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コラム>審美・矯正

投稿日:2025/10/09

更新日:2025/10/09

歯の着色汚れの原因は?予防法や対処法について解説

気づかないうちに歯が茶色く変色していた、そんな経験はありませんか?生活習慣や食生活、加齢など、日常のさまざまな要因で歯は徐々に着色します。
しかし、原因を理解し適切なケアをすれば、歯が着色しにくい環境をつくることは可能です。
今回は、歯の着色の原因とその予防・改善のための対処法について詳しく解説します。


歯の着色の原因

歯の着色汚れは、さまざまな原因で引き起こされます。代表的なケースをいくつか見ていきましょう。


着色汚れ(ステイン)

ステインとは、飲食物に含まれるアントシアニンやタンニンなどの「ポリフェノール」が、歯の表面を覆う「ペリクル」と呼ばれる薄い膜に付着・蓄積することで生じる着色汚れのことです。

ポリフェノールは、植物に含まれる色素や渋み、苦みのもととなるもので、さまざまな食品や飲み物に含まれています。

一度付着したステインは水に溶けにくく、単に水で口をすすいだり、歯ブラシで歯を磨いたりするだけでは落としきることができません。
ステインが付着した場合には、ほとんどのケースで歯科でのクリーニングが必要となります。

☆歯にステインがつきやすい食べ物と飲み物
歯にステインがつきやすい食べ物、飲み物にはどのようなものがあるのでしょうか。着色の原因になりやすい具体的な飲食物を紹介します。

ブルーベリー・ブドウ・プルーン・ナス・赤しそ
紫色の食べ物に含まれていることが多い「アントシアニン」は、ステインの原因になりやすい色素です。

りんご・ぶどう・柿・赤ワイン
果物などに含まれている渋味成分の「タンニン」もステインの原因となる成分です。

豆腐・納豆・豆乳
意外なところでは、大豆類に含まれる「イソフラボン」もポリフェノールの一種であり、ステインの原因となりやすいといわれています。

コーヒー・ココア
ポリフェノールが多く含まれており、ステインが付着しやすい飲み物です。

緑茶・ウーロン茶・紅茶
「カテキン」が多く含まれるため、これらもステインの一因です。


加齢によるエナメル質の変

加齢によってエナメル質が変化し、それに伴い歯の色が変わることがあります。

歯の表面を覆うエナメル質は、歯磨きによる摩耗や酸性の飲食物の影響を受け、年齢とともに徐々に薄くなっていきます。
その結果、内側の黄色い象牙質が透けて見えるようになり、歯が黄ばんだような印象を与えることがあります。

さらに、象牙質自体も加齢により色が濃くなるため、黄ばみがいっそう目立つようになってしまうのです。

こうした、加齢や構造的な変化による歯の黄ばみは、市販のホワイトニング歯磨き粉では十分に対処できないのが現実です。


ブラウンスポット

歯の変色の原因のひとつに、「ブラウンスポット」が挙げられます。これは、歯の表面に現れる茶色いシミのような模様のことです。

ブラウンスポットの原因の代表格は進行した虫歯です。虫歯が悪化すると歯の神経が死に、内部から変色して茶色い斑点が現れるのです。

さらに、歯は日々「脱灰」と「再石灰化」を繰り返していますが、再石灰化のタイミングで色素を含む飲食物や嗜好品を摂取すると、エナメル質に色素が沈着し、ブラウンスポットが発生することがあります。


レジンの経年劣化による変色

虫歯の治療で使用されるレジン(歯科用プラスチック)は、時間の経過とともに劣化し、変色しやすい素材です。
治療からしばらく経つと、紫外線による構造変化や酸化によってレジン自体が変色し、レジンと歯の境目やレジン全体に着色が見られることがあります。

さらに、レジンには吸水性があるため、カレーやコーヒー、赤ワインなどの色素の濃い飲食物を頻繁に摂取すると、色素が内部にまで浸透し、着色の原因となります。
丁寧な歯磨きで汚れが落ちることもありますが、多くの場合は詰め物や被せ物の再治療が必要になることがあります。




歯の着色が歯の健康に及ぼす影響

歯の着色汚れは見た目の問題だけでなく、歯の健康にもさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。
具体的にどのような影響があるのか、詳しく解説していきます。


歯垢・歯石が付きやすくなる

歯の着色汚れは、見た目だけの問題ではなく、歯の表面にざらつきを生じさせる原因となります。このざらつきによって、粘着性のある歯垢(プラーク)が付着しやすくなってしまいます。

