コラム>虫歯
投稿日:2025/08/07
更新日:2025/12/22
虫歯を放置するとどうなる?手遅れになる前に知っておくべき症状と対処法
「虫歯は痛くなってから治療すればいい」と思っていませんか?
実は、虫歯を放置することで、全身に悪影響が及ぶ可能性があります。痛みや口臭、歯の崩壊だけでなく、肺炎や心筋梗塞など深刻な病気につながりかねません。
この記事では、虫歯を放置することで起こりうる症状やリスク、対処法についてわかりやすく解説します。
虫歯を放置した場合に起こりうる症状
痛みや口臭、歯の崩壊だけでなく、肺炎や心筋梗塞など深刻な病気につながることもあるのが虫歯です。ここでは、虫歯を放置することで引き起こされる身近な症状について、1つずつ解説していきます。
痛みの発生
初めは冷たい物や温かい物でしみるような軽い痛みが出たことによって、「もしかして虫歯かな?」と気づく場合があります。大したことはないと思って放置していると、虫歯が進行して歯の神経に近づき、ズキズキとした持続的な痛みに変わっていきます。
さらに放置を続けて神経まで虫歯が到達すると、激しい痛みが起こり、食事や会話、睡眠にも大きな支障が出てきます。市販の鎮痛剤でしのいだとしてもあくまで一時的な対応のため、強い痛みになる前に、なるべく早く歯科を受診することが大切です。
口臭の悪化
口臭は、自分では気づきにくくても周囲に不快感を与えてしまうこともある、やっかいなトラブルです。虫歯を放置すると、虫歯の穴に食べかすが詰まり、細菌が繁殖して腐敗臭のような口臭が発生することがあります。虫歯が進行するにつれて細菌の量も増え、どんどん不快なにおいが強くなってきます。
さらに重度になると歯茎に膿がたまり、それが破裂することがあります。その際、強烈な悪臭を放つことがあるため、膿がたまってしまう前に早めの治療が必要です。
歯が崩れる
虫歯を放置すると、虫歯菌によって歯の内部が徐々に溶かされ、歯の構造がもろくなっていきます。見た目には小さな虫歯でも、内側で広がっているケースは多く、ある日突然、歯が欠けたり折れたりすることも少なくありません。
歯が欠けることで噛む力が弱くなり、食事がしにくくなるのはもちろん、顔の造形や発音にも悪影響を及ぼします。また、神経に近い部分が崩れると、ズキズキとした強い痛みを感じることがあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、違和感がある段階で早めに歯科を受診しましょう。
歯茎の腫れや膿
虫歯を放置すると、歯の奥深くまで細菌が入り込み、歯茎が腫れてズキズキと痛むことがあります。さらに放置すると、歯茎に膿がたまり、小さな穴が開いて、痛みがないまま漏れ出す状態を繰り返すようになります。ここまで進行すると、歯の神経はすでに壊死している場合が多く、自然に元に戻すことはできません。
それでも治療を受けずにいると、炎症が顎の骨にまで広がり、顔の腫れや発熱を伴うこともあります。ここまで悪化すると治療が長引いてしまいます。歯茎が腫れていると感じたら、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。

虫歯放置による全身への影響
虫歯は口の中だけの問題と思われがちですが、たかが虫歯とあなどってはいけません。実は放置することで命にかかわるような重大な病気につながることもあります。
ここでは、虫歯を放置すると身体にどのような影響があるのか、代表的な病気をご紹介します。
副鼻腔炎
虫歯を放置すると、口の中の細菌が鼻の奥にある副鼻腔という部分にまで広がり、副鼻腔炎を引き起こすことがあります。副鼻腔炎になると、頬やおでこに鈍い痛みを感じたり、膿のような鼻水によって鼻づまりが起こったりします。
副鼻腔炎になると、頭が重く感じたり、集中力が低下したりなど、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。虫歯と鼻の病気は一見無関係に思えますが、口と鼻はつながっているため、虫歯の細菌が引き金になる場合があることを心に留めておきましょう。
骨髄炎
虫歯の細菌を放置し、過度に悪化すると、骨の内部にある骨髄にまで細菌が侵入し「骨髄炎」という炎症を起こすことがあります。顎が痛んだり歯がぐらついたりするほか、発熱や嘔吐といった全身症状が出ることがあり、日常生活に支障をきたします。
