コラム>審美・矯正
2023/10/19
神経の無い歯のホワイトニング。ウォーキングブリーチとは

虫歯や外傷など、何らかの原因で神経が死んでしまうことで、その歯だけ黒ずんでしまうことがあります。 一般的なホワイトニングは、神経の無い歯には効果が表れにくいとされていますが、「ウォーキングブリーチ」という治療方法なら、神経を失った歯に対しても効果が期待できます。 今回はウォーキングブリーチについて詳しく解説します。
ウォーキングブリーチとは
ウォーキングブリーチとは、虫歯や外傷などによって神経を失った歯に対し、歯の内部にホワイトニング剤を注入して白くする治療方法です。「インターナルホワイトニング」「インターナルブリーチ」と呼ばれることもあります。
ウォーキングブリーチの方法
ウォーキングブリーチは、ホワイトニング剤を歯の内部に詰めて蓋をし、時間をおいてホワイトニング剤を交換するという流れを、希望の白さになるまで繰り返します。詳しい手順を見ていきましょう。
①歯の内部の状態をレントゲンで確認する
変色している歯の根や内部の状態を確認するために、レントゲンを撮ります。歯の根の状態によっては、ウォーキングブリーチの前に歯の根の再治療が必要になることもあります。
②ホワイトニング剤を入れる場所を作る
歯の裏側に、ホワイトニング剤を注入するための最小限の穴を作ります。
③歯の根の入り口を封鎖する
開けた穴の内部の、歯の根にあたる部分の入り口を封鎖します。
④歯の表面にリン酸処理をする
ホワイトニング剤が浸透しやすくなるよう、歯の表面にリン酸処理を行い洗い流します。
⑤ホワイトニング剤を充填する
ホワイトニング剤となる過酸化水素と過ホウ酸ナトリウム粉末を混ぜたものを、穴の中に充填します。
.jpg)
⑥仮封をする
ホワイトニング剤を充填したら、薬剤が流れ出ないようしっかりと仮封をします。ホワイトニング剤の充填から仮封までの流れを、希望の白さになるまで数回繰り返します。
⑦最終的な詰め物で蓋をする
希望の白さになったら最終的な詰め物で蓋をします。
ウォーキングブリーチのメリット
ウォーキングブリーチにはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
.jpg)
ホワイトニング効果が高い
神経を失った歯の変色は歯の内部に原因があります。そのため、内側から原因を除去して歯を白くするウォーキングブリーチは、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングといった歯の外側から白くする方法よりも効果が高いのです。
歯を削る量が少ない
ウォーキングブリーチでは、歯の裏側にホワイトニング剤を注入するための穴を開ける必要があります。しかし、それは少量であり、歯を全体的に削る必要はないため、歯への負担が少ない施術といえるでしょう。
歯1本単位で治療できる
ウォーキングブリーチでは、黒ずみが気になる歯を1本単位で治療することが可能です。前歯の1本だけが気になる場合などにも対応できます。
被せ物より安価で治療できる
歯科医院によって差はありますが、ウォーキングブリーチは1回の治療で5千円~2万円程が相場とされています。一方で、セラミッククラウンなどの被せ物の相場は1本につき8万円~15万円程であり、これらに比べウォーキングブリーチは安価で治療できることもメリットの一つと言えるでしょう。
ウォーキングブリーチのデメリット
続いて、ウォーキングブリーチのデメリットを見ていきましょう。
隣の歯と色調が合わないことがある
ウォーキングブリーチの効果には個人差があります。歯の状態や質、継続期間によっても歯の白さは左右されるため、思い通りの白さにならないことがあるでしょう。 また、対象の歯以外の周りの歯と全く同じ色調にすることは難しいです。色を細かく調整したい場合は、ウォーキングブリーチ以外の方法も検討する必要があることも知っておきましょう。

稀に痛みが出ることがある
ウォーキングブリーチは神経が無い歯に対して行うホワイトニングであるため、痛覚がなく、薬による痛みを感じることもありません。 しかし稀ではありますが、ウォーキングブリーチ中に痛みを感じることがあります。それは、歯の中に注入した薬剤から発生するガスにより、歯の内圧が高まり、歯の根の周りや骨に圧力がかかり刺激するためです。 ウォーキングブリーチ中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに歯科医師に相談するようにしましょう。
色が後戻りすることがある
ホワイトニングによって白くなった歯は、しばらく経つと色が後戻りすることがあります。ウォーキングブリーチをした歯の白さも、年月とともに元のように戻ってしまうことがあるでしょう。完全に後戻りをするわけではありませんが、気になる場合は再度治療が必要になります。
ウォーキングブリーチの費用
ウォーキングブリーチは保険適用外の診療となるため、全額自己負担となります。歯科医院によって施術費用が異なりますが、相場は1回の治療で5千円~2万円程とされています。 ウォーキングブリーチは何回か繰り返し治療を行う必要がありますが、歯の状態によっても治療の回数は変わるため、事前に担当の歯科医に相談すると良いでしょう。
ウォーキングブリーチの注意点
ウォーキングブリーチは、専用のホワイトニング剤を定期的に交換する必要があり、手間と根気を要する治療方法といえます。定められた日に薬剤の交換を行わないと歯が白くなりすぎてしまったり、蓋が取れてホワイトニング効果が得られなかったりすることも考えられます。 ホワイトニング期間中は、注意点や決められた期間を守るとともに、ゆとりをもって治療に臨めるよう生活スケジュールを調整することも大切です。
筆者:seeker編集部