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2021/06/24
歯に悪い食べ物はよく聞くけれど…歯に良い食べ物・食べ方ってあるの?
歯に良くないことを理由に制限をする食べ物はあるものの、『これは、歯に良いから食べなさい!』なんてセリフは、あまり耳にすることがありません。歯に良い食べ物はあるのでしょうか? 今回は丈夫で強く、そして健康な歯にするための基礎となる食べ物や効果的な食べ方を紹介します。
強い歯をつくるには
歯に良い食べ物は、「歯をつくるために必要な栄養素を含む食べ物」と「食べながら歯の表面をきれいにする食べ物」の二つに分かれます。まず、健康な歯や歯茎をつくるために必要な栄養素をみてみましょう。
カルシウム
歯を形成するために重要な栄養素がカルシウムです。歯の表面のエナメル質を強固なものにするために必要です。 乳製品や小魚、大豆製品など多くの食品に含まれているカルシウムは、骨を強くする栄養素として広く知られていますが、歯も同様に強くします。
ビタミンA
歯の表面のエナメル質を強化するために役立つのがビタミンAです。ビタミンAはタンパク質とくっつくことで、より使われやすくなります。レバーやうなぎ、かぼちゃなどの緑黄色野菜にも多く含まれています。
ビタミンC
ビタミンCは歯の象牙質の形成に必要な栄養素ですが、それだけではありません。粘膜の炎症、口角炎、歯周病などを予防するために欠かせないコラーゲンを作り出すために、欠かすことのできない栄養素です。ブロッコリーやピーマン、小松菜・ジャガイモなどの野菜に多く含まれています。
ビタミンD
歯を形成するためにはカルシウムが重要とお伝えしましたが、ビタミンDはカルシウムの吸収率を高めてくれる栄養素です。鮭やさんまなどの魚類、椎茸やしめじなどのきのこ類にも多く含まれています。
タンパク質
タンパク質は、歯茎や歯槽骨、歯周組織の健康維持に欠かせない栄養素の一つとされ、歯周病予防でも注目されています。特に線維性タンパク質と呼ばれるコラーゲンは、細胞と細胞の間を埋める役割を持ち、コラーゲンが不足すると歯茎が衰えてしまうのです。 お肉やお魚、納豆などの大豆製品や卵などに含まれています。
マグネシウム
カルシウム同様に骨や歯をつくるために必要な栄養素の一つです。アーモンドなどの種実類や、わかめやもずくなどの藻類に多く含まれています。
強い歯をつくるためにも、これらの栄養素を含む食材を積極的に摂るように心がけましょう。
歯をきれいにしてくれる?【清掃性食品】
毎日の食事で歯をきれいにしてくれる食べ物があることを知っていましたか?食べる時に行う咀嚼によって歯の表面についた汚れを落としてくれる食品を、直接清掃性食品と呼んでいます。 キャベツ・人参・ごぼうなど、食物繊維を豊富に含む食物が、代表的な直接清掃性食品です。噛めば噛むほど清掃効果を発揮するので、ある程度の硬さを残した調理をおすすめします。
また、唾液の分泌を促進し汚れを流してくれる食品を間接清掃性食品と呼んでいます。梅干しなどの酸っぱい食品が間接清掃性食品に分類されます。これらを口に含むと唾液の分泌が促され、食べかすなどがお口の中に残ってしまうことを防ぎます。 直接清掃性食品と間接清掃性食品の二つを合わせて「清掃性食品」と呼んでいます。歯をきれいにするとわかると、これまで以上によく噛んで食べよう!という意識が生まれるかもしれませんね。
食事の仕方にも秘密が・・・
健康な歯をつくる秘密とは「規則正しく、集中して食事する」というシンプルなものです。 忙しい時にありがちな、あまり噛まずに飲み込んでしまう「流し食べ」は、咀嚼の回数が少ないために満腹感が得られず、食事の回数が多くなってしまいます。肥満リスクはもちろん、噛む力を使わないので顎の発達にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、テレビやスマートフォンを見ながらついつい手元にあるお菓子を食べていたり、食事や間食の回数が多く、常に何かつまんで食べていたり…そんな「だらだら食べ」の習慣はありませんか? 食事の後は、お口の中が酸性になります。その状態が続くことにより、歯が溶けてもろくなり、むし歯のリスクも高くなってしまいます。 ここで大切な役割を担うのが唾液です。唾液に含まれる成分により、酸性になったお口の中が中和させるサイクルが行われています。時間を決めて食事に集中し、よく噛むことにより唾液の分泌が促されます。
また、満腹中枢がコントロールされ食事の量や間食の回数も少なくすむので、お口の健康だけでなく肥満防止にもつながります。規則正しく、集中して食事をするというシンプルなルールなら、今日から少しずつ始められそうな気がしますね。 歯みがきなどのセルフケアや歯科医院での定期検診に加え、毎日の食生活から歯の健康を意識してみてはいかがでしょうか。丈夫で強くきれいな歯を保つためにも、次の食事から歯を健康にする食生活をはじめましょう。
筆者:seeker編集部