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コラム>歯茎の腫れ、出血

投稿日:2025/08/14

更新日:2025/12/22

歯石を自分で取ることは可能?歯石除去や予防について解説

毎日きちんと歯磨きをしていても、歯石ができてしまうことは珍しくありません。にもかかわらず、「なぜ歯石はできるのか」「どのような取り方があるのか」といったことを詳しく理解している人は、意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、歯石ができる原因や放置した場合のリスク、そして歯石を取り除く方法などについて、わかりやすく解説していきます。


歯石とは

歯石は、歯垢が、唾液中のミネラル成分や歯ぐきから染み出る滲出液の成分などと結合して、石灰化したものです。

歯垢は、食後約24時間以内に形成されます。歯についた歯垢を放置すると、およそ2日ほどで歯石へと変化していきます。一度歯石になってしまうと、通常の歯磨きでは取り除くことが難しいため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。

また、歯石の表面はザラザラしており、新たな歯垢が付きやすくなります。歯垢には多くの細菌が潜んでいるため、歯垢や歯石によって炎症が引き起こされた結果、歯ぐきの腫れや出血が起こるだけでなく、歯を支える骨を溶かしてしまうこともあります。

とくに、歯と歯ぐきの間にある「歯肉溝」に入り込んだ歯石は、歯周病菌の温床となり、歯周病を悪化させる大きな原因のひとつと言われています。


歯垢と歯石の違い

歯垢と歯石はどちらも歯の汚れというイメージがありますが、作られる過程や質感、取り除く方法など、いくつかの点で大きな違いがあります。

まず挙げられる違いは、作られる過程と質感の特徴です。歯垢は、口内の細菌や食べかす、唾液中の成分などが混ざり合ってできます。粘着性があるものの柔らかいため、正しい歯磨きやデンタルフロスの使用などのセルフケアで比較的簡単に取り除けます。

一方、歯垢が石灰化して形成されるのが歯石です。歯の表面に強く付着し非常に硬いため、通常の歯磨きでは取り除くことができません。歯科医院で専用の器具を使った専門的なクリーニングが必要となります。

また、作られるスピードにも違いがあります。歯垢は毎日のように形成され、特に食後や歯磨きを怠ったときに急速に溜まっていきます。 この歯垢が唾液中の成分と結びつくことで1~2日ほどで硬くなり始め、さらに約2週間放置すると石灰化が進み、歯石となります。

このように、歯垢と歯石は性質も対処法も大きく異なるため、それぞれの特徴を理解して日々のケアを行いましょう。



▶歯垢についてもっと詳しく知りたい方は、
歯がザラザラ・ぬるぬるする原因と歯垢対策方法 をご覧ください。



歯石ができる原因

歯石は、歯磨きで取り除くことができなかった歯垢が、唾液中のカルシウムやリンと結びついて再石灰化することで作られます。また、歯と歯ぐきの間から染み出る滲出液の成分も、歯垢と結合し、歯石ができる一因となります。

このように、磨き残した歯垢が口腔内の成分と反応することが原因で歯石が作られます。

歯垢のうちにしっかり除去できれば、歯石の予防は可能です。歯科衛生士による歯磨き指導などを受け、正しいケア方法を身につけることが、歯石を予防する近道です。



歯石の種類

歯石には、歯の表面に見えている歯石と、歯と歯ぐきの間に隠れている歯石、2つの種類があります。それぞれの歯石の特徴を見てみましょう。


歯肉縁上歯石

歯ぐきのラインよりも上の部分、つまり歯の表面に見える歯石は「歯肉縁上歯石」と呼ばれます。歯肉縁上歯石は、歯垢が唾液中のミネラル成分と結びついて石灰化することで形成され、白色や黄色っぽい見た目で、比較的柔らかいため取り除きやすいのが特徴です。

主に歯ぐきに沿って付着しやすく、特に唾液腺が開口している下の前歯の裏側や、上の奥歯の外側などに多く見られます。歯肉縁上歯石の除去には、基本的に歯の表面のクリーニングが中心となります。


