コラム>予防・メインテナンス
2023/06/15
歯のみがきすぎ、オーバーブラッシングについて
歯の健康を維持するために歯みがきが重要であることは、多くの人が認識しているでしょう。ただし、正しい方法で歯をみがいていなければ、逆にお口のトラブルにつながってしまうこともあります。 今回は、歯のみがきすぎ「オーバーブラッシング」について解説します。
目次
オーバーブラッシングとは
オーバーブラッシングとは、歯を強い力でみがいたり長時間みがいたりすることで、歯や歯肉(歯茎)を傷つけてしまうことです。研磨力の強い歯みがき粉を使いすぎている場合も、オーバーブラッシングになっていることがあります。 歯みがきをするたびに歯や歯肉に過度な負担がかかるオーバーブラッシングを続けていると、口腔内のさまざまなトラブルの原因になりかねません。トラブルについては次章で詳しく紹介します。
オーバーブラッシングによるトラブル例
オーバーブラッシングによるトラブルとして、ここでは以下の3つを紹介します。
ひとつずつみていきましょう。
しみる・知覚過敏になる
オーバーブラッシングを続けていると、冷たいものや刺激のあるものを食べたときに歯がしみたり痛くなったりすることがあります。ひどい場合は、食べ物が歯に触れただけでも痛みが生じることもあるようです。 歯をみがきすぎると、歯の表面にあるエナメル質が削られ薄くなってしまいます。するとエナメル質の内側にある象牙質がむき出しになり、外からの刺激に敏感な状態になってしまうのです。
歯や歯肉が傷つく
歯をみがきすぎると、物理的に歯や歯肉に傷(擦過傷)がつきます。歯に傷がつくと、歯を守っているエナメル質が削れ、知覚過敏を引き起こしやすくなります。また歯の根元部分の歯肉が傷つくと、傷口から細菌が入り腫れてしまうこともあるでしょう。 歯肉にすりむけた様子があったり、白く盛り上がったりしている人は要注意です。
歯肉が下がる・やせる
歯肉に強い力を加えつづけると、本来の歯肉の位置から下がってしまうことがあります。すると歯と歯のあいだに隙間ができ、食べたものがつまりやすい状態になってしまいます。みがき残しにもつながりますし、見た目にもよくありません。 さらに状態が悪化すると、歯根が露出するまで下がる場合もあります。一度下がったりやせたりしてしまったりした歯肉は、元の状態に戻しにくいことが知られています。
オーバーブラッシングが原因で虫歯になることも
オーバーブラッシングをつづけていると、歯や歯肉にかなりの負担がかかります。歯のエナメル質が削れたり、歯肉が傷ついたり下がったりすることで、汚れが十分にとれず残ってしまうことも考えられます。結果的に、虫歯や歯周病などのリスクが高まってしまうでしょう。 歯みがきをしているのに虫歯になってしまう場合は、オーバーブラッシングになっていないかチェックしてみてはいかがでしょうか。
オーバーブラッシングにならないための方法
オーバーブラッシングにならないための方法はただ一つ「正しく歯をみがくこと」です。とはいっても、「正しくって具体的にどうしたらいいの?」と思う人もいるでしょう。 ここからは、オーバーブラッシングにならないための具体的な方法を紹介します。自分の歯にあった正しい歯みがき方法を身につけて習慣化しましょう。
硬めの歯ブラシを避ける
歯ブラシが硬いと歯や歯肉が傷つきやすくなります。そのため歯みがきのときに力が入りやすい人は、硬めの歯ブラシは避けましょう。また、毛先が細めの歯ブラシは、力を入れずに汚れを落としやすいといわれています。歯ブラシを選ぶ際の参考にしてみてください。
鉛筆を持つように歯ブラシを持つ
歯ブラシの持ち方は、手に力が入りにくい「ペングリップ」がおすすめです。ペングリップとは、鉛筆を持つときのように歯ブラシを持つ方法です。ペングリップで歯をみがく際は、ワキを締めると手が安定してみがきやすくなります。 手のひら全体で歯ブラシをにぎるように持つ「パームグリップ」で歯ブラシを持っている人もいるでしょう。パームグリップだと力が入りやすいです。オーバーブラッシングのリスクを抑えたい場合は、ペングリップで歯みがきをしてみましょう。
みがき方に注意する
力を入れすぎないのはもちろん、歯に歯ブラシをあてすぎないのも大切です。歯に歯ブラシの毛先をあてたとき、毛先が開かないよう歯にそえるイメージです。 この状態から小刻みに歯ブラシを動かし、優しく汚れをとるように心がけてみてください。 主な歯のみがき方は下記のとおりです。
▶詳しい解説はこちらのコラムをご覧ください。 歯みがきの仕方を学ぼう
歯みがきにどうしても力が入ってしまう人は歯科医院で相談を
歯ブラシを変えたり歯みがきの方法を見直したりしても、どうしても歯みがきに力が入ってしまう人は歯科医院で相談してみましょう。 また、「自分がオーバーブラッシングになっていないかを確認してほしい」「自分にあった正しい歯みがきの方法を教えてほしい」という人も歯科医院で相談してみるのがおすすめです。 せっかく時間をかけて懸命に歯をみがいているのに、歯がきれいにならないどころか、お口のトラブルを招いてしまうのは残念です。今一度普段の歯みがきを見直してみてはいかがでしょうか。
筆者:seeker編集部