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2020/04/16

【歯科医師インタビュー】歯医者さんがどうしても怖い…でも大丈夫!そのメカニズムと間違いない歯科医院選び

歯が痛いけど歯医者さんが怖くてどうしても行くのに二の足を踏んでしまう…そんな感情を持つ人も少なくないはず。どうしても過去に経験した痛い治療イメージや怖い先生に怒られた等のネガティブな記憶から、大人になっても歯医者さん=怖い場所という印象をずっと持ち続けることに。ただ怖いからといって痛い歯を放置してしまうと、大事な歯が取り返しのつかないことになってしまいます。ただ歯医者が怖いというのも、過去の先入観からということも多く、信頼できる歯科医院や先生に出会えれば払拭できることも多いのです。

今回は、山の手デンタルオフィス田町三田の池下久登先生に、歯医者に対して恐怖心をもってしまう心理的背景や対処法、そして歯科選びのポイントまで詳しくお話をお伺いしました。これを機会に歯医者さん嫌いを克服し、健康で美しいな歯を保ち続けませんか。


歯医者に恐怖心を持ってしまう人の心理

ーーーまず最初に、今回のテーマでもある歯医者に対して怖いという恐怖心を持ってしまう人の心理について、どんな背景があるのでしょうか?


あくまで僕の意見にはなるのですが、歯医者に対して怖いという感情を抱いてしまうのは『歯科心身症』の中の一つだと言われています。

『歯科心身症』とは、いわゆる不定愁訴であり、特定の病名はないですし病気も存在しません。『歯科心身症』というものも便宜上付けられた名称なので、病気だから…と劣等感は持つ必要は全くないのです。つまり、みんなが怖いものが、人よりもうちょっとだけ怖いというだけでしかないと考えています。

実は僕自身も歯医者が怖いと思っていた一人でした。2歳の誕生日の前に肺炎で3カ月入院しておりまして、エナメル質が育つ期間にずっと入院して治療していたため歯が十分に育たずに劣ってしまっているのです。歯がうすくなってしまい黄色くなってしまったので、母が丁寧にずっと僕の歯をきれいに磨いてくれていました。しかし高校生になって遊び始めた頃に虫歯ができてしまい歯医者に行きました(笑)。とても怖かったですし、注射が嫌いなので皆さんの苦手な気持ちもすごくわかります。僕自身もそんな原体験から、歯科のネガティブな印象を払拭できるように、自分が通いたいと思える歯科医院をつくることが一つの理想となっています。

 

怖いという気持ちをなくしていくには、1回ずつの小さな治療を乗り越えていくことが大切になります。歯科医師との信頼関係もベースにありながら、その治療を乗り越えた経験の積み重ねにより、歯科が“怖い”“苦手”という気持ちが、“ちょっとだけ苦手“ぐらいに変化していくのです。

具体的に患者さんには治療中に痛かったら、遠慮なく手を挙げて下さいと伝えています。手を挙げてもストップしてくれないのではないかと思っている方もいますが、僕の場合は必ず止めますし、いきなり治療をはじめることは絶対しないので安心して任せて下さいという旨も伝えます。そうすると最初は1分しかもたない方も、5分はもつようになります。そんな風にして1回の治療を乗り越えられると、どんどん次の治療をクリアできるようになり、一通り終わると患者さんの自信につながります。そうして自然と定期健診にもいらっしゃるようになり、歯に対する意識も高くなり、何かあったときに放置せず、気軽にすぐ歯科医院に行けるようになるのです。


池下先生が心がけていること

ーーー信頼できる歯科医師とともに一つ一つ成功体験を積み重ねていくこと、が歯科=怖いという気持ちを少しずつ軽減していくのですね。そのほかに先生が心がけていらっしゃることはありますか。


僕自身は、患者さんとのコミュニケーションの時間、そして質を大切にしています。まず知識、次にそれを伝えるコミュニケーション、そして会話にとる時間というのが大事になってくるので、何が欠けてもダメだと思っています。とはいえ患者さんは、30分治療をして30分会話すると疲れてしまうので、なるべく治療の時間を短くして、会話の方に時間を取るようにしています。たとえば30分治療時間があったとするならば、10分で治療を終えて、残り20分は説明をしたり、相談などを聞いたりしています。

 

また、歯医者さんが怖いという方は麻酔が苦手という方が多いです。よく無痛治療というものを謳っている歯科医院もありますが、実は歯医者で無痛はありえないと考えています。全身麻酔をして治療を行う場合はできますが、部分麻酔で意識がある場合は若干の痛みを伴います。それをどれぐらい痛くなくできるのかは正直、技術ではなく歯科医師の心意気が大きいことも。

人によっても、同じ人でも日によっても痛みが違ってきます。ちなみに余談ですが人間は危険を察知しやすくするため奥歯よりも前歯の方が痛いという仕組みもあります。痛みは『痛点』をどれだけ刺激するかどうかで強さが変わるので、場所だけではなく、刺激する範囲=針の細さなども影響します。僕は自分の口内に100回ぐらい刺してどうしたら痛くないかを実験しまして(笑)、麻酔の入れ方もいかに痛くないかを工夫しています。具体的には電動麻酔でゆっくり入れた後に、ぐっとじっくり入る設定に敢えてしており、さらに針が一番細いものを使用して痛点を刺激しないようにしています。さらに麻酔のカートリッジに薬液が入ってしますが、刺激が少なくなるように人肌に温めるということもしています。

