煙が私たちのお口の中に及ぼす悪影響について、詳しく解説します。


ヤニによる着色

タバコを吸う習慣があると、ヤニによる着色で歯が黄色くなることがあります。歯に付着するヤニとは、タバコの煙に含まれる粒子成分である「タール」を指します。タールは油分を含んでいるため、歯に絡みつくように付着します。

接着剤のように歯に付着したヤニにはコーヒーや赤ワインなどの色成分が張りつき、ますます歯は黄色く着色することがあります。歯に付着したヤニは通常の歯みがきでは落とすことができません。適切なケアをしない限り、喫煙者の歯の黄ばみはどんどん蓄積してしまいます。

タバコによる見た目への影響は、ヤニによる歯の着色だけに留まりません。お口の中の粘膜にはタールやメラニン色素が沈着し、歯茎や唇は黒ずんだ色になります。また、喫煙の影響で毛細血管が収縮するため、歯茎はますます暗紫色になってしまうことがあるのです。




口臭

口臭も喫煙がお口に及ぼす悪影響のひとつです。タバコに含まれる成分そのものが臭いを発することはありませんが、それらは唾液の分泌を抑制する作用を持ちます。唾液の分泌量が減ってしまうと、お口の中の自浄作用や殺菌作用が働かず、雑菌が増殖したりお口の中が乾燥したりし、きつい口臭を発します。 また、歯に絡みついたヤニや汚れ、舌の表面にこびりついた苔状の汚れも口臭の原因になります。



タバコと歯周病

タバコの成分はお口の中を通過するだけでなく、歯や粘膜に付着してお口の中に長くとどまります。ヤニが張りついた歯には、歯周病の原因である歯垢や歯石がつきやすくなります。さらに、タバコに含まれる成分は唾液の分泌を減らしてしまうので、お口の中の自浄作用や殺菌作用が妨げられ、お口の中は歯周病菌の温床になります。

加えて、歯に張りついたヤニに含まれるニコチンは、じわじわとしみだしお口の中に吸収されます。これがとても厄介で、吸収されたニコチンや一酸化炭素がお口の中の毛細血管を収縮させ、それにより血行が悪くなると歯茎に送られる酸素や栄養が不足します。その影響でお口の中の免疫力は低下し、歯周病が進行しやすいことがあります。

お口の中の免疫が下がった喫煙者は、歯周病が治るまでに時間を要します。たとえスムーズに治療ができたとしても、再発リスクが高いため、高度な歯周病治療が思うように進まないこともあるでしょう。




歯が抜けることも!?

歯周病は、歯を支えている歯茎や骨などの組織が炎症を起こす病気です。非喫煙者であれば、初期の段階で歯茎からの出血などがあり歯周病に気がつくことができますが、ニコチンの沈着した歯茎は腫れを目立たなくし、さらには血管収縮作用によって歯周病による出血を抑えてしまいます。

そのため、喫煙者は非喫煙者に比べ歯周病に気づかないことが多く、症状が悪化しやすくなるのです。歯周病が悪化すると歯茎が下がって歯がグラグラすることがあり、さらに悪くすると自然に抜け落ちたり歯科医院での抜歯が必要になったりすることもあります。



むし歯になりやすい

タバコを吸う人のお口は、むし歯が発生しやすい環境になる傾向にあります。タバコに含まれるニコチンの影響で唾液の分泌量が減ると、お口の中の細菌を洗い流す自浄作用や殺菌作用が低下します。そのため、むし歯の原因となるプラークや歯石が付着し、むし歯菌が増殖します。

歯周病が進行している場合、歯茎が下がり歯根部分がむき出しになってしまうことがありますが、本来であれは歯茎に隠れているはずの歯根は、歯質が弱くむし歯になりやすい部分です。むき出しになった歯根には汚れがたまりやすく、むし歯のリスクは高くなります。

また、喫煙をしている人のお口の中は抵抗力が下がっているため、環境が悪化しやすいことも喫煙者がむし歯になりやすいといわれる要因のひとつです。




粘膜の病気や口腔ガンも

歯の着色、口臭、歯周病、むし歯と喫煙による悪影響を挙げてきましたが、もっと悪くすると粘膜の病気に始まり、口腔がんや咽頭がん、舌がんの発症リスクが高くなることも忘れてはなりません。お口はもちろん、身体の健康を考えるのであれば、禁煙や節煙をおすすめします。

どうしても喫煙がやめられないのであれば、歯の寿命を少しでも長くするために歯科医院で歯のクリーニングを受けて、少しでもヤニを落としましょう。ヤニは歯ブラシによるブラッシングで落とすことは難しいため、専用の機器を使用したクリーニングを行います。ハイリスクな喫煙と付き合うためには、歯科医院でのメインテナンスや定期検診が必要不可欠です。


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筆者:seeker編集部

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