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投稿日:2025/06/09
更新日:2025/06/09
歯並びや舌のクセを改善するMFT(口腔筋機能療法)について解説
歯並びが乱れる原因は、遺伝だけではありません。実は、日常の「お口のクセ」が密接に関わっています。そんなクセを改善することで歯並びや口腔機能を整える方法として注目されているのが「MFT(口腔筋機能療法)」です。この記事では、MFTについて解説します。
▶歯並びについては、こちらのコラムをご覧ください。 理想の歯並びを手に入れるための矯正治療ガイド
MFT(口腔筋機能療法)とは
MFT(Myofunctional Therapy/口腔筋機能療法)は、舌、くちびる、頬といった口まわりの筋肉の正しい使い方を習得するためのトレーニング法です。歯並びや発音、呼吸、嚥下といった機能に関わる「お口のクセ」を改善し、子どもから大人まで幅広い年齢層に活用されています。
MFTを行うメリット
MFTは、単なる筋トレではありません。口腔機能のさまざまな側面にアプローチすることで、見た目の改善だけでなく、健康面にも多くの利点があります。
歯並びや噛み合わせの改善・サポート
MFTの主な目的のひとつは、舌の正しい位置を覚えることです。特に「スポットポジション」と呼ばれる、上あごの決まった位置に舌を置く習慣が身につくことで、舌で前歯を押す癖を防ぎます。
さらに、咀嚼や飲み込む動作における筋肉の使い方が整うことで、上下の歯の咬み合わせも安定しやすくなります。歯科矯正だけでは解決できない機能的な課題に、MFTが有効である理由です。
口呼吸の改善と口腔内環境の向上
MFTは呼吸の習慣にも働きかけます。口呼吸を鼻呼吸に切り替えることで、さまざまな健康リスクを下げられるでしょう。
口呼吸が習慣化していると、唇が常に開いている状態が続き、口腔内が乾燥しやすくなります。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、睡眠の質にも影響を及ぼすでしょう。MFTでは、口を自然に閉じ、鼻呼吸を促すトレーニングも行います。
▶口呼吸については、こちらのコラムをご覧ください。 口呼吸を治す方法とは?原因と改善策を徹底解説

発音や嚥下機能の向上
発音が不明瞭だったり、食べ物をうまく飲み込めなかったりする背景には、舌や唇、頬などの口腔筋の使い方に問題がある場合があります。舌の動きや唇の開閉は、発音の明瞭さに直結し、また飲み込みの動作には、舌・頬・唇の協調運動が不可欠です。
MFTでは、これらの筋肉を正しく使えるようにトレーニングを行い、発音の改善や嚥下機能の向上を図ります。
表情筋の強化と全身の健康促進
MFTは、表情や全身の健康にも好影響を与えるとされています。MFTのトレーニングでは、唇や頬、あごの筋肉もバランスよく使うため、自然な笑顔や表情の改善が期待できるでしょう。
正しい嚥下や呼吸が身につくことで、全身の健康状態にも良い影響を与えるという結果が報告されています。
MFTのトレーニング内容
MFTにはさまざまなトレーニング法がありますが、大きく分けると「自宅で行うもの」と「専門機関で受けるもの」に分かれます。それぞれの特長と内容を見ていきましょう
自宅で行うMFT
自宅で行える代表的なトレーニング内容をご紹介します。ポイントは「毎日少しずつ、正しく継続すること」です。
■ あいうべ体操
口を大きく開けて「あー」、横に広げて「いー」、口をすぼめて「うー」、舌をしっかり出して「べー」と順番に動かします。1日30回を目安に行うことで、口唇と舌の筋力がバランスよく鍛えられます。
■ スポットポジションの練習
舌先を上あごの前歯のすぐ後ろ(スポット)に置くことで、正しい舌の位置を覚えます。日常生活の中でリラックス時や嚥下時に意識しましょう。
■ スティックティップ
割り箸やスティックを口の前に垂直に持ち、舌先で押して3秒キープ。この動作を5~10回繰り返すことで、舌尖(舌の先)の筋力が鍛えられます。
■ ポッピング
舌全体を上あごに吸い上げ、「ポン」と音を立てるトレーニングです。舌の筋力と柔軟性を高め、正しい舌の動きを促します。
■ スラープ&スワロー
唇を閉じたままストローで水を吸い、そのまま飲み込む練習です。舌・口唇・喉の協調動作を促し、正しい嚥下動作の習得に効果があります。
■ ボタントレーニング
糸に通したボタンを前歯でくわえ、外から唇の力だけで引っ張るトレーニングです。口唇の筋力を強化し、口唇閉鎖力の向上につながります。
これらのトレーニングを在宅ケアとして取り入れながら、必要に応じて歯科医院でのチェックやアドバイスを受けましょう。

歯科医院で行うMFT
歯科医院では、専門家による個別の診断に基づき、舌・唇・頬などの口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニングを、体系的に指導します。患者一人ひとりの状態に合わせたプログラムを作成し、正しい筋肉の使い方を習得することで、口腔機能の改善を目指すものです。
■ 個別評価とカウンセリング
まず問診と口腔内の診査を行い、舌の位置・動き、口唇閉鎖の状態、嚥下や呼吸の癖などを評価します。これに基づき、個別のトレーニングプランが作成されます。
■ 舌のトレーニング
舌を正しい位置に置く練習をはじめ、舌の可動域や筋力を高めるためのエクササイズを行います
■ 唇・頬のトレーニング
口唇閉鎖力を高めるトレーニングや、頬の筋肉をバランスよく使えるようにする運動を指導します。
■ 嚥下・発音・呼吸の訓練
正しい飲み込み動作、口呼吸から鼻呼吸への切り替え、発音の改善など、日常生活に直結する機能のトレーニングです。
■ 悪習癖の改善
舌突出癖、口呼吸、頬杖、子どもの指しゃぶりなど、歯列や噛み合わせに悪影響を与える癖を改善し、再発や後戻りを防ぎます。
歯科医院でのMFTは、自宅でのセルフトレーニングと比べて、より正確かつ継続的なサポートが得られるのが大きな強みです。

MFTで歯並びや口のクセを整えよう
MFTはすぐに効果が現れるものではありませんが、毎日の小さな積み重ねが、口腔機能の向上につながります。
もし気になるクセがある、または矯正治療を検討している場合は、MFTを取り入れている歯科医院に相談してみましょう。
筆者:seeker編集部

