無痛診療というのは絶対にないけれど、色々な工夫を組み合わせて比較的痛くないように治療しています。患者さんも自分がどんな麻酔をどんな風に処置されるのかを理解しているだけで怖さも軽減されるので、必ずこういった説明をするようにしています。昔の歯医者さんの麻酔が痛いという記憶で歯科医院から遠ざかってしまった方でも治療が終われば患者さんの自信につながります。


歯科選びでおさえておきたいポイント

ーーーいかに痛さを軽くできるのか試行錯誤されているのですね。では、意を決して歯科医院に行こうと考えている患者さんに向けて、先生ご自身が考える歯科選びでおさえておきたいポイントはどんなことでしょうか。


ネットは正直適当に書けてしまうので、それだけを信用してしまうのはあまりおすすめできません。僕の場合はホームページに上げている紹介動画をみてきてくれる人も多いんです。治療の内容というよりは、僕の人となりを見て共感してくれる場合がほとんど。

ネットや雑誌やTVなどはお金さえ払えば出れてしまう事もあるので(笑)、メディアに掲載されているからいいという訳でもありません。まずは行って先生と話してみるのが良いと思います。

特に歯科恐怖症だと思う人は「院長でお願いします」と依頼してみてはいかがでしょうか。院長の色がクリニックの色になっているので。特に歯医者さんが怖い人は重要視してほしいですが、定期健診でも、まずは「お話を聞きに来た」でも、来院理由は構わないので自分がどうしてここに来たのかを、先生にちゃんと聞いてもらえるのかをチェックしてみてください。そして、先生の回答に自分が納得できたかどうかも大事です。また人と人とのことなので、言葉だけではなく相性も大事になります。


今後目指している理想や、業界に対する想い

ーーまずは行ってみて、院長先生に診療をお願いするといいのですね。今後のご自身の目指す理想や、業界に対する想いを教えていただけますか。


歯医者に抵抗ない人は、何かあればすぐに歯科医院に行きますし定期健診などもしているので、大きなお口のトラブルは基本ありません。ただ“歯医者に来なきゃいけない人”が過去の経験から怖くて来れなくなるのだけは避けたいと思っています。これは誰にとっても幸せではないので。

歯医者は身体の不調の中でも緊急度が高くないようにとらわれがちですが、実は虫歯で亡くなる人もいます。なので、侮ってはいけないですし歯医者に対する負のイメージをとにかく払拭できるように働きかけていきたいです。歯科業界全体でいうと、特に都市部は歯科医院の数も多く、歯科医師同士の不毛なビジネス的競争などで、歯科医師が殺伐としている印象があります。自分たちの仕事にプライドを持ちながら、歯科医師として社会貢献していこうという意思が大事だと思っています。

そして歯科医院はある意味サービス業でもあるので、歯科医師は患者さんと対等でありながらも、来ていただいて診療させていただくというスタンスも必要です。ただし、サービス業であっても、“患者主体”とか“患者主導型”と謳っている医院もありますが、僕はそれは少し違うと思います。患者さんとお話ししながら歯科医師が方向性を決めていく、あくまで免許を取得しているのは自分たちなので、歯科医師が患者さんを導いていく役割を果たさないといけないと思います。

患者さんへのメッセージ

ーーーありがとうございます。最後に患者さんへのメッセージをお願いします。


今、歯科医師の意識も少しずつ変わってきていて、まだ利益主義の歯科医師もいるかもしれませんが(笑)、患者さんが真剣に相談すれば、それ相応のものが返ってくると思います。留まっていると後悔することになってしまうので、まずは重い腰をあげて診療にきてください。 もちろん僕でよければ力にもなりますし、全国の歯科医師が必ず力になってくれるはずなので、一歩動いてみてください。




 (取材日:2020年4月8日)
■取材した方
医療法人社団 桜輝会
山の手デンタルオフィス田町三田
池下 久登 理事長

歯科医師。 高校卒業ののち、一度は社会人経験後、明海大学歯学部歯学科に入学、2010年歯科医師免許取得。その後は同大学歯学部補綴科に入局し、入れ歯やインプラントについて学ぶ。 都内歯科医院にて分院長を3年務めた後、2016年に山の手デンタルオフィス田町三田を開業。
歯の診療を苦手に感じていた患者さんにも、歯医者という場所が、実は明るく、楽しい場所だと知ってもらいたいという想いで、Youtuber(イメチェン先生)としても活動中。
自らも歯科について日々インプットを重ねながら、患者さんのコミュニケーションを大事することが診療理念。



・山の手デンタルクリニック田町三田
https://seeker-dental.com/dent/6353

・歯科山の手
https://seeker-dental.com/dent/21182

・Youtube(イメチェン先生)チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCvpUK6Vrv4G5qD-sC7pgSDA

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