さらに、付着した歯垢を放置すると、唾液中のカルシウムを取り込むことで徐々に硬化し、やがて歯石と呼ばれる硬い汚れへと変化してしまいます。

一度歯石ができてしまった場合、歯磨きで取り除くことは難しいため、歯科医院などでの専門的なクリーニングが必要です。

また、歯石の表面もざらついているため、さらに歯垢がつきやすくなり、そこに含まれる細菌の繁殖を促す原因となることもあります。


虫歯や歯周病のリスク

着色汚れは、虫歯や歯周病のリスクも高めます。
着色汚れに付着した歯垢の中には、虫歯菌や歯周病の原因菌など、様々な細菌が含まれているためです。

着色汚れが改善されない歯は、上述のように歯の表面がざらついています。そのため、歯垢をきれいに取り除いて再付着を防ぐケアである「プラークコントロール」が難しくなる傾向があり、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまうのです。


歯の表面(エナメル質)のダメージにつながる

着色汚れが蓄積すると、歯の表面を覆っているエナメル質がダメージを受け、弱くなる場合があります。

エナメル質が弱くなることにより、冷たい飲み物や食べ物で歯がしみやすくなるほか、むし歯や歯周病のリスクも高まると考えられます。


口臭の原因になる

歯に着色汚れがあると、口臭が発生することがあります。
着色汚れ自体は口臭の直接的な原因になるだけでなく、着色の原因となる飲食物の多くは口の中に残りやすく、それが口臭を引き起こす一因となる場合があるのです。

さらに、着色汚れが付着することでたまりやすくなった歯垢も、口臭の原因となることがあります。



歯の着色を防ぐには

歯の着色を防ぐにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、いくつかの予防方法を紹介していきます。


毎日のケアを

着色汚れは、ケアせずにいるとどんどん蓄積していきます。そのため、毎日のセルフケアが大切です。

色素の濃い食べ物を食べた後は、歯磨きやうがいを忘れないようにしましょう。歯磨きやうがいが難しい場面では、ガムを噛んで唾液の分泌を促すなどすると、着色汚れの予防に効果的です。

また、歯を傷つけないようにすることも大切です。歯の表面に傷があると、食べ物などの色素が入りやすくなり、着色汚れが付着する原因となりやすいためです。

歯磨きをする時は、歯に傷がつかないよう優しく適度な力加減で磨くようにしましょう。研磨剤が含まれている歯磨き粉は、エナメル質を傷つける危険もあるため、目的や歯の状態に合わせて慎重に使うことが大切です。


定期的な歯のクリーニング

歯科医院で定期的に歯のクリーニングを受けることも、着色汚れの除去に効果的です。

歯のクリーニングでは、歯石を取り除く時に超音波の振動を利用して歯石を取り除くだけでなく、ブラシやゴム製チップに研磨剤を付けて、歯の表面を磨きあげます。

定期的に歯のクリーニングを行うことで、歯に付着した歯石や着色汚れを取り除き、着色の蓄積を防げるでしょう。


食生活や生活習慣も意識して

食生活や生活習慣を意識することも大切です。

できるかぎり色素の濃い食べ物を摂らないようにすることが、歯の着色を防ぐ方法と言えます。しかし、着色の原因となる食べ物などは意外と多いため、すべての食品を避けることは難しいかもしれません。

食事中に水など色素が含まれていないものを一緒に摂るよう意識することに加え、食後は丁寧な歯磨きをするなど、日々のケアを心がけることが大切です。


タバコを吸わない

着色を防ぐためには、タバコを吸わないことも重要です。タバコの煙に含まれるタール(ヤニ)はねばり気があり、歯の表面にこびりつきます。タールは黒いため、歯の着色として目立ちます。

さらに、タバコには酸性の成分も含まれているため、口の中が酸性に傾きやすくなります。このような環境は、色素が歯の表面に定着しやすくなり、着色が進行する原因となります。

また、タバコは歯の着色の原因となるだけでなく、歯周病やむし歯のリスクを高める要因にもなります。
タバコを吸わないようにすることは、健康な口内環境を作るための第一歩と言えるでしょう。




歯の黄ばみが気になるときの対策

日頃から予防していても、歯の着色や黄ばみが気になることがあります。歯の黄ばみを改善するには、歯の状態に応じた対策を選ぶことが大切です。
では、その代表的な3つの方法を紹介します。


ホワイトニング

軽い着色であれば、歯科医院でのクリーニングで落とせる場合もありますが、しつこい着色や加齢による黄ばみは、ホワイトニングを行うのも良い方法のひとつです。

ホワイトニングとは、特殊な薬剤を使って歯に沈着した色素を分解し、歯本来の白さを引き出す施術です。

ホワイトニングは、歯科医院でLEDライトを照射しながら行う「オフィスホワイトニング」、ご自宅でマウスピースに薬剤を入れて使用する「ホームホワイトニング」、そしてこの2つを組み合わせて効果を高める「デュアルホワイトニング」があります。

