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2023/06/13
歯の寿命はどのくらい?歯を失う原因と対策、健康との関係を紹介
歯の寿命はどのくらいかご存じでしょうか。 正常な人の歯の本数は、親知らずを含めて32本です。歯の本数を維持することで健康的に過ごせるといわれています。一方で、厚生労働省が2016年に行った歯科疾患実態調査によると、60歳代では24.5本、75歳では15.7本まで減ってしまうことがわかりました。 日本では8020運動が行われており、80歳までに20本の歯を残すことで健康寿命を延ばせるとされています。そう考えると、現時点では日本人の口腔内環境について課題があるといえるでしょう。 今回は、日本人の歯の寿命や歯を失う原因をお伝えするとともに、歯と健康の関係や歯の寿命を延ばすためのメンテナンスについて紹介します。
歯の寿命は?
一般的に歯の寿命は60年ほどといわれています。「e-ヘルスネット」に掲載されている「歯の喪失と年齢についてのグラフ」によると、55~64歳から徐々に歯が抜け始めていることがわかります。
ところで、DMF歯数(DMFT指数)をご存じでしょうか。DMF歯数とは、永久歯の虫歯経験を示す指標のことです。DMFには以下のような意味があります。
DMF歯数を限りなくゼロに近づけることが、歯の寿命を伸ばすことにつながります。
歯を失う原因
歯の寿命を短くしたり、失ったりする主な原因には、虫歯と歯周病の2つがあります。比較的若い年齢層は虫歯によって歯を失うケースが多く、残った歯が少なくなるにつれて歯周病が原因で歯を失う傾向にあるようです。 失いやすい歯として、以下のような歯があげられます。
歯周病が進行している場合、歯周病が原因で歯がぐらつき、最終的に自然に抜け落ちるケースもあります。
しかし歯を失うケースのほとんどが、歯科クリニックでの抜歯によるものといわれています。歯科クリニックで抜歯に至る原因とその割合は以下のとおりです。
(参考:歯の喪失の原因 | e-ヘルスネット(厚生労働省))
上記からもわかるように、虫歯や歯周病は、歯を失う大きな原因となります。 また抜歯に至る破折は、物理的なものではなく、虫歯などにより神経を抜いた歯が折れたり欠けたりしたものだと思われます。神経を抜いた歯は、栄養が十分に届かなかったり、虫歯を自覚しにくかったりといった理由で寿命が短くなりやすいのです。
歯の寿命と健康の関係
歯の寿命と健康は密接に関わっています。愛知県知多半島に住む65歳以上の人を4年間追跡した研究によって、以下のようなことがわかりました。 ”歯が多く残っている人や、歯が少なくても義歯等を入れている人では、歯が少なく義歯を入れていない人と比較して、年齢、治療中の病気や生活習慣などの影響を取り除いても、その後に認知症発症や転倒する危険性が低い”
引用元:8020現在歯数と健康寿命 - 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク
この研究ではさらに、自身の歯が19本以下の人は、20本以上の人に比べて要介護認定を受ける可能性が1.2倍も高まることがわかりました。つまり、自身の歯が多いほど要介護状態になる可能性が低くなるということです。 健康寿命を延ばすためには、自身の歯の寿命をできる限り延ばすことが大切といえるでしょう。
歯と健康の寿命を延ばすにはメンテナンスが大切
歯の寿命を延ばし、健康に過ごせる期間を長くするためには、歯のメンテナンスが欠かせません。初期の虫歯や歯周病は自覚症状を感じにくいため、定期的に歯科クリニックを受診して早期発見・早期治療につなげましょう。 また、歯石や歯垢の除去といった歯のクリーニングも重要です。毎日、しっかりと歯磨きをしていたとしても、ブラシが届かない場所には歯垢や歯石ができやすくなります。セルフケアで取り除けない歯垢や歯石を放置すると虫歯や歯周病の原因となるため、歯科クリニックで除去してもらうようにしましょう。
▶歯のクリーニングについては、次のコラムをご覧ください。 歯のクリーニング・PMTCが医療費控除の対象になるかも?メリットや種類も紹介
歯の寿命を延ばして健康に過ごそう
歯の寿命を延ばすことは、健康寿命を延ばすことにつながります。年を重ねても健康に過ごせるよう歯のメンテナンスを定期的に行い、虫歯・歯周病予防に努めましょう。
筆者:seeker編集部