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2022/01/20

お口の中に潜む金属アレルギーの危険

金属アレルギーといえば、アクセサリーや時計などの金属を身につけることでアレルギー反応を起こし、皮膚や粘膜がかぶれたり痒くなったりする症状を思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし、金属アレルギーを引き起こすのはアクセサリーや時計だけではありません。お口の中の金属によって、金属アレルギーを発症するケースがあります。今回のコラムでは歯科金属が引き起こす金属アレルギーの症状や検査、治療方法についてまとめてみました。


歯科金属による金属アレルギーとは


金属アレルギーの原因となる金属

歯科治療で使用される詰め物や被せ物には、比較的安価で耐久性の高い金属が広く使われています。その金属こそが、お口の中で金属アレルギーを起こす要因なのです。

例えば詰め物や被せ物でよく使用される銀歯は、銀だけでできているわけではありません。銀を主成分とし、金銀パラジウム合金や銀合金、近年では使用が制限されているニッケルクロム合金などを含んでいます。これらの銀歯に含まれる歯科用金属が、金属アレルギーの原因になりやすいと考えられています。

また、銀歯はないから心配ないと思っていても、義歯のブリッジのほか、セラミックの裏側や歯の土台などの見えない部分にも金属が使われていることがあるので、油断はできません。




金属アレルギーの仕組み

水分に溶け出した金属がイオン化し、身体の中に吸収されることで金属アレルギー症状は発生します。常に唾液に触れているためイオン化しやすいお口の中の金属は、アレルギーの原因になりやすいと考えられています。



金属アレルギーの症状

金属アレルギーを発症すると、口内炎や歯周病、舌炎のように、お口の中が炎症を起こしたり、口唇炎や口角炎のように唇が赤く腫れてただれたりする症状のほか、手や足、背中などのお口以外の部位に皮膚炎のような湿疹や水膨れが現れるケースもあります。

そのほかに、味覚異常や頭痛、肩こり、立ちくらみなども金属アレルギーの症状といわれています。金属アレルギーの原因物質は血液の循環によって全身を巡ります。そのため、お口にとどまらず、さまざまな部位に症状が出てしまうのです。お口の中の異常はまだしも、お口とは全く関係ない部位の不調の原因が、まさか金属アレルギーと疑うことはほぼないでしょう。そのため、金属アレルギーに気がつけないことも少なくないのです。




金属アレルギーの検査とは

原因となっている金属を特定し、撤去・交換するために、金属アレルギー検査をします。一般的によく行われる方法が、金属パッチテストです。金属パッチテストとは、背部や上腕の皮膚に金属の成分を含んだ試薬を貼付して、アレルギー反応の出方を調べる検査方法で、歯科用金属で使用されることの多いニッケルやパラジウム、銀などに対するアレルギー反応を検査することができます。

そのほか、歯科医院によって異なりますが、血液検査や口腔内金属成分検査分析、金属溶出度テスト、リンパ球刺激テスト、毛髪検査など様々な検査を用いて、アレルギーのある金属がお口の中にあるのかを調べます。アレルギー検査は、必要に応じて専門的な皮膚科などと連携をとって行われることもあります。



金属アレルギーの治療方法

アレルゲンがお口の中の歯科金属に含まれていることがわかったら、金属アレルギーの原因である金属を完全に取り除き、アレルギー症状が改善するかを観察します。お口の中にある金属を除去し症状の改善が見られれば、金属の代わりにアレルギーを起こしにくいセラミックなどのメタルフリー素材を使って、金属を入れていた部分を修復します。



金属アレルギーを予防するために

金属アレルギーは、歯科金属を装着して即発症するわけではなく、多くの場合、長い年月を経て身体の不調として現れます。要因となる金属がイオン化して体内に入り込んでアレルゲンの形になり、高い濃度で排出された時に、初めてアレルギー症状となるのです。

さらに、金属アレルギーには個人差が大きく、低い濃度、短い期間で発症する人もいます。これまで金属アレルギー反応がなかったとしても、この先お口の中に金属を入れている限り、ある日突然金属アレルギーの症状を発症する危険と隣り合わせであるといっても過言ではありません。



金属アレルギーのリスクを極力下げるためには、金属の詰め物や被せ物は避け、メタルフリー素材であるセラミックなど、金属アレルギーの心配がない素材の使用をおすすめします。しかし、メタルフリー素材は保険がきかないため、比較的治療費が高くなります。素材選びや治療の進め方をしっかり相談し、治療を行いましょう。



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筆者:seeker編集部

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