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2023/04/26
妊婦歯科健康診査とは?目的や妊娠中の歯科トラブルについて解説

妊婦歯科健康診査を受けることは、自身の歯だけでなく、産まれてくる赤ちゃんを守ることに繋がります。今回は、妊婦歯科健康診査の内容や受ける時期、費用についてお伝えするとともに、妊婦歯科健康診査の目的や妊娠中に起こりやすい歯科トラブルについて解説します。
妊婦歯科健康診査とは?
妊婦歯科健康診査とは、妊婦さんが歯科医院で健診を受けること。受診は任意ですが、自治体によっては集団で妊婦歯科健康診査を行っているところもあります。まずは、妊婦歯科健康診査の内容や時期、費用について見ていきましょう。
健診の内容
妊婦歯科健康診査の内容は、主に虫歯や歯石、歯肉炎などのチェックです。口腔内の状態によってはレントゲンを撮って詳しく診察することもあります。妊娠中にレントゲンを撮るというと、妊婦さんの中には胎児への影響が気になる人がいるかもしれません。 歯科医院でのレントゲン撮影は、顔周りのみの撮影となります。さらに、顔周り以外にエックス線が当たらないように専用のエプロンをつけるため、胎児への影響はほとんどないといわれています。

健診の時期
妊婦歯科健康診査は、つわりが落ち着いた頃から妊娠中期までに受けることが推奨されています。 つわりの時期は体調が優れないことが多く、口の中を触られるだけで気持ち悪くなるかもしれません。妊娠後期はお腹がどんどん大きくなる時期なので、仰向けになって診察を受けると苦しくなることもあるでしょう。 そのため、つわりが終わった後から妊娠中期までに歯科受診をするのがよいとされています。
健診の費用
妊婦歯科健康診査の費用は、健診の内容によってさまざまです。虫歯や歯肉炎があれば治療のための費用が、歯石や歯垢があればクリーニングの費用がかかります。歯科医院によっても異なるため、事前に電話やメールで問い合わせておくと安心です。 自治体が行っている妊婦歯科健康診査は、無料や一部負担で受けられることがあります。自治体にも確認するとよいでしょう。
妊娠歯科健康診査の目的
妊婦歯科健康診査が行われるのには、さまざまな理由があります。ここでは、妊婦歯科健康診査の目的について詳しく見ていきましょう。
早産のリスクを軽減
歯肉炎や歯周病などにかかると、口腔内に炎症が起こります。炎症の原因となる物質は子宮を収縮させる働きを持っているといわれており、早産や低体重児の出産に繋がる可能性があります。 また、妊娠中は女性ホルモンが多く分泌されるため、歯周病や炎症が起こりやすい状態です。早産や低体重児のリスクを軽減するためにも、妊娠歯科健診を受けておきましょう。
▶赤ちゃんと妊婦さんのお口のケアについては次の記事も参考にしてください。 赤ちゃんとプレママさんのためのお口ケア
赤ちゃんへの影響を防ぐ
お腹にいる間、赤ちゃんは無菌状態で、赤ちゃんの口の中に虫歯菌は存在しません。虫歯菌には、産まれてきてから大人のだ液を介して感染します。そのため、まずは妊婦さんや家族が口腔内の環境を整えておくことが大切です。 また、赤ちゃんのお世話をする人に虫歯菌が多いほど、赤ちゃんへの感染率が高まるというデータもあるようです。産まれてくる赤ちゃんが虫歯にならないためにも、出産前に妊婦歯科健康診査を受けておきましょう。

快適な妊婦生活のため
妊娠中はさまざまなトラブルが起こるもの。つわりや便秘、腰痛など、妊娠前にはなかった症状が出ることも少なくありません。ホルモンバランスが通常とは異なるため、心にも負担がかかりやすい時期です。 その中で、歯の痛みや歯科治療を行うことにストレスを感じてしまうと、せっかくの妊婦生活がつらいものになってしまうでしょう。また、産後は自身の体を回復させながら、昼夜問わず赤ちゃんのお世話をすることになり、歯科医院を受診する時間がとれないこともあります。 妊娠・出産後の生活を少しでも快適に過ごせるように、妊婦歯科健康診査で口腔環境を整えておくことは大切です。
妊娠中に起こりやすいお口のトラブル
妊娠中は、つわりで歯が磨けない、嘔吐を繰り返すといったことで、口腔内の環境が悪化しやすい時期です。口の中の状態が悪いと、歯肉炎や歯のぐらつき、虫歯による神経痛といったお口のトラブルが起こることがあります。 特に、妊娠中はホルモンバランスの変化によって、歯肉炎が起こりやすくなるといわれます。正しい歯磨きを行い、予防することが大切です。加えて、歯科医院で歯垢や歯石をしっかりと取り除いてもらうことも、お口のトラブルを防ぐのに役立つでしょう。 また、妊娠中は出産に向けて骨盤が緩みます。口周りのじん帯も緩み始めるので、妊婦さんの中には、歯のぐらつきを感じる人もいるようです。妊娠中はさまざまなお口のトラブルが起こりやすい時期です。予防や早期発見のためにも妊婦歯科健康診査を受けましょう。
▶歯茎の腫れについては、次の記事をご覧ください 歯茎が腫れている?放置してはいけない歯茎の変化

妊婦歯科健康診査は早めに受けよう
妊娠中に歯科健診を受けておくと、妊娠中や産後に起こり得るお口のトラブルを予防できる可能性が高まります。自身の歯だけでなく、産まれてくる赤ちゃんの歯も守ることに繋がるため、妊娠初期と後期を避けた時期に妊婦歯科健康診査を受けるようにしましょう。
筆者:seeker編集部