歯肉縁下歯石

「歯肉縁下歯石」とは、歯ぐきのラインよりも下、つまり歯周ポケット内の歯の根元にたまる歯石のことです。歯肉縁下歯石は、歯と歯ぐきのすき間に残った歯垢が、歯ぐきから出る滲出液に含まれる成分と結合し、固まることで作られます。滲出液は血液の成分も含んでいるため、形成された歯石は黒褐色、もしくは茶褐色をしています。

また、形成するスピードは歯肉縁上歯石に比べて遅いものの、密度が高く歯の根元にしっかりと付着しているため、取り除くには歯科医院での専門的な器具と技術が必要です。

歯肉縁下歯石を取り除かず放置すると、歯肉の腫れや出血が生じ、やがて歯ぐきが下がる「歯肉退縮」を引き起こすことがあります。さらに進行すると、歯を支えている歯槽骨(あごの骨)が溶け、歯がぐらついたり、最終的には自然に抜けてしまうといった、深刻な歯周病の症状の原因となります。



歯石が付着しやすい場所

歯石は、唾液と関係が深いため、唾液の分泌が多い場所に形成されやすくなります。また、歯ブラシの毛先が届きにくい部位も、磨き残しの歯垢が蓄積しやすいため注意が必要です。
以下にて、歯石の種類別に溜まりやすい場所を見てみましょう。


【歯肉縁上歯石】

  • 下あごの前歯の裏側:顎下腺・舌下腺という唾液腺の出口があるため、歯石ができやすいです。
  • 上あごの奥歯の外側:耳下腺という唾液腺の出口に近く、歯石がつきやすいです。
  • 歯と歯茎の境目・歯並びの悪いところ:毛先が届きにくいため、歯垢が溜まりやすく、石灰化もしやすい部分です。

  • 【歯肉縁下歯石】

  • 歯周ポケットが深い部分、歯と歯の間:毛先が届きにくいため、歯垢が溜まりやすく、石灰化もしやすい部分です。


  • 歯石を放置するリスク

    歯石は一度付着すると、通常の歯磨きでは取り除くことが難しいため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要になります。では、歯石をそのまま放置すると、どのような影響があるのでしょうか。

    まず、歯石の表面には歯垢が付着しやすく、細菌が増殖しやすい口内環境をつくるため、虫歯のリスクが高まります。さらに、歯石がたまることで歯と歯ぐきのあいだにすき間ができ、そこに虫歯菌が入り込みやすくなることも、虫歯の原因の一つとなります。

    次に大きな問題となるのが「歯周病」です。歯石に付着した歯垢に潜む細菌は、虫歯を作る以外にも歯ぐきに炎症を起こしたり、歯周病を進行させたりします。歯周病菌が血中に入り込むと、動脈硬化や糖尿病の悪化、心臓病や脳卒中といった全身の病気と関係することも報告されてます。

    また、歯石に付着した歯周病菌などの細菌がタンパク質を分解する際にガスが発生し、これが口臭を悪化させる原因となる場合があります。さらに、歯周病菌が歯を支える骨を溶かしてしまうことで、歯がぐらつき、歯並びに悪影響を及ぼす可能性もあります。

    特に歯ぐきの奥深くにたまる歯肉縁下歯石は自分では気づきにくく、口内環境を知らないうちに悪化させてしまいます。定期的に歯科医院で診てもらうようにしましょう。




    歯科医院で歯石を取る方法

    歯科医院では、口腔内の状況に応じた器具を使用して歯石を除去します。ここでは、歯石の除去でよく使用される3つの器具の特徴と、それぞれの歯石の取り方を詳しく紹介します。


    超音波スケーラー

    超音波スケーラーは、超音波の振動を利用して歯石を効率よく取り除く器具です。歯石と歯の接着部分に振動を与えることで歯石を浮かせて除去し、特に歯石の量が多い場合や歯周ポケットが深いケースで使用されることがあります。

    また、手で行う歯石取りと比べて処置の時間が短く済むこともメリットのひとつです。注水しながら使用するため、取り除いた歯石や歯垢を同時に洗い流すことができ、口腔内を清潔に保てます。歯の表面への刺激が少ないため、知覚過敏の方やペースメーカーを装着している方にも比較的安全に使用できます。

