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コラム>予防・メインテナンス

投稿日:2025/07/03

更新日:2025/07/03

歯周病は歯磨きで治せる?予防につながる歯磨きの方法を解説

歯ぐきの腫れや出血などのトラブルは、もしかすると歯周病が原因かもしれません。歯周病の初期段階は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行してしまうこともあります。
この記事では、歯周病の基本的な知識と、予防や進行を防ぐための正しい歯磨きの方法について解説します。


▶妊娠と歯周病の関係について詳しく知りたい方は、
妊婦さんが知っておくべき歯周病と妊娠の関係とリスクを解説 をご覧ください。


歯周病とは?

歯周病とは、歯と歯ぐきの間にたまった歯垢(プラーク)に含まれる細菌が原因で、歯ぐきやその周辺の組織が炎症を起こす病気です。進行すると歯を支える骨が溶けてしまい、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともあります。

初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行するケースも少なくありません。反面、早期に正しいケアを行えば、予防や進行の抑制も可能です。

歯周病という言葉は広く知られていますが、「歯肉炎」や「歯槽膿漏」といった用語と混同されやすい側面もあります。どのように違うのでしょうか?



歯周病菌による体への悪影響

歯周病は口の中だけの病気ではなく、全身の健康にも深く関わっていることが分かっています。血流にのった歯周病菌が、さまざまな疾患のリスクを高めるといわれています。どのような影響があるか、詳しくみていきましょう。


心筋梗塞・狭心症

歯周病菌が血流にのって全身に巡ると、血管の内側に炎症を引き起こし、動脈硬化の促進に影響を及ぼします。動脈硬化が進行すると、血管が狭くなったり詰まったりしやすくなりするため、狭心症や心筋梗塞といった深刻な循環器疾患のリスクが高まります。

歯のトラブルが心臓に影響を及ぼすのは意外に感じるかもしれませんが、歯周病が引き金となって、心疾患につながる可能性があることを認識しておきましょう。


糖尿病

歯周病と糖尿病には、密接な関係があります。歯周病菌が出す毒素は、血糖値を下げる働きをもつインスリンの機能を低下させることがわかっており、歯周病の進行が糖尿病の悪化につながるケースは少なくありません。

また、糖尿病があると免疫力が下がり、歯周病が進行しやすくなる傾向もあります。このように、歯周病と糖尿病は互いに影響し合うため、両方を意識したケアが必要です。


認知症

最近の研究で、歯周病菌が脳に影響を与えることがあるとわかってきました。歯周病菌やその毒素が血液にのって脳に届くと、炎症を起こしたり、神経細胞を傷つけたりします。これらの機構がアルツハイマー型認知症の発症や進行に関わっている可能性があるといわれ、現在研究が進んでいる最中です。

こうした背景から、口腔内の環境は脳の健康とも無関係ではないとされています。


脳梗塞

歯周病菌が血管内に入り込むと、血管の内側に炎症を引き起こすことがあります。炎症が原因で血管が狭くなって、血流が滞り、結果として血栓ができやすくなります。これが脳の血管が詰まる脳梗塞を引き起こす引き金となるのです。

このように、歯周病は口の中だけの問題ではなく、全身の重大な疾患にも関係していることが明らかになってきました。歯周病を予防・改善することが、脳梗塞などのリスクを減らすことにもつながります。


早産・低出生体重児

妊娠中に歯周病を放置していると、早産や低出生体重児のリスクが高まるといわれています。歯周病による炎症物質が血流を介して胎盤に届くと、子宮の収縮を促してしまうためです。

妊娠中はホルモンの影響で歯ぐきが腫れやすく、歯周病にもかかりやすい時期でもあります。ママのお口の健康はお腹の赤ちゃんの健康にもつながるため、妊娠中もできるだけ丁寧な歯磨きや歯科でのケアを心がけましょう。




歯周病は歯磨きだけで治せる?

歯周病は、初期の段階であれば正しい歯磨きによって症状を抑えられる可能性があります。とくに歯ぐきだけに炎症がある「歯肉炎」の段階では、毎日の丁寧なセルフケアによって症状の改善が期待できます。

しかし、歯を支える骨にまで炎症が進んだ「歯周炎」になると、歯磨きだけでの改善は期待できません。歯周ポケットの奥にたまった汚れは歯科医院での処置が必要となるため、症状が気になる場合は放置せず、早めに受診しましょう。



歯磨きが歯周病の予防策と言われる理由

歯周病の主な原因は、歯と歯ぐきの境目に付着する歯垢(プラーク)に含まれる細菌です。この細菌が毒素を出し、歯ぐきに炎症を起こすことで歯周病が進行します。毎日の歯磨きで歯垢をしっかり取り除くことが、予防の基本といわれるのはそのためです。



歯周病予防のための歯の磨き方

歯周病を予防するには、毎日の歯磨きが欠かせません。ただ磨けば良いわけではなく、歯ぐきの状態に合わせた正しい方法を身につけることが大切です。歯ブラシの持ち方や当て方、動かし方を意識しながら丁寧に磨くと、歯周病のリスクを抑えることができるでしょう。正しい歯磨きとはどのよう磨き方なのでしょうか?


