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投稿日:2025/06/26
更新日:2025/06/26
インプラント治療の費用相場と内訳:高額な理由を徹底解説
「インプラント」のイメージといえば、かなり費用が高そう…ということではないでしょうか。インプラントが高いことは知っているけど、「実際どのくらいかかるのか」また「なんで高いの?」など、今回はその具体的な費用についてお話します。
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インプラント治療とは?治療方法と検討時の重要ポイントを解説
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目次
インプラント治療の具体的な費用は?
前歯のインプラントにかかる費用
前歯のインプラント治療にかかる費用は、1本あたり約40万~50万円が目安です。前歯は見た目の印象に直結する部位であり、審美性や自然な仕上がりが重視されます。
このような理由から、インプラント本体に取り付る人工の歯である上部構造に使用する素材や技工の精度も重要となり、費用がやや高くなる傾向があります。
また、骨の厚みが不足している場合は骨造成などの追加処置が必要になることもあるため、その費用が加算されるケースもあります。見た目と機能性の両方を考慮した治療になりますので、納得のいく説明を受けたうえで進めましょう。
奥歯のインプラントにかかる費用
奥歯のインプラント治療にかかる費用は、1本あたり約35万~45万円が目安です。奥歯は噛む力が強くかかる部位であり、耐久性や機能性が重視されます。そのため、使用するインプラント体や上部構造(インプラント本体に取り付る人工の歯)も、強度に優れたものが選ばれます。
また、骨の厚みや高さが不足している場合は、骨造成やサイナスリフトといった追加の処置が必要になることがあり、その費用がプラスされるケースもあります。治療内容によって費用は変動するため、事前に歯科医院でしっかりと説明を受けましょう。
インプラント治療の費用内訳
インプラント治療は、1本あたりの総額が高額になりがちですが、その内訳は複数の工程と材料費から構成されています。
検査や診察料、インプラント本体の価格に加え、手術費用や人工歯の作製費用、そして治療後のメンテナンス費などが含まれます。ここでは、それぞれの費用項目について詳しくご紹介します。
検査・診察料
インプラント治療の初期段階では、口腔内の状態を正確に把握するための検査や診察が行われます。具体的には、レントゲンやCT撮影、歯周病の有無の確認、噛み合わせのチェックなどが含まれ、これらの結果をもとに治療計画が立てられます。
検査・診察料の相場は約1万~5万円程度で、歯科医院によってはカウンセリング費用が別途かかることもあります。治療の安全性と成功率を高めるためには、こうした事前の精密な診断が欠かせません。治療前に精密な検査を受けることで、適切な治療計画が立てやすくなり、安心してインプラント治療に臨むことができます。
インプラント本体の費用
インプラント本体の費用は、治療全体の中で最も大きな割合を占めており、1本あたり15万円程度が目安です。インプラント本体とは骨に埋め込み、歯の土台としての役割を果たす部分を指します。使用する素材や製造技術により価格が異なり、品質の高いインプラントは耐久性や安全性が優れているため、費用も高くなりがちです。
インプラント本体の素材はチタンが主流です。チタンは人体に馴染みやすく拒絶反応を起こしにくい上、骨との結合力も強いため、インプラントが安定して長期間機能するのに適しているのが理由です。
このように、インプラント本体の費用は決して安価ではありませんが、その耐久性や長期的な安定性を考慮すると、十分に価値のある投資と言えるでしょう。
上部構造の費用
上部構造はインプラントの上に装着する人工の歯の部分で、1本あたり約5万円~18万円が目安です。素材はセラミック、ジルコニア、メタルボンドと呼ばれるセラミックと金属でできたものなどがあり、素材によって費用が異なります。
素材ごとの強度や見た目の美しさ、耐久性といった特性が価格に反映されており、それぞれの希望や口腔内の状態に応じて適切な素材が選ばれます。セラミックやジルコニアは強度と審美性に優れ、金属アレルギーの心配も少ないため、前歯など目立つ部位に適しています。
治療を進める際には、歯科医院で使用する素材やその特性について詳しく説明を受け、自分のニーズに合った選択をしましょう。
インプラント埋入手術費用
インプラント埋入手術費用は、1本あたり約15万円~35万円が目安です。手術では、インプラント本体を顎の骨に埋め込むため、専門的な技術や設備が求められます。使用する機器の種類や手術の難易度によって金額が異なります。
また、顎の骨が薄い、もしくは不足している場合は、追加で骨造成やサイナスリフト(上顎洞挙上術)が必要になることがあります。これらの処置の費用は、約15万円~30万円が目安です。
一人ひとりの骨の状態や治療内容により費用は異なるため、治療前にしっかりと確認しましょう。
メンテナンス費用
インプラント治療後は、長期的に安定した状態を保つために、定期的なメンテナンスが欠かせません。インプラント自体は耐久性が高いものの、周囲の歯肉や他の歯とのバランスを保つには継続的なケアが重要です。
メンテナンスの主な内容は、インプラント周囲の組織状態をチェックする検査や、歯石・プラークを除去するクリーニングなどです。これにより、歯肉炎やインプラント周囲炎の予防が期待できます。費用の目安は1回あたり約5千円で、こうしたメンテナンスは将来的なトラブルを防ぐための大切な投資といえるでしょう。

インプラント治療が高額の理由は?
