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コラム>入れ歯・インプラント・ブリッジ

投稿日:2025/10/23

更新日:2026/02/26

総入れ歯とは?種類・費用・製作の流れ・お手入れ方法まで解説

歯をすべて失ったときの治療法のひとつ「総入れ歯」は、生活の質を維持する手段として広く利用されています。総入れ歯には保険診療と自費診療があり、素材や費用、装着感にも違いがあります。
この記事では、総入れ歯の特徴やメリット・デメリット、費用や種類、製作の流れや日々のお手入れ方法までを解説します。


総入れ歯とは

「総入れ歯」とは、自分の歯をすべて失った人が使用する取り外し式の義歯です。歯ぐきの粘膜に吸着させる仕組みで、見た目を整えるだけでなく、噛む・話すといった機能を補います。

似た治療法として「部分入れ歯」があり、こちらは歯が一部残っている場合に金具などで残っている歯に固定しますが、総入れ歯は歯が1本も残っていないときに用いられる点が大きな違いです。

総入れ歯の治療は、保険診療と自費診療に分かれています。保険診療は費用を抑えられる一方で素材や仕上がりに制限があり、自費診療は高額ですが装着感や見た目に優れています。

このような選択肢があるため、それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。


総入れ歯のメリット

「総入れ歯」のメリットは、歯をすべて失っても噛む機能をある程度回復できる点です。見た目も改善されるので、人前に出ることに自信が持てます。

さらに、発音が安定して会話がしやすくなることも大きな魅力です。費用が心配になるかもしれませんが、保険診療を利用すれば負担も抑えられます。

また、外科手術が不要で治療期間が比較的短いため、高齢の人でも導入しやすい方法です。、取り外し式なので清掃がしやすく、口腔内を衛生的に保ちやすい点も生活の質の向上につながります。

このように、総入れ歯は経済面・機能面・衛生面で多くの利点を持つ治療法といえるでしょう。


総入れ歯のデメリット

一方で総入れ歯にはデメリットも少なくありません。歯ぐきに吸着させて固定するため、慣れるまでは違和感や痛みを覚えやすい点が挙げられます。
また、自分の歯と比べて噛む力は弱まり、硬い食べ物や粘着性のある食品は食べにくくなることもデメリットのひとつです。

さらに、会話中に外れやすい、発音が不明瞭といった会話にまつわる問題が出る場合や、長期の使用で顎の骨が痩せて入れ歯が合わなくなった結果、顎への負荷の増加につながるおそれもあります。

ただし、定期的な受診による調整と日々のお手入れで、多くの問題は軽減することが可能です。正しいケアを続ければ、長く快適に使い続けられるでしょう。




総入れ歯には保険診療と自費診療がある

総入れ歯の治療を受ける場合は、保険診療と自費診療に分かれており、それぞれに特徴があります。その違いを順に確認していきましょう。


保険診療の総入れ歯の特徴

保険診療の総入れ歯は、プラスチック(レジン)で作られているタイプのみです。費用は数万円程度と比較的手頃で、初めて入れ歯を使う人でも導入しやすいのが利点です。

ただ厚みが出やすいため違和感が大きく、熱が伝わりにくいことから食事の温度を感じにくい一面もあります。

また、耐久性は高くなく、寿命は3〜5年程度とされ、定期的な作り替えが必要です。見た目も、自費診療のものに比べて自然さに欠ける仕上がりになる場合もあります。

それでも、定期的な歯科医院での調整や日々の手入れなどを行えば、入れ歯としての役割を十分に果たせるため、経済的な負担を抑えたい人には有力な選択肢となります。


自費診療の総入れ歯の特徴

自費診療で作る総入れ歯は、素材や設計の自由度が高く、快適さや見た目に優れています。
その代表が「金属床義歯」です。金属床義歯の「床(しょう)」とは歯ぐきに触れる部分のことで、プラスチックよりも薄く作れるため違和感が少なく、熱が伝わりやすいことから食事を自然に楽しめるのが利点です。

さらに、他にもシリコン製などの素材から選択でき、歯肉部分の色合いや人工歯の形を調整することで、見た目をより自然に仕上げることが可能です。金属床義歯なら耐久性も高く、適切にケアを行えば10〜20年程度の使用に耐えられます。