スクラビング法

スクラビング法は、歯の表面を効果的に磨く方法です。歯の外側を磨くときは、歯ブラシの毛先を直角に当て、小刻みに動かして汚れを落とします。強くこすらず、軽い力で磨くのがポイントです。内側を磨くときは、直角では届きにくいため、毛先をやや斜めの45度程度に当てるのがコツです。
歯ぐきが健康な方に向いており、日常的なケアに取り入れやすい方法です。


バス法

歯周病や歯肉炎の症状がある方におすすめの磨き方が、バス法です。毛先を45度に傾けて、歯と歯ぐきの境目にそっと当てて、1本1本丁寧に磨くことがポイントです。歯周ポケットに沿ってやさしく動かすと、細菌の温床となる汚れを除去しやすくなります。刺激を抑えつつしっかりケアしたい方に向いている方法です。



磨き残しに注意

歯周病を予防するためには、歯の隅々まで丁寧に磨くことが大切です。特に、歯と歯ぐきの境目や歯の間は汚れがたまりやすく、磨き残しが起きやすい箇所といわれています。

磨き忘れを防ぐには、あらかじめ磨く順番を決めておき、1本ずつ丁寧に磨く習慣をつけるのがおすすめです。日々のちょっとした意識で、歯周病のリスクをぐっと減らすことができます。



歯周ポケットを意識して

歯と歯ぐきの間には「歯周ポケット」と呼ばれるすき間があり、ここには歯垢がたまりやすいとされています。また、歯周ポケットが深くなっている場合は、歯周病が進行している可能性があります。

予防のためには、歯ブラシの毛先を2mmほど歯周ポケットに入れるよう意識して磨くと効果的です。ただし、力を入れすぎると歯ぐきを傷つけるおそれがあるため、やわらかめの歯ブラシで優しく磨きましょう。



磨き残しを注意したい箇所

歯周病を予防するには、毎日の歯磨きで汚れを残さず落とすことが大切です。しかし、意識していても磨き残しが起きやすい場所があります。とくに歯と歯ぐきの境目や、歯と歯の間などは注意が必要です。
ここからは、磨き残しに気をつけたい具体的な箇所について詳しくご紹介します。


歯と歯の間

歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが残りやすい場所です。歯周病の原因となる歯垢がたまりやすいため、意識して丁寧に磨くことが大切です。必要に応じて、デンタルフロスや歯間ブラシの使用を使用して、しっかり磨きましょう。


奥歯の溝

奥歯のかみ合わせ面には細かい溝が多く、食べかすや歯垢が特にたまりやすくなっています。鏡などを使って確認しながら、奥までしっかりブラシを当てましょう。奥まっていてブラシの届きにくい場所ほど、丁寧なケアが重要です。


歯と歯茎の境目

歯と歯ぐきの境目も、歯垢がたまりやすいポイントです。ここを放置すると歯周ポケットが深くなり、歯周病が進行する原因になります。毛先を境目に沿わせ、力を入れすぎないように優しく磨くよう心がけましょう。


親知らず周辺

親知らずは奥まった位置にあるため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが起こりがちです。汚れがたまると歯ぐきが腫れるなどのトラブルにつながるため、見えにくい箇所ほど意識して磨くことが大切です。




歯周病予防に適した歯ブラシを選ぼう

歯周病予防には、歯ブラシ選びも重要なポイントです。硬さや形状によって磨き心地や届きやすさが変わるため、自分の口腔状態に合ったものを選ぶことが大切です。どんな歯ブラシが歯周病予防に適しているのでしょうか?


電動ブラシと手動ブラシの違い

電動ブラシは、手の動かし方や力加減に不安がある方に適しており、自動で効率的に磨ける点が特長です。一方、手動ブラシでも、正しい磨き方を身につければ歯周病予防に十分な効果が期待できます。大切なのは、どちらを選ぶかではなく、正しい使い方を意識することです。


歯ブラシのサイズと硬さの基準

歯周病予防には、やわらかめ〜ふつう程度の硬さの歯ブラシが適しています。毛先が細く、ヘッドが小さめのタイプを選ぶと、歯周ポケットや奥歯のすき間にも届きやすく、歯磨きの効果が出やすくなります。特に気になる症状がある場合には、やわらかめの歯ブラシをおすすめします。


