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2022/10/13
プレママさん必見!赤ちゃんの歯は妊娠中から作られる
赤ちゃんの歯は生後6か月から7か月頃になると生え始め、3歳頃には生えそろいます。乳歯は永久歯に生えかわるまでの期間、重要な役割を果たします。 今回は赤ちゃんの歯がいつ頃から作られるのか、そして、大切な赤ちゃんの歯を守るためにママ自身が気をつけなければいけないことをお話しします。
赤ちゃんの歯が作られる時期
乳歯の芽は妊娠7週頃に作られる
歯は、顎の骨の中にある歯胚と呼ばれる乳歯の芽から生えてきます。歯の形成は歯胚が作られるところから始まります。そして、この歯胚にカルシウムやリンが付着して石灰化し、お口の中に生える時期を待ちます。 乳歯の歯胚は妊娠7、8週目頃から作られ始め、妊娠4か月頃から石灰化が始まります。 また、妊娠4、5か月頃からは永久歯の歯胚も作られ始め、妊娠後期には石灰化が始まります。歯胚は数年の期間をかけて発育し、やがて歯としてお口の中に生えてきます。
歯根が完成するのは歯が生えてから
乳歯は生後6か月頃から生え始め、個人差がありますが、3歳頃になると20本すべての乳歯が生えそろいます。しかし、歯の根が完成するには、生えてから2、3年を要します。生えてきたばかりの歯は未完成でやわらかく、酸に溶けやすいため、簡単にむし歯になってしまいます。「もし乳歯がむし歯になっても、いずれ永久歯に生えかわるのだから気にしなくていいだろう」と考える方も多いのではないでしょうか。 しかし乳歯の存在は、後に生えてくる永久歯の歯の質や歯並びに大きく影響を及ぼすため、積極的にむし歯を予防する必要があるのです。
歯を作るのに必要な栄養素
生まれてくる赤ちゃんの歯がどのように作られるかは、妊娠中の食生活が大きな影響を与えます。では、どういった栄養素を積極的に摂取すれば、丈夫な歯が作られるのでしょうか。
カルシウム
むし歯になりにくい歯の条件は、十分な硬さを持っていることです。 つまり歯胚の石灰化が重要です。石灰化を助ける栄養となるのがカルシウムです。1日に必要なカルシウムの量は、通常600mg以上と言われていますが、妊娠中はそれ以上の900mgを摂取すると良いでしょう。特に歯胚の石灰化が行われる妊娠4か月から6か月の間は、意識して摂取するようにしましょう。
タンパク質
歯のもとになる歯胚の形成には、タンパク質が必要になると言われています。歯胚が作られ始める妊娠7、8週目頃から妊娠3か月頃の期間は、タンパク質を積極的に摂取することを心がけましょう。
ビタミンA
ビタミンAは、エナメル質と呼ばれる歯の表面の部分の土台を作るために欠かせない栄養素です。また、口腔内の粘膜を強くする働きがあります。しかし、妊娠初期にビタミンAを摂取しすぎると、ママと赤ちゃんの体に悪影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中のビタミンAの過剰摂取には気をつけましょう。
ビタミンC
ビタミンDはカルシウムの吸収率を高めてくれることから、骨に良い成分とされています。歯胚の石灰化においてもカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、積極的に摂取しましょう。
赤ちゃんの歯をむし歯菌から守るために
生まれたばかりの赤ちゃんのお口は無菌状態です。つまり、むし歯菌は一匹もいないということです。 ではなぜむし歯になってしまうのでしょうか。ママや周りの家族が赤ちゃんと同じ食器やお箸、スプーンなどを共有することで、唾液を介してむし歯菌が赤ちゃんのお口に移り、むし歯に感染してしまいます。 「感染の窓」と呼ばれる1歳7ヶ月から2歳7ヶ月頃は特に、むし歯菌に感染するとむし歯になりやすい時期と言われています。反対に、この「感染の窓」と呼ばれる時期に注意して3歳までむし歯菌に感染しなければ、大人になってからもむし歯になりにくいと言われています。 しかし、忙しい育児の中で食器類を共有しないよう徹底することや、自分以外の家族にも同じように徹底して生活してもらうのは容易ではありません。
また、この時期の赤ちゃんにとって、ママとのスキンシップは赤ちゃんの成長過程において大切な役割を果たします。むし歯菌を恐れてスキンシップや愛情表現が希薄になってもいけません。赤ちゃんの歯をむし歯菌から守り、より良い育児をするためには、ママのお口の中から健康な状態にすることが重要です。 ママや周りの家族にむし歯がある場合は早めに治療し、定期的に歯科医院で検診を受けるなど、日頃からお口の中のケアに力を入れてむし歯菌の少ない口内環境を保つよう心がけましょう。
筆者:seeker編集部