ただし費用は高額で、数十万円以上かかる場合もあります。そのため、長期的な快適性や審美性を重視する人に向いた選択肢といえるでしょう。



総入れ歯の費用について

総入れ歯の費用は、保険診療と自費診療で大きく異なり、数万円から数十万円と幅があります。それでは、具体的に見ていきましょう。


保険適用時の費用

保険診療の総入れ歯は、3割負担の場合で片顎あたり数万円程度です。自費診療に比べると大幅に費用を抑えられるのが最大のメリットです。

ただし、素材の性質上3〜5年程度で作り替えが必要になることが多く、その都度費用がかかります。さらに、定期的に歯科医院で調整を受ける必要があるため、その際にも費用が発生します。

初期費用を手頃に抑えられる点から、多くの人にとって導入しやすい選択肢といえるでしょう。


自費診療時の費用

自費診療の総入れ歯は、素材や設計の自由度が高く、金属床やチタン、シリコンなどを選べるため、装着感や見た目の自然さに優れています。

初期費用は数十万円以上かかることが多いものの、耐久性も高く、適切にケアを行えば10年以上使えるケースもあるため、長期的に見れば費用対効果に優れた方法といえます。

保険診療に比べると経済的な負担は大きくなりますが、快適さや審美性を重視したい人にとって、自費診療の総入れ歯は満足度の高い選択肢となるでしょう。



総入れ歯の多様な種類

総入れ歯には複数の素材やタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。自分に合ったものを選ぶためには、まず種類を理解することから始めましょう。


プラスチック製の義歯

プラスチック(レジン)製の総入れ歯は、保険が唯一適用されるタイプです。人工歯の色のバリエーションが少なく細かい調整が難しいため、天然の歯とは異なる見た目になることもあります。

国が定めた手順や素材に従って作られるため自由度が低いという面もありますが、費用を抑えて導入しやすいメリットがあります。

また、レジンは比較的加工しやすい素材のため修理や調整がしやすい、自費の義歯と比べて製作期間が2~4週間程度と短く済む、全国どの歯科医院でも対応可能なども良い点として挙げられるでしょう。

初めての入れ歯としてプラスチック製の義歯を試した後、不具合があれば自費診療の義歯へ移行するという流れもおすすめです。


コバルトクロム床義歯

コバルトクロム床義歯は、金属床タイプの中でも比較的費用を抑えて作ることができます。床(しょう)の部分をプラスチック製より大幅に薄くできるため、装着感が軽く、温かさや冷たさも感じやすくなります。

その一方で、チタン製よりは重さがあり、金属アレルギーの人には不向きです。


チタン製の義歯

チタン製の総入れ歯は、軽くて丈夫なうえに金属アレルギーの心配が少ないのが大きな特徴です。
装着時の負担が少なく快適に使いやすい反面、加工が難しい素材のため治療費用はコバルトクロム床義歯より高額になります。
費用はかかりますが、快適性と安全性を重視する人に適したタイプです。


シリコン製の義歯

歯ぐきに触れる部分を柔らかいシリコンで作ったタイプの義歯です。シリコンには弾力があるため、装着した時口内の違和感が少ないのが特長です。

また、金属を使わないため金属アレルギーの人でも安心して使えます。ただし、シリコンは劣化しやすく汚れも溜まりやすいため、耐久性の面では金属床よりやや劣ります。


インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーは、顎の骨にインプラントを埋め込み、そこに入れ歯を固定する方法です。噛む力が強く外れにくいなど快適性に優れますが、外科手術が必要で体調や骨の状態によっては受けられません。

さらに、他の治療に比べて費用が高額で、維持のためのメンテナンスにもコストがかかる点を考慮する必要があります。




総入れ歯製作の流れ

総入れ歯は、一度に完成するものではなく、いくつもの段階を経て作られます。一般的な工程をご紹介します。


1.初診・カウンセリング

初診・カウンセリングでは、歯科医師が全身の健康状態や生活習慣、入れ歯に対する希望を聞き取ります。見た目や噛みやすさ、費用など、何を優先したいかを整理し、治療の大まかな方向性を確認します。


2.口腔内の検査・診断

歯ぐきや顎の骨の状態などを詳しく調べ、必要に応じてレントゲン撮影も行います。骨の形や粘膜の厚さを確認し、これらの結果をもとに、総入れ歯が適しているかどうかを判断します。


3.型取り(一次印象)

最初に既製のトレーを使って大まかな型を取ります。これが「一次印象」で、口全体の形を確認するための工程です。この型をもとに個人専用のトレーを作り、次の精密な型取りにつなげます。


4.精密な型取り(二次印象)

