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2024/04/18
幼児期に起こりやすいお口のトラブルとその原因を紹介
幼児期に起こりやすいお口のトラブルには、歯や歯茎の変色や歯が生えてこないなど、さまざまなものがあります。子どものお口のトラブルについて、あらかじめ知識を持っていることは、子どもの健康を守ることに繋がるでしょう。 今回は、幼児期の子どもに起こりやすいお口のトラブルとその原因について紹介します。
目次
幼児期のお口トラブル1:歯や歯茎の色が気になる
幼児期の子どもに起こりやすいお口のトラブルとして、歯や歯茎の色が気になることが挙げられます。その原因について見ていきましょう。
【原因1】エナメル質形成不全
歯の一部が白っぽくなったり、黄色や茶色に変色したりしている場合、エナメル質形成不全である可能性があります。 こういった歯は、エナメル質が脆くなっている傾向があるため、虫歯に対する抵抗力が低くなりやすいといわれています。エナメル質形成不全の場合、丁寧に歯のお手入れをしながら様子を見るのが一般的です。
▶子供の永久歯の黄ばみについては、次のコラムをご覧ください。 生えたばかりの永久歯が黄色い…むし歯の前兆!?
【原因2】色素沈着
通常、健康な歯茎はピンク色をしていますが、なかには歯茎の一部が茶色や青色に変色している場合があります。これは、歯茎の粘膜で生成されるメラニンが粘膜のなかに残ってしまうことで起こる症状です。 幼児の場合、成長とともに色素沈着が目立ちにくくなることがあるため、一般的には経過観察をします。
幼児期のお口トラブル2:歯が生えてこない
幼児期のお口のトラブルとして、歯が生えてこないこともよく聞かれます。その原因について見ていきましょう。
【原因1】先天性欠損
先天性欠損とは、生まれつき歯が足りない状態のこと。乳歯や永久歯が何らかの原因で生えないため、通常より歯の本数が少なくなります。 一般的には、乳歯は生後6カ月ごろから、永久歯は6歳ごろから生え始めます。この時期に生えてこない場合には、かみ合わせや歯並びなどに影響が出ることがあるため、早めに歯科受診をして検査をしたほうがよいでしょう。
▶歯が生えてこないについては、次のコラムをご覧ください。 先天性欠損(欠如)とは?生まれつき歯が足りない時どうする?
【原因2】歯が生える隙間が十分でない
顎が小さく、永久歯が生えるための十分な隙間がないケースでも、歯が生えない場合があります。治療せずに放置すると、無理やり歯が生えたり生えないままになったりするため、歯並びが悪くなるリスクが高まるでしょう。 歯が生える隙間が十分でない場合には、年齢や歯の状態に合わせた歯列矯正をする必要があります。
▶歯科矯正については、次のコラムをご覧ください。 歯列矯正、何歳からはじめる?年代別メリット・デメリット
幼児期のお口トラブル3:虫歯になる
幼児期のお口のトラブルとして、虫歯を気にする方も多いです。虫歯の原因について見ていきましょう。
【原因1】歯磨きを嫌がる
幼児期には、自分で歯を磨くのを嫌がったり、さまざまな理由で仕上げ磨きができなかったりすることがあります。歯垢や食べかすをきれいに取り除けない状態が続くと、虫歯になりやすくなってしまいます。 歯磨きを嫌がる場合には、楽しく歯磨きができるよう歯磨きアプリを使ったり、歌を歌いながら歯磨きをしたりといった工夫が必要です。また毎日仕上げ磨きを続けるのは難しいこともあるでしょうが、最低1日1回、できれば夜は仕上げ磨きを続けるよう意識しましょう。
▶子供の歯磨きについては、次のコラムをご覧ください。 子供が歯磨きを嫌がる! 歯磨きを楽しむポイント4つ
【原因2】甘い飲み物によるボトルカリエス
ボトルカリエスとは、離乳期を過ぎてもジュースやミルクを哺乳瓶で飲ませたり、授乳をしたまま眠ったりすることで虫歯になることです。別名「哺乳瓶う蝕」とも呼ばれています。 初期の虫歯に気がつかず放置してしまうと、全ての乳歯が虫歯になることもあるため、適切な時期に哺乳瓶からコップでの補水に切り替えることが大切です。
幼児期のお口トラブル4:口呼吸になっている
子どもの呼吸の方法が、知らずしらずのうちに口呼吸になっていることがあります。いつもぽかんと口を開けている、唇をよくなめるなど、口呼吸のサインを見つけたら、歯科や耳鼻咽喉科のクリニックで相談してみましょう。 口呼吸には、免疫力の低下や虫歯・歯周病のリスクが高まるといった悪い影響があります。口臭やドライマウスの原因にもなるため、口呼吸の癖がある幼児は早めに口呼吸を治すようにしましょう。
▶口呼吸の治し方については、次のコラムをご覧ください。 口呼吸から鼻呼吸へ。口呼吸の原因や治し方を解説
幼児期のお口トラブル5:おしゃぶりがやめられない
おしゃぶりがやめられないこと自体がお口のトラブルというわけではありません。しかし長期間使用することで、出っ歯になったり歯と歯の間に隙間ができたりする可能性があります。そのため、おしゃぶりを使用するのは2~3歳くらいまでにするとよいでしょう。 おしゃぶりをやめる場合は、子どもに事前にやめることを伝えたり、スキンシップを増やしたりして、ストレスなくおしゃぶりをやめられるようにしてあげてください。 おしゃぶりには、赤ちゃんに安心感を与えられるメリットがあるので、おしゃぶりを与えておけば安心と親のほうが依存してしまうケースもあります。公共の場でだけ使う、寝るときだけ使うなど、おしゃぶりをだらだらと与え続けない心がけも大切です。
▶赤ちゃんのおしゃぶりによる影響については、次のコラムをご覧ください。 赤ちゃんのおしゃぶりは歯ならびに影響する?メリットとデメリットを解説
幼児期にお口のトラブルがある場合は早めに歯科受診をしよう
幼児期のお口トラブルにはさまざまなものがあります。経過観察でよいものもありますが、放っておくと歯並びに影響したり別のトラブルを招いたりする場合もあります。 原因によっても対処法が異なるため、気になる症状がある場合には、歯科クリニックを受診して適切な治療を受けることが大切です。早めに受診して、子どもの歯の健康を守りましょう。
筆者:seeker編集部