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2021/10/26
入れ歯は作って終わりじゃない!合わなくなったらどうする?

入れ歯は自分のお口に合わせて作っているので、ずっと使い続けられると思われがちです。しかし、違和感なく使用していた入れ歯でも、使い続ける中でお口に合わなくなるというケースは珍しいことではありません。 自分では問題なく使えていると思っていても、実は何らかのトラブルが起きているかもしれません。本稿では、入れ歯が合っていないサインや合わなくなる原因、対処法についてまとめました。
こんな時、入れ歯が合っていないかも?
入れ歯を使用していて、以下のような感覚はありませんか?
これらは入れ歯が合わなくなったサインかもしれません。自分のお口に合わせて作ったはずの入れ歯が合わなくなるのはなぜでしょう。それにはいくつかの原因があります。
入れ歯が合わなくなる原因
骨の変化
入れ歯は、元々あった歯を想定して作られています。しかし時間が経つにつれ、歯を支える骨が痩せてしまったり土台が小さくなったりすると、入れ歯との密着度にズレや隙間が生じることが考えられます。 骨は古い骨と新しい骨の入れ替わり(新陳代謝)で維持されていますが、歳を重ねるにつれ新陳代謝が低下し、骨が入れ替わるサイクルが遅くなりはじめます。また、歯周病や骨粗しょう症も同様に骨を変化させる原因です。アゴの骨が減り、歯茎が痩せることで、元の歯に合わせて作った入れ歯ではお口に合わなくなります。 また、入れ歯は自分の歯に比べて、噛んだ時に伝わる刺激が間接的になってしまうため、アゴの骨を細らせてしまう原因にもなります。このような骨の変化が、入れ歯を合わなくするのです。
細菌による変質
食べカスやプラークが歯に付着したまま放置すると、カンジダなどの菌類が入れ歯の床部分に侵入し、床の形状が変わることがあります。また、唾液に含まれるカルシウムなどが付着して歯石のように沈着すると、粘膜が炎症を起こして入れ歯との密着感が失われ、違和感を覚えることもあります。

温度による変質
入れ歯は、素材に合ったお手入れが必要です。しかし、入れ歯のお手入れや消毒をする時に熱いお湯を使用すると、素材によっては入れ歯やバネ、床などがわずかに変形してしまうことがあります。
入れ歯の劣化
一般的に入れ歯は歯科用レジンで作られているため、日々の食事や食いしばりなどの癖により歯と歯が擦れ合うと、歯のすり減りや破損が起きることがあります。また、入れ歯は乾燥に弱く、乾いたまま保管することで歪みや変形が起きてしまいます。このような経年劣化やメインテナンス不足による劣化によって、入れ歯がお口に合わなくなるケースもあります。
入れ歯が合わなくなった時の対処法
入れ歯が合わないと感じはじめたら、入れ歯安定剤を使用して調整することができます。入れ歯安定剤は、入れ歯の裏に付けるノリやクッションのような役割をもち、使用することでお口にフィットさせ、違和感を軽減できる可能性があります。 しかし、入れ歯安定剤の使用は長期的な解決にはなりません。そこで、入れ歯と歯茎の隙間にプラスチックを流し込む「リライニング」や入れ歯の内面に裏打ちをする「リベース」という対処法で違和感を抑えることもできます。これらの対処法で一時的に違和感が解消されることがありますが、リライニングやリベースをすると、厚みがでたり重くなったりするというデメリットもあります。
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もし入れ歯を作ってから時間が経っているのであれば、入れ歯がお口の中に合っていないことも考えられます。合わない入れ歯を使い続けていると、自分の歯に負担がかかり、次第に噛み合わせ自体が変わってしまう恐れがあります。 それによって筋肉のバランスが崩れると、顔の形が変形したり顎関節症を引き起こしたりすることもあるので、定期的な入れ歯の作り直しや補修が必要です。
定期的に作り直しや補修が必要
入れ歯が合わなくなることのほかに、使っているうちに歯の部分がかけてしまったり金具が折れたりすることがあります。その場合、自分で直すことはせず歯科医に見せるようにしましょう。そのまま使い続けるとさらに破損してしまい、お口の中を傷つけたり破片を飲み込んでしまったりすることがあり、大変危険です。

入れ歯は作って終わりではありません。入れ歯の殺菌やクリーニング、噛み合わせやバネの調整を行うことで長く使用できるのはもちろん、的確な作り直しのタイミングを知ることができます。同時に、残った自分の歯の状態を知ることも大切です。必ず歯科医院での定期的なメインテナンスを行いましょう。
筆者:seeker編集部