    一方で、超音波スケーラーには独特の高い音や振動があるため、それを不快に感じる場合もあります。また、使用時に歯の表面にごく小さな傷がつくことがあるため、特に歯の表面が敏感な方には向いていないこともあります。


    エアースケーラー

    エアースケーラーは、圧縮した空気の力を使って先端のブラシを高速で回転させ、歯石をはじき飛ばすように取り除く器具です。細かい部分に届きやすく、歯の裏側や歯ぐきの奥深くにある歯石の除去にも効果的です。

    超音波スケーラーに比べて振動が少なく、歯の表面への刺激も軽いため、知覚過敏がある方や、ペースメーカーを使用されている方にも適した方法とされています。

    ただし、エアースケーラーは超音波スケーラーに比べて作業にやや時間がかかる場合があります。歯周ポケットが深い、または歯石の付着している量が多い場合には、超音波スケーラーの方が適していることもあります。


    ハンドスケーラー

    ハンドスケーラーは、手作業で歯石を削り取る器具です。超音波スケーラーでは届きにくい歯周ポケットの奥や歯と歯ぐきの境目など、細かい部分の歯石を取り除くのに適しています。歯石の量が少ない場合、歯周ポケットが浅い場合などに使用されることが多い器具です。

    刺激が少ないため、知覚過敏のある方やペースメーカーを使用している方でも安心して使用できます。処置時間は通常1時間程度です。歯ぐきが腫れていたり、下がっている部分があったりすると痛みを感じることもありますが、多くの歯科医院では、歯科衛生士が痛みに配慮しながら進めるため、安心して治療を受けてください。

    一方で、歯石が多く付着している場合や、歯周ポケットが深いケースでは超音波スケーラーの方が効率的なこともあります。



    自分で歯石除去することは可能?

    市販の家庭用スケーラーや超音波電動歯ブラシなどを使って自分で歯石を取り除く方もいますが、決しておすすめはできません。なぜなら道具の使い方や力加減を誤ると、歯や歯ぐきなど口腔内を傷める原因となりかねないためです。

    歯科医院でも使用されているスケーラーですが、家庭用スケーラーは歯科用に比べて刃先が鋭くありません。そのため、歯石を完全に取り除くことは難しく、無理に使うと歯の表面や歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。あくまでも応急的な使用にとどめ、慎重に扱うようにしましょう。

    超音波電動歯ブラシは、通常の電動歯ブラシよりも強力な振動によって、歯垢や軽い歯石を取り除く力が高いとされています。ただし、歯周ポケットの奥深くに付いている歯石には届きにくく、除去効果には限界があります。また、歯ぐきに炎症がある場合は使用を控えましょう。


    自宅で歯石除去を行う際のリスク石

    自宅で歯石除去を行う場合、いくつかの大きなリスクが伴います。 まず、金属製のスケーラーなどを自己流で使用すると、歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあります。さらに、無理な使用によって歯周ポケットが深くなり、歯周病を悪化させてしまう可能性もあります。

    市販製品には非常に硬い素材で作られているものもあります。これらを誤って使うと、歯の表面のエナメル質を削ってしまうことがあり、削られたエナメル質は再生しないため、知覚過敏や虫歯のリスクを高める原因になります。

    また、歯石はとても硬く付着しているため、自宅ですべてを取り除くには限界があります。しかし歯石の取り残しがあるとその部分から再び歯垢がたまり、石灰化して新たな歯石ができるという悪循環を招いてしまいます。

    このように、自宅で歯石を取ろうとすると、歯や歯ぐきを傷つけてしまうなどのさまざまなリスクがあります。歯の健康を守るためには、歯科医院での定期的な検診と、専門的なクリーニングを受けることが大切です。歯石が気になる場合は、自分で対処せず、まずは歯科医師に相談することをおすすめします。



    歯石を予防するには

    歯石は、普段の歯磨きだけでは取り除くことができません。そのため、歯石のもととなる歯垢がたまらないよう、日ごろから丁寧なケアを心がけることが大切です。ここでは、自分でできる歯石の予防法をご紹介します。