▶自分に合った歯ブラシの選び方について詳しく知りたい方は、
自分にぴったりの歯ブラシを選ぼう!基本知識と活用法を解説 をご覧ください。



歯を磨く順番も意識しよう

歯周病予防には、丁寧な歯磨きが欠かせませんが、磨く順番を決めておくことも磨き残しを防ぐうえで効果的です。磨くたびに順番が変わると、無意識に同じ場所を飛ばしてしまうことがあります。たとえば「右上の奥歯から始めて、左下で終わる」などと決めておくと、すべての歯を均等に磨けるようになります。

特に、奥歯や歯と歯ぐきの境目などは意識して磨く必要があるため、順番を決めることで自然と磨き残しが減り、歯周病の予防につながります。



歯周病予防のための歯磨きの注意点

歯周病を防ぐためには、ただ磨けばいいというものではありません。正しい方法で、丁寧に歯をケアすることが重要です。ここでは、歯磨きをするうえで気をつけたいポイントをご紹介します。


「時間」よりも「質」が大事

歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが残りやすい場所です。歯周病の原因となる歯垢がたまりやすいため、意識して丁寧に磨くことが大切です。必要に応じて、デンタルフロスや歯間ブラシの使用を使用して、しっかり磨きましょう。


力を入れすぎない

歯磨きは力加減もポイントです。強い力でゴシゴシ磨くと、歯垢が落ちる以前に歯ぐきを傷つけたり、歯が削れたりする原因になり、歯周病に限らずさまざまな口内トラブルにつながりかねません。歯ブラシは軽く持ち、毛先が歯と歯ぐきに優しく当たる程度の力で、小刻みに動かして磨くのがコツです。


歯ブラシを定期的に交換する

歯ブラシは使い続けるうちに毛先が広がり、歯垢をしっかり落とすことができなくなります。また、毛先が開くと歯ぐきを傷つける原因にもなるため、1カ月を目安に新しいものに交換するようにしましょう。



歯周病予防に効果的なアイテム

歯周病を予防・改善するには、歯ブラシによるケアだけでなく、補助的なアイテムも上手に活用することが効果的です。どんなアイテムが効果的なのか、ご紹介します。


歯周病専用の歯磨き粉も活用

歯周病の症状がない健康な歯であれば、どんな歯磨き粉を使ったとしても、汚れを落とす性能に大きな差はないとされています。なぜなら歯磨き粉はあくまで補助的なものであり、正しい磨き方が第一だからです。

しかし、歯周病や歯ぐきからの出血などのトラブルがある場合には、専用の歯磨き粉を取り入れると、より効果的なケアが期待できます。


デンタルフロスなどの使用を

歯磨きの際には道具選びが重要です。例えば歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に落とすことは困難ですが、デンタルフロスを使えば、歯ぐきの近くにたまった歯垢も効果的に除去できます。

歯と歯のすき間が広い部分には歯間ブラシを、狭い部分にはフロスを使えば、精度が高まり、歯周病予防につながります。


マウスウォッシュもおすすめ

マウスウォッシュは、歯磨きだけでは届きにくい口腔内の細菌にアプローチできるアイテムです。歯周病菌は歯の表面だけでなく、粘膜部分にも潜んでいるといわれています。そのため、歯ブラシやフロスなどのアイテムだけでは除去が難しい場合もあります。
歯磨きの仕上げとしてマウスウォッシュを取り入れると、口全体の清潔を保ちやすくなるでしょう。




歯周病予防のための生活習慣

歯周病の予防には、正しい歯磨きに加えて、毎日の生活習慣を見直すことも重要です。どんな生活習慣が歯周病の原因になりやすいのでしょうか?


ダラダラ食い

間食を頻繁にしたり、長時間にわたって食べ続けたりする「ダラダラ食い」は、口の中に糖分が残りやすく、歯垢や歯周病菌が増える原因になります。
他にも、食後すぐに歯磨きができない時なども、ダラダラ食いと同じく口内の歯周病菌が増えかねません。この場合は、水で口をゆすぐなど、口腔内を清潔に保つ工夫を取り入れましょう。


喫煙

喫煙は歯ぐきの血流を悪くすることから、歯周病の進行を早める要因となります。日本臨床歯周病学会によれば、1日10本以上の喫煙で発症リスクが5.4倍に、10年以上の喫煙習慣では4.3倍になるだけでなく、症状重症化のリスクがあるとされています。

禁煙すると歯周病治療の効果が上がりやすくなるので、歯周病予防や改善の一環として、禁煙を検討してみましょう。



正しい歯磨きと健康的な生活習慣で歯周病予防を

歯周病が進行すると、歯を失うだけでなく、心筋梗塞や糖尿病などの全身疾患にも影響を及ぼすことがわかっています。予防のためには、毎日の正しい歯磨きと生活習慣の見直しが欠かせません。歯周病の初期段階は自覚症状が少ないため、早めの対策が大切です。お口と体の健康を守るため、今日から意識して予防に取り組んでいきましょう!



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筆者:seeker編集部

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