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2023/02/07
歯医者でのボトックス注射、何に効く?効果や注意点を解説
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ボトックス(ボツリヌス)治療と聞くと、美容外科で行われる顔のシワ取りなどをイメージする方が多いかもしれません。実際に美容外科で用いられることが多い治療法ですが、近年では歯科領域でも、噛む力を調整し様々なトラブルから歯を守るための治療法として選ばれることがあります。 今回は、歯科医院で行われるボトックス注射の効果や注意点について詳しく解説します。
ボトックス注射とは
ボトックスとは、ボツリヌス菌から抽出されるタンパク質の一種です。筋肉に注射すると神経に作用し、筋肉の働きをやわらかく緩めた状態にする効果が期待できます。 ボトックス注射はこの作用を利用して行うものです。美容外科では主に、筋肉の過度な緊張が原因で生じるシワの改善や、小顔治療などにボトックス注射が用いられています。 一方、歯科医院で行うボトックス注射は、咬筋(こうきん)という顎周りの筋肉の過度な発達と委縮を和らげ、筋肉を緩める治療に使用されます。
ボトックス注射の効果
ボトックス注射で得られる歯科領域の効果には、どのようなものがあるのでしょうか。ここからは、 ボトックス注射によって効果が期待される具体的な症状について見ていきましょう。
歯ぎしりや食いしばりの改善
歯ぎしりや食いしばりが習慣化すると、歯に過度な負担とダメージを与えます。そうなると、歯のすり減りや歯周病の悪化に繋がりかねません。咬筋にボトックスを注射することで強い顎の筋肉を緩めることができるため、歯ぎしりや食いしばりの症状を緩和できるでしょう。 咬筋が過度に緊張し、必要以上に発達した状態を放っておくと、顎の痛みや血行不良、肩こり、片頭痛といった様々なトラブルを引き起こしてしまうことも知られています。こういった症状に対しても、ボトックスを注射し緊張をほぐすことで症状を緩和できると期待されています。
▶歯ぎしりについてはこちらの記事をご覧ください 歯ぎしりは治る?原因と対処法を知ろう!

エラ張りの解消
エラの張りの要因は、骨格の遺伝だけではありません。歯ぎしりや食いしばりなどで、咬筋が強く緊張していることも要因のひとつと考えられています。ボトックス注射で筋肉の緊張を緩めることで、歯ぎしりや食いしばりが改善されやすくなるため、結果的にエラ張りの改善も期待できるのです。
顎関節症の緩和
顎関節症の一般的な治療は、顎関節への負担を軽減させることです。顎関節への負担を減らすために、咬合治療やマウスピースによる治療が行われますが、マウスピースの着用は日常生活に支障をきたすこともあります。 その点、ボトックス注射で筋肉の働きを緩める治療法の場合、顎関節に負担をかけずに治療することが可能です。日常生活に支障をきたす可能性は低いでしょう。
▶顎関節症についてはこちらの記事をご覧ください 「口が開かない」「開けるときに痛む」これって顎関節症?

口元のシワの改善
ボトックス注射でお口周りの筋力を緩めることができると、口元のほうれい線を目立たなくさせることもできます。顎にできる梅干しシワやお口周りのシワなどの改善も期待できるでしょう。
その他の効果
ボトックス注射で咬筋の緊張状態を緩めることにより、肩こりや頭痛の改善も見込めます。また咬筋が緩むことで、歯の詰め物や被せ物の脱落を予防する効果もあると考えられています。
ボトックス注射の効果が持続する期間
ボトックス注射の効果が持続する期間には個人差がありますが、概ね3~6ヶ月が目安とされています。一度ボトックス注射を打ったからといって、効果が永久的に続くわけではありません。 ボトックスは、効果が薄れる前に再度注射することが理想です。しかし、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣的な症状の場合は、数回のボトックス治療で改善できることもあります。

ボトックス注射のリスクと副作用
ボトックス注射の魅力を感じる一方で、リスクや副作用を心配されている人もいるのではないでしょうか。歯科医院で行われる治療のためのボトックス注射には、主に次のようなリスクや副作用があります。
- ・注射による多少の痛みが生じることがある
- ・内出血や腫れ、痛みを引き起こすことがある
- ・アレルギー症状が出ることがある
- ・過剰投与によりボトックス注射の効果が薄れることがある
- ・緊張筋以外の部位に投与することで、食事が摂りにくくなることがある
- ・妊娠中・授乳中・妊娠の疑いがある患者さんには施術できない
- ・筋弛緩作用のある薬を服用中の人には施術を行えないことがある
本記事でお伝えしてきたように、歯科医院で行われるボトックス注射によって、お口の様々なトラブルを改善することが期待できます。しかしリスクや副作用もありますので、事前に歯科医師に相談の上、安全に治療を受けられるようにしましょう。
筆者:seeker編集部