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2024/05/30
40代・50代で起こりやすいお口のトラブルとは?
40代・50代は心身の健康状態が大きく変化しやすい年代です。仕事や家庭での忙しさからくる身体的な疲労や体力の低下、そしてホルモンバランスの変化など、さまざまな要因から心身ともに不安定になりやすいでしょう。 今回は、そんな40代・50代で起こりやすいお口のトラブルと対策を解説します。
40代・50代で起こりやすいお口のトラブル
歯周病
令和4年に厚生労働省が実施した調査によると、40代・50代では4割以上の人が4mm以上の歯周ポケットをもつことがわかりました。歯周ポケットの深さが4mmというのは歯周病の初期段階です。 この年代が歯周病になりやすい理由は、以下のことが考えられます。
歯周病は進行してしまうと歯を失う原因にもなります。忙しい中でも毎日のていねいな歯みがきは継続しましょう。また初期の段階では自覚症状がないことが多いため、定期的に歯科検診を受けるようにしてください。
二次カリエス
治療した歯が再びむし歯になることを「二次カリエス」といいます。二次カリエスは、過去の治療の際に使用した詰め物やかぶせ物と歯の間に、細菌や歯垢が入り込んでしまうことで発生します。 詰め物やかぶせ物の劣化が原因となることが多いため、むし歯の治療から年数が経つ40代・50代の人は注意が必要です。 二次カリエスは、詰め物やかぶせ物の下でむし歯が進むため、症状が現れたときにはかなりむし歯が進行してしまっていることが少なくありません。とくに過去の治療で神経を抜いている場合は、痛みを感じないため発見が遅れがちです。 二次カリエスを予防するには、毎日の歯みがきが大切です。それでも、詰め物やかぶせ物と歯の間には歯垢がたまりやすいので、むし歯の治療をした後も定期的に歯科検診を受け、治療後の歯の状態も診てもらいましょう。
歯の喪失
前述の厚生労働省の調査によると、40代・50代の半数近くが歯を失っています。この年代で歯を失う主な原因は、むし歯や歯周病、歯の破折(歯が割れたり、ひびがはいること)です。 歯を1本でも失うと、咀嚼や嚥下といった歯や口の大切な機能が低下する恐れがあります。40代・50代は、これから先の年代でこれ以上歯を失わないためにも、お口の健康意識を高める大事な年代といえるでしょう。
ドライマウス
個人差はありますが、40代以降になると唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量が減る人も増えてくるようです。加えて、口の周りの筋力低下により噛む回数が減ることでも唾液の分泌量は減少します。 ドライマウスは病気や治療のための薬が原因であることもありますが、それ以外の原因としては次のことが考えられます。
ストレスで交感神経が優位になっていると、唾液が分泌されにくくなります。また、年を重ねると若いころに比べて水分の摂取量が減る傾向があります。口の中の乾燥が気になるときには、こまめな水分補給を心がけましょう。
歯肉退縮
40代・50代になると「以前よりも歯が長くなってきた気がする」と感じる人も増えてくるようです。それは、歯ぐきが下がってきているからかもしれません。 歯ぐきが下がることを「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」といいます。歯周病や加齢、力を入れすぎたブラッシングが原因です。歯肉退縮が起きると、次のような症状が現れます。
毎日きちんと歯みがきをしていても、ブラッシング方法が間違っていると歯肉退縮の原因となってしまいます。歯科医院で正しいブラッシング方法を教えてもらうとよいでしょう。
40代・50代で起こりやすいお口のトラブルの予防法
毎日の正しい歯みがき
むし歯や歯周病、歯肉退縮など40代・50代で起こりやすいお口のトラブルを予防するためには、毎日の歯みがきが不可欠です。できるだけ歯垢を残さず、歯ぐきに負担をかけない正しい歯みがきを継続しましょう。
▶歯みがきの方法については、こちらの記事でくわしく紹介しています。参考にしてみてください。 歯みがきのしかたを学ぼう!
噛む力の維持・向上
40代・50代のお口のトラブルを防ぐには、噛む力を維持・向上させることが有効です。人と話す機会が減ったり、噛む回数が減ったりすると、噛む力の低下につながります。40代・50代の人は、会話をしたりよく噛んだりすることを意識してみてください。
唾液分泌の促進
耳の前にある「耳下腺」、顎のラインにある「顎下腺」、顎の中心あたりの「舌下腺」の3つの唾液腺をマッサージして刺激することで、唾液の分泌に効果があります。 日本歯科医師会では、「オーラルフレイル対策のための口腔体操」の中で唾液マッサージを紹介していますので、ぜひ日常のセルフケアに取り入れてください。ゆったりした気分でマッサージするとリラックス効果も期待できるでしょう。
参考資料:オーラルフレイル対策のための口腔体操|日本歯科医師会
定期的な歯科検診とクリーニング
セルフケアをきちんと行っていても、むし歯や歯周病になってしまう人もいます。それは歯と歯の間、歯と歯ぐきの溝など、磨きにくい部分にどうしても歯垢が残ってしまい、そこで細菌が繁殖してしまうからです。 定期的な歯科受診で、セルフケアで落としきれなかった歯垢や歯石を除去してもらうと、お口の中の細菌を減らせます。 また、むし歯や歯周病にかかってしまっていたとしても、初期の段階で見つけることができれば、比較的軽い治療で済むことも多いです。定期的な歯科検診を継続して、大切な歯を守りましょう。
まとめ
40代・50代はむし歯や歯周病などで歯を失うリスクが高まる年代であることがわかりました。歯や口腔機能を維持することは、その他の病気の予防や認知症予防にも効果的だといわれています。 これから先、1本でも多く自分の歯を健康な状態で残していくために、歯や口腔機能の維持に積極的に取り組んでいきましょう。
筆者:seeker編集部