自分の目的やライフスタイルに合わせて、適切な方法を選ぶようにしましょう。


ラミネートベニア

ラミネートベアは、歯の表面を薄く削り、セラミック製の薄い板を貼り付けて見た目を整える方法で、自然で美しい仕上がりが期待できます。

通常のホワイトニングでは改善が難しい着色や汚れ、生まれつきの歯の変色がある場合などに、ラミネートベニアは有効な治療法となることがあります。

ただし、歯を削る施術のため、歯に負担がかかることや、一度貼り付けると元の歯に戻せない点を理解して検討することが大切です。

また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある人、噛み合わせに問題のある人には、ラミネートべニアの剥がれや破損のリスクがあるため、あまりおすすめできません。


ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングは、歯にできた茶色いシミや変色部分のみを最小限に削り、詰め物を直接詰めて補修する治療法です。

詰め物の素材には、セラミックとプラスチックの混合物であるハイブリッドセラミックが用いられます。レジンよりも耐久性に優れ、複数の色調のセラミックを重ねて使うことで、より本物の歯に近い白さと質感を再現しやすいのが特徴です。

また、この方法では、セラミックを配合したペーストを直接歯に詰めていくため、歯型を取って技工所で製作する従来のセラミック治療に比べて短期間での治療が可能です。

一方で、最小限とはいえ歯を削る必要があることや、強い衝撃によって欠けるリスクがあることには注意が必要です。
さらに、時間の経過とともに詰め物が着色し、再び変色が目立つ可能性もあります。



NGな歯の着色汚れの落とし方

着色汚れの落とし方を誤ると、歯や歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。ここでは、やってはいけない着色汚れの落とし方について解説します。


レモンや酢などの酸性の液体で磨く

レモンや酢など、酸性の液体を使って歯を磨くと着色汚れが落とせるという話を聞いたことがあるかもしれません。たしかに、果物などに含まれる酸によって、一時的に歯の表面の汚れが落ちることはあります。

しかし、このような酸性の液体は歯の表面を保護している大切なエナメル質を溶かしてしまう恐れがあり、歯を弱くする原因にもなります。そのため、あまりおすすめできる方法ではありません。


重曹を使った歯磨き

重曹には研磨によって汚れを落とす効果があり、弱アルカリ性で酸を中和する働きもあります。そのため、歯磨きに使うと良いという情報を目にすることがあります。

しかし、重曹は研磨力が強く、歯の表面を傷つけてしまう恐れがあります。表面が削れると汚れが付きやすくなり、かえって着色や黄ばみの原因になることもあるのです。

重曹のアルカリ性は粘膜や歯茎に刺激が強い場合もあるため、歯磨き粉としての使用は避けるべきでしょう。


硬いブラシでゴシゴシ磨く

着色汚れを落とそうと、硬いブラシでゴシゴシ歯を磨くことがあるかもしれませんが、これはあまりおすすめできません。

強い力で歯を磨くことで、歯の表面を覆うエナメル質が少しずつ削られ、知覚過敏を引き起こす原因となりえます。
また、歯ぐきにもダメージが加わり、次第に下がってしまう危険があります。


自己判断で強力なホワイトニング剤を使用する

自己判断での強力なホワイトニング剤の使用は、歯や歯ぐきを傷めるリスクにつなが

ります。 とくに、本来歯科でしか扱えない過酸化水素の濃度が高いホワイトニング剤や研磨剤を含む製品は、強い刺激によってエナメル質を傷つけ、知覚過敏の原因になることもあります。
<これらは稀にインターネットで販売されていることもありますが、自宅で使用するのは危険が大きいものです。

ホワイトニングを安全に行うためには、事前に歯科医師に相談し、自分の歯の状態に合った方法や製品を選ぶことが重要です。


歯を削るような器具を使用する

自分で歯の着色を削るような器具(市販のスケーラーなど)を使用する方法もありますが、こちらも避けた方が良いでしょう。

専門的な知識や技術がないまま器具を使用すると、歯の表面のエナメル質や歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあります。
とくに見えにくい歯の裏側などでは、出血や歯ぐきの後退につながることもあります。




まとめ

私たちが口にする多くの飲食物には、着色の原因となる成分が含まれており、それを完全に避けるのは現実的ではありません。
だからこそ、食後の丁寧な歯磨きに加え、定期的な歯科検診や専門的なクリーニング、喫煙を控えるなど、日常の習慣を見直すことが、歯の着色汚れの予防につながります。

日頃から適切なケアを心がけ、着色しにくい口内環境を整えることが、白く健康的な歯を保つための第一歩となるでしょう。



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筆者:seeker編集部

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