    毎日の歯磨き

    毎日の歯磨きは、歯垢を取り除くうえで最も基本、かつ重要な方法です。
    歯ブラシを使って、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目まで丁寧に磨くようにしましょう。その際、毛先が柔らかく、広がりにくいタイプの歯ブラシを選ぶのがポイントです。

    歯磨き粉はフッ素入りのものを使うと、虫歯の予防にもなります。歯ブラシは力を入れすぎず、軽く当てて小刻みに動かすようにすると、歯や歯ぐきを傷つけずにしっかり磨けます。


    ▶ブラッシング方法についてもっと詳しく知りたい方は、
    歯磨きの力加減を見直そう!歯肉を守る正しいブラッシング方法 をご覧ください。


    デンタルフロスや歯間ブラシを使用する

    毎日の歯磨きに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを取り入れることで、歯磨きでは取り切れない歯と歯の間や歯肉溝の汚れを、効果的に取り除くことができます。

    デンタルフロスは20cmほど取り、指に巻きつけて歯間に挿入し、歯の側面に沿わせて動かします。歯ぐきに軽く当たるまで入れ、やさしく歯間を清掃しましょう。フロスに慣れていない方は、持ち手付きの糸ようじから始めるのもおすすめです。

    歯間ブラシは歯と歯のすき間に無理のない角度でやさしく差し込み、歯の側面をなぞるように前後へ動かして歯垢を取り除きます。側面を磨いた後は、歯ぐきの縁の下までそっと入れて、歯肉溝の中の汚れも取りましょう。


    食後のうがい

    食後の口の中には、食べ物の残りや細菌がとどまりやすく、それが歯垢のもとになります。食後に水で軽くゆすぐだけでも、食べかすや細菌を洗い流し、歯垢が溜まるのをある程度防ぐことができます。

    外出先などで歯磨きが難しいときでも、うがいを習慣づけることで、お口の中を清潔に保ちやすくなります。


    定期的な歯科検診

    定期的な歯科検診は、歯石や歯周病を早期に発見・治療するために欠かせません。歯磨きが不十分で歯石が付きやすい方は、より短い間隔でのクリーニングが求められます。一方で、日頃のケアがしっかりできている方は、半年に1回程度の検診でも問題ない場合があります。

    一般的には、3〜5ヶ月に1回のペースで歯石除去を行うことを勧められていますが、これは歯石の付きやすさや形成されるスピード、歯周病の有無や進行具合によって個人差があります。

    定期検診では、歯科医師が口腔内の状態を丁寧にチェックし、最適なケアの頻度をアドバイスしてくれます。自己判断に頼らず、医師の意見を参考にしましょう。




    まとめ

    歯石を放置すると、歯周病などの口腔トラブルを引き起こす原因になります。「気になるから自分で取ってしまおう」と思う方もいるかもしれませんが、自宅での除去は歯や歯ぐきを傷つけてしまうリスクがあるので注意が必要です。

    この記事で紹介したように、歯科医院での歯石の取り方はリスクが少なく、確実に歯石を取り除ける方法です。健康な口内環境のため、毎日の歯みがきやデンタルフロスなどの普段のケアに加え、定期的に歯科検診を受けるようにしましょう。



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    筆者:seeker編集部

    監修者・コメント

    歯科医師

    都内歯科医院勤務

    三宅 友紀 先生

    「歯石を自分で取りたい」というお悩みはよく伺いますが、歯科医師としてはおすすめできません。市販の器具で無理に取ろうとすると、歯の表面に細かな傷がつき、かえって汚れや細菌が付着しやすくなるという悪循環を招くからです。また、本当に怖いのは目に見える部分よりも、歯ぐきの奥に隠れた「黒い歯石」です。これはプロの技術と専用器具でなければ除去できず、放置すると確実に歯を支える骨を溶かしていきます。
    歯科医院でのクリーニングは単なる掃除ではなく、大切な「歯周病の治療」です。数ヶ月に一度プロにリセットしてもらう習慣こそが、将来の抜歯リスクを下げ、一生自分の歯でおいしく食事を楽しむための最短ルートになります。

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