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2022/04/14
虫歯になりやすい人は唾液検査でお口の状態をチェック!
唾液検査とは、歯と歯茎の健康やお口の中の清潔度を知るために、唾液に含まれる成分や菌の数を調べる検査です。持って生まれた遺伝子や健康状態によって、唾液の性質や分泌量は変わります。それを知ることで、自分の歯に対する意識改革や歯科治療への姿勢が変わるかもしれません。 今回は、虫歯になりやすい人に唾液検査をおすすめする理由や、検査の方法、検査結果からわかることについて、詳しくご紹介します。
唾液検査はこんな人におすすめ!
しっかり歯を磨いているのに虫歯になりやすい人や妊娠中の人は、唾液検査を受けることをおすすめします。その理由は、唾液の成分や量、お口の中の菌の数によって虫歯の原因やリスクがわかり、根拠に基づく予防方法を知ることができるからです。 虫歯の多い子供にとっても、これから永久歯に生え変わる前にお口の環境を把握し整えることで、永久歯が虫歯になるリスクを減らすことができるでしょう。 また、妊娠中はホルモンバランスが崩れやすく、唾液の成分にまで影響を与えることがあります。 さらに、つわりのために歯ブラシをくわえるのが辛かったり、歯磨き粉の匂いや味が苦手になったりし、お口のケアが十分に行き届かなくなるケースもあります。そのため、事前に自分の虫歯リスクを把握して、より効果的に歯磨きや虫歯予防をしていく必要があるのです。
どんな種類があるの?
唾液検査には、洗口液を使ってうがいするタイプと、ガムを噛んで吐き出すタイプの主に2種類があります。
洗口液の唾液検査
洗口液の唾液検査では、10秒間程度お口の中全体を軽く洗口し吐き出すことで、試料の採取が完了します。さまざまな唾液成分を測定でき、歯や歯茎の健康やお口の中の衛生状況など、お口の健康に関係する数種類の項目を約5分ほどで検査できます。簡易な検査なので、検査当日すぐ結果が出ることが特徴です。もしそこで何か問題があれば、さらに詳しく検査を行うことができます。
ガムを噛む唾液検査
ガムを噛んで吐き出すタイプは、最初に簡単な問診と食生活などに関するアンケートを行います。その後、5分間ほど味のないガムを噛み続け、分泌された唾液を専用の容器に採取します。採取した唾液は、歯科医院または専門の機関に送って菌を培養します。 詳細な測定を行うため、結果が出るまでには5〜10日ほどの時間がかかります。虫歯の原因菌の種類や数などを詳しく知ることができるのは、ガムを噛んで吐き出すタイプです。
唾液検査によってわかることは?
種類によって多少異なるものの、唾液検査では以下の情報を得ることができます。これらの数値によって、歯や歯茎の健康度がわかります。
洗口液を使った検査の場合
1.虫歯菌(ミュータンス)の数や状態、唾液の酸性度、緩衝能などの歯の健康状態 虫歯菌が多く、活発な状態の場合、プラークが付きやすくなります。 また、唾液の酸性度が高いとお口の中が酸性になり、エナメル質などの歯質が溶けやすくなるので、だらだら食べることを防ぐ、時間を決めて食べるなど、食事の仕方を改善する必要があります。 緩衝能とは、食べ物、飲み物由来の酸や、虫歯菌が出した酸を唾液によって中和し中性に戻す働きのことをいいます。働きが弱いと、歯質が溶けやすくなります。
2.歯茎の健康(白血球、タンパク質) 歯周ポケット内に細菌やプラークの付着が多くなると、唾液中の白血球やタンパク質が増加します。
3.口腔清潔度(アンモニア) 口腔内の細菌の数が多くなると、唾液中のアンモニアも増し、口臭の原因になります。
ガムを噛む検査の場合
1.唾液分泌量 唾液には、細菌の活性度を弱めたり歯や口腔内の粘膜の保護をしたりするほか、お口の中を洗い流す自浄作用があります。分泌量がわかれば、唾液の自浄作用が十分に機能しているかがわかります。反対に、唾液の分泌量が少なくなると、効果が十分に発揮できず、虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。
2.唾液緩衝機能 唾液の緩衝機能が低くなると、エナメル質が再石灰化する速さが脱灰する速さに追いつくことができず、虫歯になりやすくなります。
3.ミュータンス連鎖球菌・ラクトバチラス菌 ミュータンス連鎖球菌は虫歯の原因となる菌で、ラクトバチラス菌は虫歯の進行を早める菌です。それぞれの数を調べることで、虫歯のリスクを把握できます。
食生活の見直しやお手入れ法改善に役立てる
虫歯の原因や抱えているリスクを唾液検査によって正しく把握することで、より丁寧なブラッシングや歯科衛生士によるメインテナンスを受けるきっかけになるのではないでしょうか?なかなかやめられない「だらだら食べ」などの食生活を見直すためにも、自身のお口の環境を客観視することは有効だといえます。
また、唾液検査を元に的確なお手入れ方法の指導を受けることもおすすめです。お口の環境を具体的な数字で見ることによって、お口のケアの意識改革を行ってみてはいかがでしょうか。
筆者:seeker編集部