一次印象で作った専用トレーを使い、粘膜や顎の細部まで精密に型を取ります。これが「二次印象」で、入れ歯の吸着性や安定性に直結する重要な工程です。
動きに合わせた粘膜の状態まで確認することで、噛むときや会話の際に外れにくい入れ歯につながります。


5.噛み合わせの記録(咬合採得)

上下の顎の位置関係や噛み合わせを正確に記録します。これが、はっきりした発音や咀嚼のしやすさに大きく影響する「咬合採得(こうごうさいとく)」です。人工歯の並び方や高さを決める基準となります。


6.試適(試し入れ)

人工歯を並べた段階で口に試し入れ、見た目や噛み合わせを確認します。この「試適」は、より自然で使いやすい総入れ歯を完成させるための工程です。発音や装着感のチェックも行い、違和感があれば調整を行います。


7.完成・装着

完成した総入れ歯を口に装着し、噛みやすさや見た目を確認します。必要に応じて微調整を加え、口の状態に合わせます。ここでの仕上げが快適さに直結する最後の重要な工程です。


8.調整・メンテナンス

装着後は、顎や粘膜の変化に合わせて定期的な調整とメンテナンスを行います。噛み合わせや安定性を確認し、必要に応じて修正します。継続的な調整とメンテナンスは、総入れ歯を長く快適に使い続けるために欠かせません。



総入れ歯の取り外し手順

総入れ歯はお手入れのために毎日取り外す必要があります。外すときは無理に引っ張らず、両手の指で均等に力をかけましょう。
上顎の総入れ歯は、頬側に指をかけて空気を含ませると外れやすくなり、下顎は左右どちらかから軽く持ち上げるとスムーズに外せます。

取り外す際は洗面台に水を張った洗面器を置いたり、タオルを敷いたりして落下による破損を防ぎましょう。

無理な力をかけると歯ぐきを傷つける原因になるため、丁寧に扱うことが大切です。外した後は流水で軽くすすぎ、就寝前や食後のお手入れに備えましょう。



総入れ歯の手入れ方法

総入れ歯を長く快適に使うには、毎日の手入れが欠かせません。基本的なケア方法を確認しましょう。


日常のブラッシング

毎日、入れ歯専用のブラシで表と裏の汚れをしっかり落とします。普通の歯ブラシでは硬すぎて傷がつくため、入れ歯専用の柔らかいブラシを使いましょう。
力を入れすぎず流水下で優しく磨き、食べかすや歯垢を取り除くことが、口臭や細菌繁殖の予防につながります。


適切な浸け置き

就寝時は水やぬるま湯に浸け、乾燥による破損や変形を防ぎます。入れ歯を外して休ませることで、歯ぐきや口腔内の健康維持にもつながります。
専用のケースを利用すれば、清潔に保てるだけでなく持ち運びにも便利です。


食後の洗浄

食事の後は流水で入れ歯を洗浄し、食べかすや汚れをしっかり落とします。外食でブラッシングができないときは水で軽くすすぐだけでも効果があります。口臭や口腔内トラブルの防止のためにも、食後の洗浄を習慣にしましょう。


洗浄剤の活用

ブラッシングや水洗いに加えて、入れ歯専用の洗浄剤を定期的に使うとさらに効果的です。目に見えない汚れや細菌を除去できるため、清潔な状態を長く保てます。
使用頻度は製品の説明に従い、ブラッシングと併用することが望ましいとされています。




まとめ

総入れ歯は、歯をすべて失った人が日常生活を快適に過ごすための選択肢のひとつです。保険診療と自費診療では費用や素材に違いがあり、それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。

さらに、完成後も定期的な調整や丁寧なお手入れをすることが入れ歯を長持ちさせることにつながります。
まずは、入れ歯作成に対応している歯科医院に相談しましょう。自分に合った総入れ歯を選び、正しいケアを続けて、ストレスのない生活を送りましょう。



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筆者:seeker編集部

監修者・コメント

歯科医師

都内歯科医院勤務

三宅 友紀 先生

総入れ歯は、歯をすべて失った場合でも「噛む・話す・見た目」を回復できる重要な治療法です。保険診療と自費診療では、使用する素材や装着感、耐久性に大きな違いがあるため、費用だけでなく生活スタイルやお口の状態に合った選択が大切です。
また、完成後も定期的な調整や適切なお手入れを行わなければ、痛みや外れやすさの原因になります。長く快適に使うためにも、自己判断せず歯科医師と十分に相談しながら治療を進めましょう。

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