コラム>歯茎の腫れ、出血
2023/12/28
歯周病の検査内容とは?
歯周病は、歯と歯肉(歯ぐき)の隙間(歯周ポケット)に侵入した細菌の影響により、歯肉に炎症を引き起こす炎症性疾患です。症状が進行すると歯を支える骨を溶かすため、歯を失う場合もあります。 歯周病は初期の段階では、痛みなどの自覚症状がないことも多く、歯科医院での検査によって診断されることがほとんどです。今回は、歯周病の検査ではどのようなことが行われるかについて解説します。
歯周病検査の項目
歯科医院で行われる歯周病の検査内容は複数あります。一つずつみていきましょう。
プロービング検査
歯周病の症状のひとつに、歯と歯ぐきにある隙間(歯周ポケット)が深くなることがあります。歯周病が進行するほど歯周ポケットは深くなるため、深さを測定し、歯周病かどうかとその進行具合(重症度)をみるのが「プロービング検査」です。 検査では、プローブという目盛りのついた金属やプラスチック製の針状の器具を歯周ポケットに差し込み、歯周ポケットの深さを測定します。歯周ポケットの深さと症状の進行具合の目安は下記のとおりです。
また検査の際に出血する場所が多いと、炎症が強い、つまり歯周病が進んでいるとみなされます。歯周ポケットの深さだけでなく、出血の度合いもみる検査です。
プラークの付着率の検査
歯周病の直接の原因は、歯についた汚れであるプラークです。プラークがついているほど歯周病になりやすいのです。 プラークの付着量を調べるには、染色液で歯を染め出したあとに水で軽くうがいをし、染めが残っている箇所(プラークが付着している箇所)を肉眼で確認して付着率を出します。付着率が高いほど、歯周病のリスクも高まります。
動揺度検査
「動揺度検査」では、ピンセットなどで歯をはさみ、歯の揺れ具合を調べます。歯の揺れ具合と症状の進行具合の目安は下記のとおりです。
エックス線検査
歯周病が進行すると、歯を支える骨である歯槽骨が溶けてきます。歯肉のなかにある歯槽骨の状態を調べるのに有効なのが「エックス線検査」です。 エックス線で歯槽骨の高さを調べることで、歯槽骨が溶けた範囲や歯槽骨の状態を確認できます。
問診と口腔内検査
歯周病は生活習慣や生活環境などの影響を受けます。そのため問診では、以下のようなことを確認されます。
歯周病にかかわりのある全身疾患の一例として、呼吸器系疾患や心疾患、糖尿病などがあります。このような疾患は、歯周病を悪化させる原因のひとつです。とくに糖尿病は歯周病を進行させやすい疾患として知られています。 くわえて口腔内検査で虫歯の有無や被せ物の状況も確認し、歯周病の判断と治療に活かします。
治療後の再評価検査
これまで紹介したような検査を経て歯周病と診断された場合、治療を受けることになります。基本的な治療をしたあとにも再度、プロービング検査などの歯周病検査を受けます。これが「再評価検査」です。 再評価検査では歯周病の改善度を測定し、その後メンテナンスに移行するのか、外科的な治療が必要なのかなどを判断することになります。
▶歯周病の治療内容や流れについては、次のコラムをご覧ください。 歯を失う原因にもなる歯周病の治療の流れを解説!
歯周病検査を受けるべきタイミングとは?
初期の段階では自覚症状がほぼない歯周病。その進行を防ぐためには、どのようなタイミングで検査を受けるべきなのでしょうか。
今までと違うことがあったら
口のなかの状態で今までと違うことがあったら歯科医院に相談するのがおすすめです。とくに以下のような症状があれば、歯周病の可能性があります。できるだけ早めに歯科医院でみてもらいましょう。
▶歯周病の症状については、次のコラムをご覧ください。 もしかして歯周病?こんな症状に要注意
時期を決めて定期的に
歯科医院での定期的な検査やクリーニングを習慣化していれば、歯周病を早期に発見できます。検査やクリーニングの間隔については歯科医院に相談してみてください。また自治体で行われている歯科検診も積極的に活用しましょう。
歯周病は毎日のケアが大切
歯周病は初期の段階で気づきにくい疾患です。また、治療を行ったとしても再発するケースは多くみられます。口の健康を守るためには、歯周病にならないような毎日のケアが大切です。 正しい歯みがきや適切な生活習慣を心がけることにくわえ、歯科医院での定期的な検診も受けるようにしてください。
▶正しい歯磨きについては、次のコラムをご覧ください。 大人も子供も一度は受けておきたいブラッシング指導とは?
筆者:seeker編集部