インプラント治療は、保険が適用されない自費診療であることに加え、精密な検査から始まり、高品質なインプラント本体、一人ひとりに合わせた上部構造の作製、さらに高度な手術とメンテナンスまで、多くの工程と専門的な技術が必要となります。
ここでは、一体どのような理由でインプラント治療は高額になりやすいのか、その背景を詳しく見ていきましょう。
自費診療となるため
インプラント治療は、全額患者負担の「自費診療」の扱いになっています。これはインプラントは保険治療の適応外のためで、それによって自己負担額が大きくなってしまいます。
▶保険診療と自費診療についてもっと詳しく知りたい方は、
保険診療と自費診療の違いを徹底解説!選択時のポイントと注意点
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設備投資に費用がかかっているため
高額な理由は主に、インプラント自体の材料費と、インプラント手術をするために必要な特殊な機材や薬などの設備費が高額な事が主な要因です。インプラントは「外科手術」を行うので、それ自体に費用がかかり、術後も長期的に治療やメンテナンスをしていく必要があるため、時間と費用がかかります。
衛生環境の整備にも費用がかかるため
インプラント治療では、安心して治療を受けられるよう、高度な衛生管理が求められます。安全な治療環境を維持するためには、適切な設備投資が不可欠です。
例えば、手術室をはじめとする診療スペースを清潔に保つための清掃や消毒、感染リスクを抑えるための対策などに費用がかかります。また、治療に使用する器具を衛生的に管理するためのコストも必要となります。
このように、安全な医療を提供するための環境を整備し、維持していくためには、相応の費用がかかります。これらのコストも、インプラント治療が高額になる理由の一つと言えるでしょう。安全な治療を受けていただくために、見えない部分にも費用がかけられているのです。
インプラント本体の材料が高額となるため
インプラント治療費の中で、インプラント本体は最も大きな割合を占める項目の一つです。使用されるのは医療用チタンで、この素材は人の身体との親和性が高く、骨としっかり結合する性質を持つため、安全性や耐久性に優れています。
さらに、製造には高い精度が求められ、厳格な品質管理や滅菌処理なども施されており、これらが価格に反映されています。
臨床実績のある信頼性の高いメーカーの製品は、術後のトラブルが少なく、長期的に安定した使用が期待できます。そのため、1本あたりの費用は高額になりますが、安心して長く使うためには必要な費用といえるでしょう。
インプラントの費用がクリニックで異なる理由は?
インプラントの費用は、歯科医院によって大きく異なることがあります。これは、使用するインプラントメーカーの種類や治療方法、設備体制、保証内容、さらには治療を担当する歯科医師の経験や技術力などが異なるためです。
また、カウンセリングや診断、術後のフォロー体制など、歯科医院ごとのサービスの内容も費用に影響します。費用を抑えたいと考えるのは自然なことですが、費用だけでなく、提供される治療の内容やサポート体制を含めて比較・検討することが大切です。

インプラント治療の費用を安くする方法はある?
インプラント治療は自費診療が基本のため費用が高額になりがちですが、条件によっては費用を軽減できる制度や方法もあります。ここでは「医療費控除」や「保険適用」の可能性についてご紹介します。負担を抑えながら納得できる治療を受けるための選択肢として、ぜひ確認しておきましょう。
医療費控除制度の利用
インプラント治療は自費診療ですが、「医療費控除」の対象になる場合があります。年間の医療費が10万円(もしくは所得の5%)を超えた場合、確定申告を行えば所得税の一部が還付される仕組みです。控除の対象となるのは、治療にかかった費用だけでなく、通院にかかった交通費(公共交通機関に限る)も含まれます。
ただし、美容目的ではなく、機能回復を目的とした治療でなければなりません。申請には領収書や明細書が必要となるため、治療を受けた際には忘れずに保管しておきましょう。この医療費控除を活用すれば、実質的な負担を軽減できる可能性があります。
保険適用を受けられる場合もある
通常、インプラント治療は保険適用外ですが、例外的に保険が適用されるケースがあります。たとえば、「先天的に歯が足りない場合」や「病気や事故で広範囲に歯を失った場合」など、厚生労働省の定める条件を満たすと、保険での治療が可能になる場合があります。
また、顎の骨の病気や変形に対する再建的なインプラント手術も、特定の条件を満たせば保険適用となる場合があります。ただし、保険適用での治療を受けるには、指定された医療機関での診療が必要となるため、事前に歯科医院へ相談することをおすすめします。
納得できる治療を選択する
インプラント治療は、手術など外科的な処置を伴い、また自由診療にあたるため、保険診療と比較すると費用も高額になる傾向があります。費用だけで安易に決定するのではなく、最初の相談時に治療方針や実績について十分に説明を受け、納得のいくまで話し合ってから進むことが大切です。
また、治療費が高額になることも考慮し、分割払いなどの支払い方法が可能かどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ
インプラント治療は、確かに費用が高額となるため、ためらわれる方もいるかもしれません。しかし、失われた歯の機能を取り戻し、快適な生活を送るための有効な選択肢の一つであることは間違いありません。
治療後の良好な状態を長く維持するためにも、費用だけでなく、信頼できる歯科医師と十分に相談し、納得のいく治療を選択することが重要といえるでしょう。
筆者:seeker編集部


























