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2023/01/12
なりたい口元へ。理想的な歯並びと矯正治療について解説

理想的な歯並びを求めて歯列矯正の治療を行う人も増えているようです。現在の自分の歯並びや、理想的な歯並びとは一体どのようなものかご存じでしょうか。今回は、理想的な歯並びの基準や矯正治療について詳しく解説します。
様々な歯列形態
様々な要因により、成長の過程で「歯列弓」と呼ばれる歯並びのアーチに異常が生じる場合があり、歯は必ずしも綺麗に生えそろうとは限りません。様々な歯列形態をみていきましょう。
U字型歯列弓
「U字型歯列弓」は、理想的な発育をした歯列弓です。歯並びを上から見た時にゆったりとしたアーチを描き、下の歯は上の歯よりも歯の厚みが半分ほど小さい歯列弓のことをいいます。
V字型歯列弓
「V字型歯列弓」は「狭窄歯列弓」とも呼ばれ、本来U字型であるべき歯列弓がV字型のように狭くなっている状態をいいます。口周りの筋力の低下や口呼吸などが原因で、臼歯が歯列弓の内側に寄り歯列弓が狭くなることで、歯並びに影響を与えてしまった状態です。
方形歯列弓(ほうけいしれつきゅう)
「方形歯列弓」とは、前歯の犬歯から犬歯が直線的に並んだ歯列弓のことをいいます。
鞍状歯列弓(あんじょうしれつきゅう)
小臼歯が歯列弓の内側に生えている歯並びのことを「鞍状歯列弓」といいます。下顎に起こりやすい歯列形態です。下顎の第二小臼歯は生えてくる順番が遅いため、歯列弓内にスペースが足りないと内側に生えてきてしまいます。
叢生歯列弓(そうせいしれつきゅう)
「叢生歯列弓」とは、歯が重なり合い、デコボコに生えている歯並びのことをいいます。「乱ぐい歯(乱杭歯)」ともいわれ、上顎の犬歯が歯列から飛び出した「八重歯」も叢生のひとつです。
空隙歯列弓(くうげきしれつきゅう)
空隙歯列弓とは、歯と歯の間に隙間ができてしまう状態です。特に上の前歯二本の間が空いている場合は「正中離開(せいちゅうりかい)」といわれ、歯と顎の大きさのバランスが悪い場合や、歯の数に異常がある場合などに生じます。
歯並びがデコボコしていない
歯並びが整っている人は、歯がデコボコしておらず前歯の乱れがありません。デコボコしているということは、歯の大きさと顎の幅のバランスが取れていない状態です。
歯の真ん中が合っている
上下の前歯が揃っていて、左右対称に歯が並んでいると綺麗な歯並びに見えます。歯の真ん中が大きくずれているということは、左右非対称であったり奥歯の噛み合わせが悪いなど、歯並びに何かしらの問題があることを表しています。
横顔が綺麗
横顔を見た時、鼻先と顎先にかけて引いた直線をEラインといい、唇がこのEライン上にあると美しい横顔に見えると言われています。歯並びは横顔のバランスにも影響を与えるのです。
▶Eラインについてはこちらの記事をご覧ください Eラインを美しく保つためのポイント!矯正や体操が効果的

歯の噛み合わせが良い
奥歯の噛み合わせが良く、横から見た時に隙間がなく噛んでいる状態は綺麗な歯並びといえます。正面から見た時に、一見整った歯並びに見えても、横から見た時に出っ歯や受け口になっていたりすると、噛み合わせに影響が出ることもあります。
歯並びが与える健康面への影響
理想的な歯並びは見た目だけでなく、健康面に大きな影響を与えることがあります。歯並びや噛み合わせの乱れは、審美面だけの問題ではないのです。歯並びが悪いと、健康にどのような悪影響があるのか知っておきましょう。
虫歯や歯周病のリスクが上がる
歯並びが悪いと、磨きにくい場所が出てきてしまうため、汚れが取り切れないことも多いです。そうなると、虫歯や歯周病になりやすくなってしまうでしょう。 また、かみ合わせが悪いことで口呼吸になる人もいます。口呼吸になると、虫歯や歯周病の進行を予防する唾液が十分に分泌されず、口腔内が乾燥した状態になってしまいます。結果的に、虫歯や歯周病のリスクも高まってしまうのです。
発音が不明瞭になる
噛み合わせが悪いことで特定の発音が不明確になるなど、発音に違和感が生じる場合があります。特に、受け口の状態だと滑舌が悪くなりやすい傾向が知られています。

消化機能が低下する
歯並びや噛み合わせが悪いと、十分に咀嚼できず胃腸に負担がかかりやすくなってしまいます。歯並びや噛み合わせが悪いことで、消化不良につながる場合があるのです。
顎関節への負担が大きくなる
歯並びや噛み合わせの悪いと、顎の関節や周囲の組織に負担がかかるため、顎関節症を発症することがあります。 顎関節症を発症すると、顎関節で音がしたり、食べ物を噛む時に痛みや異常を感じたりすることがあります。そのほか、肩こりや腰痛といった全身症状を誘発することも少なくありません。
▶噛み合わせが体に与える影響についてはこちらの記事をご覧ください 実はとても大切!噛み合わせが身体に与える影響とは?
矯正治療で理想的な歯並びへ
様々な原因で悪くなる歯並びですが、矯正治療を行うことで理想の歯並びに近づくことができます。ここからは矯正治療について紹介しましょう。
ブラケット矯正(ワイヤー矯正)
「ブラケット矯正(ワイヤー矯正)」は、重度の歯並びの乱れにも対応できる矯正方法です。適応症例が幅広いというメリットがあります。歯の表面にブラケットとワイヤーという装置をつけるため目立ちやすいのが難点です。
マウスピース矯正
「マウスピース矯正」は、理想の歯並びに近づくよう、オーダーメードで作製された透明なマウスピースを装着して歯を動かす矯正方法です。 ワイヤー矯正のように目立ちません。また、着脱可能であることや清潔に保ちやすいことなど多くのメリットがあり、大人の矯正治療の中でも人気があります。
▶マウスピース矯正についてはこちらの記事をご覧ください 目立たずにできる歯列矯正ならマウスピース矯正

子供の場合
成長期の子供は、「急速拡大装置」という器具で歯列全体を整える治療法が適用されることがあります。この装置は短期間で歯列全体を拡大できるメリットがあります。
カウンセリング時にどうなりたいのか相談を
整った歯並びは、見た目だけではなく健康面にも良い影響をもたらします。歯並びにお悩みの方は、歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。 満足のいく矯正治療には歯科医師との相互理解が欠かせません。治療を始める前のカウンセリングで、口元の悩みや希望の治療などを相談することが、理想の歯並びの実現への第一歩となります。気になることは歯科医師に相談し、納得してから矯正治療を始めましょう。
▶矯正歯科についてはこちらの記事をご覧ください 矯正歯科を選ぶ時に知っておきたい4つのポイントとセカンドオピニオン
筆者:seeker編集部