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2024/01/25
歯医者に通えないけど治療したい・・訪問歯科とは
歯科医院で定期的に検診を受けることで、最低限の治療ですんだり、虫歯や歯周病といった口腔内のトラブルを防いだりすることが可能です。しかし、歯科医院に通院することが難しい場合、口腔内のトラブルを抱えたまま過ごしている人も多いのではないでしょうか。 そのようなときには訪問歯科を検討してみてください。今回は訪問歯科の診療内容や、メリット・デメリットについてくわしく解説します。
訪問歯科とは
訪問歯科とは、持病や精神的な理由で歯科医院に通院できない人に対し、歯科医師や歯科衛生士が自宅や介護施設、病院などを訪れ、歯科診療や口腔ケアを行うことです。歯科医師や歯科衛生士が歯科診療に必要な器具を持ち込んで診療します。 基本的には歯科医院で受ける診療と同じレベルの診療を受けられますが、治療内容によっては、歯科医院で受けるより、治療内容が制限されたり治療に時間がかかったりすることもあります。
訪問歯科の対象となる人
訪問歯科で診療を受けられるのは、基本的に次のような人です。
なお、内科などほかの医療機関に通院している場合は通院困難とは認められず、対象から除かれることがあります。 訪問歯科の対象となるかどうかの最終的な判断は、歯科医師が行います。対象になるか知りたい場合は直接歯科医院に相談するとよいでしょう。
訪問歯科の診療内容
訪問歯科での診療内容には次のようなものがあります。
虫歯や歯周病の治療
訪問歯科では、虫歯や歯周病の治療ができます。歯を失うおもな原因とされている虫歯や歯周病ですが、初期の段階で自覚できる症状はほとんどありません。 もし何らかの症状が出ている場合は、虫歯や歯周病が進行している可能性があり、早めの治療が必要です。
▶歯周病の初期症状については、次のコラムをご覧ください。 もしかして歯周病?こんな症状に要注意
口腔ケア
訪問歯科では、歯科衛生士による口腔内のクリーニングや歯磨きの指導のほか、口周りの筋肉を鍛える運動や唾液の分泌をうながすマッサージなどが受けられます。 口周りの筋肉を鍛えることは誤嚥を防ぐのに効果的です。また、唾液の分泌をうながすことは、口の中に食べかすをたまりにくくさせることにつながります。唾液には自浄作用があるので、分泌をうながすことで口腔内を清潔に保てます。
▶唾液の効果については、次のコラムをご覧ください。 唾液の役割って?唾液には驚くべき効果がある
リハビリテーション
訪問歯科では、口腔内のリハビリテーションも行われます。 なかでも、口から胃へ食べ物を送る「飲み込む」という動作をスムーズに行うための「嚥下リハビリテーション」は、唾液分泌をうながすマッサージや食べるために必要な筋肉を動かす体操などを行い、飲み込む機能の向上をめざすものです。 飲み込むことが困難になってくると、食べることに時間がかかり疲れてしまったり、食事が楽しめなったりすることが考えられます。誤嚥や窒息を招くこともあるため、早めの対処が大切です。
▶訪問歯科の診療内容については、次のコラムをご覧ください。 訪問歯科の診療内容は?目的や外来・往診の違いについて解説
訪問歯科の3つのメリット
ここからは訪問歯科のメリットを見ていきましょう。
移動の必要がない
訪問歯科は、自宅や介護施設など、普段生活している場所で受診できるサービスです。そのため移動の必要がありません。 身体が不自由であったり介護が必要な場合、通院が難しく、歯科医院に行くことをあきらめてしまうこともあるでしょう。 通院が難しい人にとって、在宅のまま診療が受けられることは大きなメリットと考えられます。
健康維持につながる
口腔内環境が悪化し細菌が繁殖すると、歯周病菌によってもたらされる全身疾患のリスクを高めます。具体的には、心疾患や脳血管疾患、誤嚥性肺炎などがあります。 訪問歯科で適切な口腔ケアを行い、口腔内を清潔に保つことで全身の健康を維持できるでしょう。
気持ちよく生活できる
自分自身で口腔ケアを行うことが難しかったり、介護をする人に口腔ケアの知識がなかったりすると、口腔内が劣悪な状態になっているケースも考えられます。 このような場合、定期的に訪問歯科で口腔ケアを受けることで口腔内を清潔に保つことができ、毎日を気持ちよく過ごせるでしょう。
訪問歯科の2つのデメリット
続いて、訪問歯科のデメリットについてお伝えします。
歯科医院で診療を受けるよりも費用が高くなることがある
基本的に訪問歯科は保険診療です。しかし歯科訪問診療料がかかるため、負担料金は、歯科医院での診療に比べ1,000~1,500円程度高くなります。 歯科医院によっては交通費などを別途請求されることもあるため、事前に確認するとよいでしょう。
治療内容が制限されることがある
訪問歯科では、歯科医師や歯科衛生士が歯科診療に必要な器具を持ち込みます。そのため歯科医院で受ける診療と同じレベルの診療を受けることが可能です。 しかし、歯科医院にあるすべての器具を持ち込めるわけではありません。治療を受けるときの姿勢や照明の明るさなどにも制限があるため、訪問歯科では行えない治療もあるようです。
筆者:seeker編集部