赤ちゃんのためにも大事な妊婦さんのためのデンタルケア
コラム>予防・メインテナンス
2021/03/23

女性は妊娠によってホルモンバランスが崩れ様々なトラブルに悩まされますが、お口の中も例外ではありません。
そのために重要なのが、デンタルケアです。
お口の中を健康に保つために、妊娠中はどのようなことに気をつけ、どのようなケアをすればいいのでしょうか。
まずは、妊婦さんの身体の変化とそれに伴うお口のトラブルについてまとめてみましょう。
1.歯周病菌の増加
妊娠すると女性ホルモンが急激に増加し、お口の中は歯周病菌が増殖しやすい環境になります。これにより、歯肉に炎症がおきやすくなるのです。
2.唾液量の減少
妊娠中はホルモンバランスの影響で、唾液の量が減少します。
唾液の分泌量が減ると、お口の中の自浄性も低下し、歯肉の炎症や出血が起こりやすくなります。さらには、唾液の緩衝能が低下し酸によるダメージが修復しにくい環境になります。
3.つわりによる吐き気
つわりにより歯みがきができずにいると、お口の中の環境は悪化し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
また、つわりによる嘔吐で胃酸が逆流するとお口の中が酸性に傾き、歯のエナメル質が溶けやすくなります。
4.食事や間食回数の増加
お腹が大きくなると胃が圧迫され、一回の食事で食べられる量が減ってしまいます。
一度に食べる量が減り、その分食事の回数が増えると、お口の中の細菌が増加します。
妊娠中にお口の中の環境が悪化し、虫歯や歯周病が悪化してしまうと出産や子育てにどのような影響を及ぼすのでしょう。
出産前のデンタルケアを勧めるのには理由があります。

実は、お口の病気や虫歯は感染症のひとつです。
例えば、虫歯の原因となる菌である「ミュータンス菌」は、生後まもない赤ちゃんのお口の中には存在しません。
親子のスキンシップや食事の補助により、ミュータンス菌は赤ちゃんのお口の中に感染し、虫歯の原因となっているのです。
赤ちゃんに菌を移さないためにも、出産前にミュータンス菌を減らすべく、デンタルケアが必要とされます。
また、歯周病が悪化すると、歯周病菌から出る炎症性物質が血管を通じ、胎盤に影響を及ぼします。
これは子宮収縮の原因にもなり、早産を引き起こす危険があるのです。
そうは言っても、つわりに苦しむ時期は歯ブラシをくわえることや歯みがき粉の味や香料などに吐き気を覚え、歯みがきをすることすら困難になります。
歯のケアは大切といえど、無理は禁物。
まずはできるだけ気分のよい時を見計らって、歯みがきをするといいでしょう。
ヘッドの小さな歯ブラシを選ぶと、口の中の違和感が少なくなります。
どうしても歯みがきが辛い時は、食べた後すぐにうがいをして食べかすを取り除くようにしましょう。

妊娠中であっても歯科治療を受けることができます。
妊娠後期に入りお腹が大きくなると、あお向けの治療が苦しくなるため、比較的体調が安定する妊娠中期の受診をおすすめします。
治療を受ける時は楽な姿勢をとり、気分が悪くなったら無理せず伝えるようにしましょう。
お口の内のエックス線撮影がお腹の赤ちゃんに悪影響と考え、歯科治療を控えてしまう人もいます。
しかし、エックス線撮影で発生する放射線量は極めて少なく、照射部位が子宮から離れていることもあり、ほとんど影響がないと言われています。
もし歯科医院に防護用エプロンがあれば、着用するとさらに安心です。
麻酔も同様で、歯科治療で使用する麻酔は局所麻酔のため、使用量はわずかです。
局所で分解されるため、お腹の赤ちゃんに影響はありません。
とはいえ、妊娠中の医療行為には不安はつきもの。
受診の際に妊娠中であることを伝え、心配事は相談するといいでしょう。
妊娠中のデンタルケアのカギは、自宅でできるセルフケアです。
健康なお口を維持するためのポイントをまとめました。
1.うがい
こまめなうがいはお口の中の環境を整えます。
歯みがきができない時は、水やマウスウォッシュで口をゆすぎましょう。
2.適切なデンタルケアグッズ
歯ブラシをすると気分が悪くなる時はデンタルフロスや歯間ブラシを活用しましょう。
虫歯や歯周病になりやすい歯と歯の間を、ケアすることができます。
3.ガム
キシリトールが含まれているガムは、歯周病や虫歯の予防につながります。
またガムを噛むことで唾液の分泌を促し、お口の中の菌を洗い流してくれます。

4.妊婦歯科検診
お口の中の不調を自覚していなくても、体調が安定するタイミングでの歯科検診をおすすめします。検診を受けることで、虫歯の有無や歯肉の状態をチェックすることができます。
セルフメインテナンスのためにも、正しい歯みがきができるよう指導を受けるといいでしょう。
妊娠中のデンタルケアは、産後のお口のトラブルを最小限に抑えます。
自分のためだけでなく赤ちゃんのためにも、妊娠中からデンタルケアを心掛け、お口の環境を整えておきましょう。
(seeker編集部)
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