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2023/05/09

静脈内鎮静法、眠っている間に治療が終わる?

痛みへの恐怖心から、歯医者さんが苦手だと感じている人はいませんか。過去に強い痛みをともなう治療を受けたことがきっかけで、怖さが芽生えた方もいるかもしれません。そのような人にお伝えしたいのが「静脈内鎮静法」です。

今回は、静脈内鎮静法の内容や静脈内鎮静法に向いている人、静脈内鎮静法の流れについて解説します。


静脈内鎮静法とは?

静脈内鎮静法では、歯科治療を補助する目的で、鎮静薬を静脈に点滴投与します。半分眠っているような状態にしてから歯科治療を行うため、痛みや恐怖への感覚を鈍らせることができます。

静脈内鎮静法は、全身麻酔のように完全に意識をなくさせるものではありません。そのため、治療中でも歯科医の呼びかけなどには応じられます。また、治療が終わった後は少し休めば帰宅できますので、日帰りでの治療も可能です。



どんな人が静脈内鎮静法を選ぶ?

静脈内鎮静法はどのような人に適しているのでしょうか。ここでは次の4つにわけてお伝えします。


  • 治療中の痛みや音が怖い人
  • 嘔吐反射が強い人
  • 長時間の治療が必要な人
  • 身体機能に不安がある人

  • 上記に当てはまらなくても、「リラックスした状態で治療を受けたい」など、本人の希望があれば誰でも静脈内鎮静法を選べます。ただし、使用薬にアレルギーがある場合は施術を受けられません。不安がある場合は、必ず歯科医に相談してください。



    治療中の痛みや音が怖い人

    静脈内鎮静法は、過去に歯医者さんで痛い思いをした、治療に使う器具の甲高い音がイヤなど、歯医者さんでの治療が怖い人に適しています。鎮静薬が効いている間は、痛みも恐怖もほぼ感じません。

    痛みや音に敏感な方のほか、治療中に気分が悪くなったり貧血を起こしたりした経験のある人にも有効でしょう。


    ▶「歯が痛いけれども歯医者に行くのは絶対嫌……」という人は歯科恐怖症かもしれません。歯科恐怖症についてはこちらのコラムをご覧ください。
    その怖さ、歯科恐怖症かも? 歯科でも痛くない治療がある



    嘔吐反射が強い人

    喉の奥に異物が入ると、反射的に「オエッ」とえづいてしまったり、吐いてしまったりします。このような反射を「嘔吐反射」といいます。嘔吐反射が起こること自体はまったく問題ありません。

    ですが、歯科治療は口の中に器具を入れて行うため、反射の程度が強いとスムーズに歯科治療を受けられないケースも出てきます。静脈内鎮静法を行うと嘔吐反射を鈍くさせることができます。嘔吐反射が強い人は検討してみてもよいでしょう。


    ▶嘔吐反応とその対策ついては、こちらのコラムで紹介しています。
    歯みがきや歯科治療でえずいてしまうのはなぜ?どうしたら治るの?




    長時間の治療が必要な人

    「歯医者さんでの治療に抵抗がない」「痛みもある程度は大丈夫」といった人でも長時間の治療となると心身への負担は大きくなります。そのような場合にも静脈内鎮静法は有効です。

    鎮静薬には健忘作用があります。鎮静薬を投与することで治療中の意識があいまいになり、治療の時間を実際よりも短く感じさせることができるのです。大がかりな手術やインプラントなど、長時間にわたる治療が必要な人にとっても選択肢のひとつとなるでしょう。



    身体機能に不安がある人

    高血圧や心疾患、糖尿病など基礎疾患のある人が歯科治療を受ける場合は、心拍数や血圧への配慮が必要となる場合があります。静脈内鎮静法では、生体情報をモニタリングしながら治療を進めるため、基礎疾患のある人でも安心です。また同様の理由から、身体機能に不安がある高齢者にも有効です。




    静脈内鎮静法の流れ

    静脈内鎮静法の流れは以下のとおりです。


    • 1.問診・カウンセリング:既往歴や体調などを確認する
    • 2.モニターの装着:治療中の血圧や心拍などに異常がないかを監視する
    • 3.腕の静脈に鎮静薬を点滴投与
    • 4.意識が薄らいでいくのを確認
    • 5.歯科治療
    • 6.【歯科治療後】意識がしっかりするまで院内で休み、その後帰宅



    静脈内鎮静法の費用の目安

    静脈内鎮静法は、一部保険適用の歯医者さんもありますが、大半の歯医者さんでは保険適用外となっています。特に本人の希望で静脈内鎮静法を行う場合は自由診療となり、保険は適用されません。

    自由診療の場合、歯医者さんによって費用は異なります。費用の目安は1万~5万程度。ただしこれは静脈内鎮静法のみの目安ですので、歯科治療代も別途必要です。費用が気になる場合は、歯医者さんに確認してから施術を受けてください。



    静脈内鎮静法の注意点

    静脈内鎮静法は、歯医者さん側で準備することがあるため、事前に予約する必要があります。

    一方、患者側にも準備が必要です。施術前の飲食制限については、事前に歯医者さんから説明を受けておきましょう。また、施術のことを考え、点滴しやすい服装を選ぶのもおすすめです。施術後のために、転倒しにくい靴を選ぶのもよいでしょう。

    施術後は、麻酔が抜けるまで30分~1時間ほど院内で休みます。その後もしばらくは、眠気やだるさなどが残るため、車やバイク、自転車の運転はできません。帰宅する手段についても検討しておきましょう。

    また施術後は、安静にできる環境を整えておくことをおすすめします。急ぎの予定や責任を伴うような予定は入れないほうが安心です。




    気になる方はまずは歯医者さんに相談を

    静脈内鎮静法なら、眠っているような状態で歯科治療を受けられます。歯や口の中のことで不安があっても、歯医者さんへの恐怖心から治療を躊躇している人にとって、静脈内鎮静法は一考の余地があるかもしれません。

    ただし静脈内鎮静法は、すべての歯医者さんで行っているわけではありません。施術を希望する場合は、歯医者さんに相談してみてくださいね。



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    筆者:seeker編集部

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