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2023/11/14

乳幼児期に親と食器を共有すると虫歯になる?日本口腔衛生学会の見解をわかりやすく解説

乳幼児の虫歯を予防するために「親と子どもの食器は共有しないほうがいい」と耳にしたことがある方もいるかもしれません。

しかし、食器の共有が必ずしも子どもの虫歯に結びつくわけではないという情報が、一般社団法人日本口腔衛生学会から発表されました。

今回は、日本口腔衛生学会の見解をもとに、親子間での食器共有と子どもの虫歯との関係性について解説します。


食器の共有が必ずしも虫歯に結びつくわけではない!

以下は、令和5年8月に日本口腔衛生学会が発表した情報の一部です。


以前から、親から子どもへのう蝕原因菌の感染を予防するために、親とスプーンやコップなどの食器の 共有を避けるようにとの情報が広がっています。しかし、食器の共有をしないことでう蝕予防できるということの科学的根拠は必ずしも強いものではありません。
引用元:一般社団法人日本口腔衛生学会「乳幼児期における親との食器共有について」


つまり、「親子間の食器の共有」が「子どもの虫歯」の直接的な原因ではなく、食器を共有しなかったからといって虫歯を予防できているとは限らないということを示しています。




食器の共有が必ずしも虫歯に結びつくわけではない根拠は?

そもそもなぜ「食器の共有が子どもの虫歯に結びつく」と言われていたのでしょうか。
それは、食器の共有によって、虫歯の原因菌を含むパパ・ママの唾液が子どもへうつってしまい、それによって子どもが虫歯になってしまうと考えられていたからです。

しかし今回の発表では、食器を共有し、虫歯の原因菌を含むパパ・ママの唾液が子どもへうつったとしても、必ずしも子どもが虫歯になるわけではないとされています。ここでは、その根拠について説明します。



食器の共有前から親子間で口腔細菌感染が起こっているから

昨今の研究では、生後4か月の時点でママから子どもへの口腔細菌感染が確認されています。食器を共有しはじめるのは離乳食がはじまる5~6か月頃以降と考えられるため、食器を共有する前から、親子間での口腔細菌感染が起こっていることが明らかです。

口腔細菌感染が生じる原因は日々のスキンシップであると考えられます。子どもはスキンシップを通してパパ・ママの唾液に触れているのです。



虫歯の原因菌はひとつではないから

パパ・ママからうつる細菌として「ミュータンスレンサ球菌」が知られています。この菌は虫歯の原因となる細菌のひとつです。そのため、パパ・ママからうつったミュータンスレンサ球菌が原因で子どもが虫歯になるという可能性はゼロではないでしょう。

しかし、虫歯の原因菌はミュータンスレンサ球菌ではありません。口腔内にはたくさんの細菌が存在しており、それらの細菌も虫歯の原因となり得るのです。




乳幼児が虫歯になる主な原因とは?

親子間での食器の共有を避けることが子どもの虫歯を防ぐことに結びつかないのであれば、パパ・ママは何に気を付ければよいのでしょうか。

ここからは、乳幼児期の子どもが虫歯になる原因とは何か、どのように対策を講じればよいのかについてお伝えします。



砂糖をとりすぎている

乳幼児期の子どもが虫歯になる原因のひとつが、砂糖のとりすