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2021/09/03

歯が伸びた!気のせい?元に戻る?

seekerに一本の体験談が寄せられました。その体験談は、むし歯の治療中にもかかわらず歯科医院への通院をやめてしまったことから始まります。

治療途中の歯をしばらくの間放置してしまったことで、なんと治療していた上の歯が、下に向かって伸びてきたのだといいます。実際に「歯が伸びる」ことは起こりうるのでしょうか。


歯が抜け落ちることで、伸びていると感じるケース

歯が伸びたと感じるケースには、主に2つのパターンが考えられます。ひとつは実際に歯が抜け落ちてきているという症状で、冒頭で紹介した「治療途中の上の歯」のケースはこれに当たります。「抜け落ちる」といっても実際に歯が欠損するわけではなく、歯が伸びたと感じる程度、わずかに上下に抜けるという症状を指します。では、どんな時に歯が抜けてくるのでしょう。



こんな時に歯が伸びる

抜歯した歯や被せ物が取れた歯をそのまま放置すると、欠損している歯と噛み合う歯が伸びているように感じることがあります。上の歯の場合、下に向かって抜け落ちるように伸び、下の歯の場合、上に伸びるように浮き上がります。歯は、元々噛み合っていた歯を失い刺激を受けなくなることで、噛み合う対向歯を探しはじめます。

その結果、空いたスペースを埋めるかのように歯が伸びてしまいます。早い場合は数週間で歯が伸びはじめるケースもあるのです。



伸びた歯はどうなるの?

歯が本来の長さ以上になってしまうと、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。噛む力が一部の歯だけに偏ってかかると、周りの噛み合わせに影響し歯並びが悪くなったり、歯が削れてしまったりすることがあります。顎関節にも負担がかかり、顔の歪みを引き起こすこともあるでしょう。

さらに、歯が伸びることにより歯茎に隠れている歯の支えとなる部分がどんどん短くなってしまうので、歯がグラグラしたり、もっと悪くすると歯の欠損につながる恐れもあります。

歯が伸びてしまうと、伸びた部分を削って短くし、被せ物で歯の形を治したり歯列矯正をしたりし、治療をせねばなりません。本来削る必要のなかった歯まで削り、場合によっては歯の神経を取る治療が必要になることもあります。欠損した歯を放置することで、本来かからなかった費用や時間、お口への負担をかけて治療をすることになるのです。



どうしたら防ぐことができる?

不必要に歯を伸ばさないためには、治療を途中でやめないこと、折れた歯や被せ物が外れた歯をそのままにしないことが重要です。抜けた歯を放置することで、対向歯はもちろん、両隣の歯にまで大きな影響を及ぼすこともあります。まさか歯が伸びるとは思わず、欠損した歯をそのままにしてしまうことは少なくありません。歯科治療を最小限に抑えるためにも、継続した治療や早めの受診は絶対に必要なのです。



歯が伸びたように感じるケース

一方、歯が伸びたように感じていても実際に変化していないケースがあります。しかし、単なる気のせいではなく、「歯が伸びている」という感覚に間違いはありません。



歯茎が下がり歯が伸びたように見える

歯茎が痩せたり下がったりしたため歯の根元が見えて、歯が伸びたように感じるのがこのケースです。この症状を「歯根露出」といいます。歯根露出にはいくつかの原因があります。

  • 1.歯周病
    歯周病は歯を支えているアゴの骨が溶けてなくなる病気で、アゴの骨が減ることで骨の上に乗っている歯茎も段々と下に下がってきてしまいます。
  • 2.加齢
    個人差がありますが、加齢とともに歯茎が痩せて下に下がることがあります。
  • 3.誤った歯みがき
    ブラッシングをする時に強い力でゴシゴシみがく癖があると、歯茎が傷ついて下がってしまいます。
  • 4.噛み合わせの悪さや食いしばり
    噛み合わせが悪く、日常的に特定の歯だけに力が加わってしまうと、その部分の歯茎が痩せてしまうことがあります。



歯茎が下がった歯はどうなるの?

下がった歯茎をそのままにすると、歯周病が進行することがあります。歯周病が進行するとアゴの骨が歯を支えきれなくなり、最終的には歯が欠損する恐れがあります。歯を失ってしまうと食事や発音などの日常生活に支障を来すでしょう。

また、歯茎が下がって広くなった歯と歯の隙間や露出した歯根の部分には食べカスやプラークがたまりやすく、むし歯になったり知覚過敏を引き起こしたりします。歯茎の下がった口元は老けた印象を与えるなど、審美的な要素にも大きく影響するでしょう。下がった歯茎は、歯茎の移植や切除などの再生治療をしないと治すことができない場合もあります。



どうしたら防ぐことができる?

正常な歯茎を保つためには、正しい歯みがきが重要なカギをにぎります。歯ブラシは毛先がやわらかく、先端がコンパクトで小回りの利くサイズの歯ブラシがおすすめです。力の入れすぎに注意し、根元に沿って小さく円を描くように、やさしくブラッシングしましょう。

そうはいっても、正しく歯をみがけているかは怪しいところ。例え時間をかけてみがいたとしても、みがき残しだらけという場合も少なくありません。しっかりと効果的なブラッシングを行うためにも、歯科医院でブラッシング指導を受けることをおすすめします。



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筆者:seeker編集部

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