さらに放置を続けると、骨髄炎が進行した結果、顎の骨が壊死し、入院して抗生物質を投与する治療が必要となるため、虫歯の段階で早めに対処しましょう。場合によっては骨の一部を切除する手術が必要になることもある怖い病気です。
肺炎
虫歯を放置すると「誤嚥性肺炎」の発症につながるおそれがあります。
虫歯菌のついた食べ物や唾液が気管を通じて肺に入り込み、感染を引き起こし、肺炎を招くことがあります。誤嚥性肺炎は死亡リスクも高いため、特に飲み込む力が弱っている高齢者や免疫力が低下している方は注意が必要です。
虫歯や歯周病があると、口の中の細菌数が増え、肺炎のリスクが高まります。特に飲み込む力が弱くなっている方は要注意です。肺炎は命にかかわることもあるため、日ごろから口の中を清潔に保つことが大切です。
脳梗塞
虫歯を放置すると、口の中の細菌が口内の小さな傷から血管に入り込み、血流に乗って全身にまわることが判明しています。すると、細菌によって脳の血管を傷つけられ炎症を引き起こし、血管が詰まり「脳梗塞」につながるおそれがあります。
脳梗塞は、脳の血管が血栓で詰まり、必要な血流が止まることで脳の一部が壊死してしまう病気です。さらに、歯の欠けや詰め物がある人は脳卒中のリスクが高くなるという研究結果も報告されています。
脳梗塞は、半身まひや言語障害といった重い後遺症を残すだけでなく、命に関わることもあります。口の中の健康を保つことが、脳を守ることにもつながるという意識を持っておきましょう。
心筋梗塞
虫歯を放置することで、「心筋梗塞」のリスクが高まることがあります。心筋梗塞とは、心臓に酸素や栄養を届ける血管(冠動脈)が詰まり、血液が届かなくなることで心臓の筋肉が壊死してしまう恐ろしい病気です。
一見無関係に思える虫歯と心筋梗塞ですが、虫歯菌が血流に入り込むと、血管を通じて心臓に到達し、炎症を引き起こして血管を傷つけることがあります。これが心筋梗塞の原因となることがあるのです。
命にかかわる重い病気を防ぐためにも、虫歯を放置せず、早めに歯科医院で治療を受けることが大切です。
糖尿病
意外かもしれませんが、実は糖尿病と虫歯はお互いに悪影響を及ぼし合う関係にあります。まず、糖尿病になると、細菌への抵抗力が落ち、虫歯菌が繁殖しやすくなります。
さらに、唾液の分泌が減って口の中が乾燥し、細菌を洗い流す力も弱まるため、虫歯や歯周病が悪化しやすくなるのです。
一方、歯周病が原因で歯茎に炎症が起こると、血糖値をコントロールするインスリンの働きが妨げられ、糖尿病が悪化する可能性があります。
糖尿病と虫歯、歯周病はお互いに悪影響を及ぼし合う関係にあるため、日ごろからの口腔ケアがとても大切です。

歯医者へ行けない場合の対処法
歯の痛みや違和感があっても、すぐに歯医者へ行けないこともあるかもしれません。そんなときのために、自分でできるセルフケアの方法を知っておくと安心です。ここでは、痛みの有無に応じた対処法をご紹介します。
痛みがある場合
虫歯による痛みがある場合は、患部を冷やしたり市販の痛み止めを使ったりすることで、症状を一時的にやわらげることができます。
ハンカチやタオルで包んだ保冷剤を15〜20分程度あてると、熱を持った患部の痛みを和らげる効果があります。
市販の鎮痛剤も一時的な緩和には有効です。ただし、虫歯の根本的な治療にはなりません。薬で痛みが引いても、必ず歯科医院での診察を受けましょう。
さらに、痛みがある場合も、うがい薬の使用や、やわらかい歯ブラシでの丁寧なブラッシングで、口の中を清潔に保つことも大切です。
痛みがない場合
痛みがない場合でも、虫歯が自然に治ることはありません。進行をできるだけ遅らせるために、毎日のケアを丁寧に行いましょう。
まず、毎食後にしっかり歯を磨くことが基本です。歯と歯の間や裏側など、磨き残しの多い箇所にも注意し、歯間ブラシやフロスも併用すると効果が上がります。
また、間食の回数を減らし、口の中が酸性に傾く時間を短くすることも虫歯の進行予防につながります。どうしても間食をしたいときは、キシリトール配合のガムを噛むのがおすすめです。唾液の分泌が促され、細菌を洗い流す効果が期待できます。

虫歯を放置して歯が残せない場合の治療法
虫歯が進行してしまうと歯を失ってしまう場合があります。歯を失った場合、主な治療法は「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」の3種類です。ここでは、メリットやデメリットも含めたそれぞれの特徴をご紹介します。
ブリッジ
「ブリッジ」は、失った歯の両隣の歯を削って支えとし、橋をかけるように人工の歯を装着する治療法です。保険適用では銀色の金属素材、自費診療なら自然な見た目のセラミック素材が使われます。
比較的短期間で治療が終わる点や、しっかりと固定され、装着後の違和感が少ない点がメリットです。
ただし、施術にあたっては健康な歯を削る必要があり、支えとなる両隣の歯への負担が大きくなることがデメリットです。また、その支えとなる歯に虫歯や歯周病があるとブリッジは適用できないこともあるため、すべての人に行える治療ではありません。
さらに、ブリッジの下は専用のフロスなどを使って丁寧なセルフケアが必要となります。
▶ブリッジ治療についてもっと詳しく知りたい方は、
ブリッジ治療のメリットとデメリット、平均寿命と再治療の目安
をご覧ください。
入れ歯
入れ歯には、数本の歯を失った場合の「部分入れ歯」と、すべての歯を失った場合の「総入れ歯」があります。
素材は保険適用のプラスチック製のほか、自費診療では金属製や薄型、柔らかい素材など装着感に配慮したタイプも選択可能です。取り外して手入れができることや、外科手術が不要な点が大きなメリットです。治療期間も比較的短く、高齢の方でも対応しやすい方法です。
一方、装着時に違和感がある、噛む力が弱くなる、話しづらさを感じる人もいるといったデメリットもあります。また、使い続けるうちに合わなくなり、調整が必要になる可能性も高く、定期的な歯科検診は欠かせません。
▶部分入れ歯と総入れ歯の違いについて詳しく知りたい方は、
入れ歯治療の全過程を徹底解説:部分入れ歯と総入れ歯の違いと製作の流れ
をご覧ください。
インプラント
インプラントは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。自分の歯のような自然な見た目や噛み心地が得られ、隣接する歯を削る必要がないことが大きな利点です。
顎の骨にしっかり固定されるため、噛む力も強く、発音や食事への影響もほとんどないとされています。つまり、歯を失う前と変わらない感覚で生活しやすいというメリットがあります。
ただし、外科手術が必要で治療期間が長くなりがちなことや、保険が適用されず費用が高額になってしまうというデメリットもあります。また、顎の骨が少ない場合には、骨の移植など追加の処置が必要になるケースもあるため、治療にかかる時間や負担も含めて、十分な理解と準備が必要です。
▶インプラント治療についてもっと詳しく知りたい方は、
インプラント治療とは?治療方法と検討時の重要ポイントを解説
をご覧ください。
まとめ
虫歯を放置するとどんなことが起こるのか、症状の悪化や全身への影響、対処法や治療法についてご紹介してきました。
痛みや口臭にとどまらず、一見関係ないように思える脳梗塞や心筋梗塞などの大きな病気につながる可能性があることも、この記事を通じてご理解いただけたのではないでしょうか。
虫歯は放っておいても自然に治ることはなく、セルフケアだけでは限界があります。違和感を覚えたら早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
筆者:seeker編集部
監修者・コメント
歯科医師
都内歯科医院勤務
三宅 友紀 先生
「まだそんなに痛くないから」と、つい歯医者さんを後回しにしてしまう気持ちはよくわかります。しかし、虫歯は放置してしまうと、お口の中だけでなく全身の健康にまで影響を及ぼすことがあります。細菌が血管を通って全身に広がり、病気につながるリスクは決して否定できません。神経が死んである日突然痛みが消えた状態は「治った」のではなく、細菌が骨や血液へ侵入し始めた非常に危険なサインです。失った歯の機能を補うインプラントや入れ歯などの優れた治療法はありますが、自分の歯に勝るものはありません。
一生おいしく食事を楽しみ、重大な病気を防ぐためにも、痛みが出る前の定期検診と、違和感を覚えた際の早めの受診でお口から健康になりましょう。


























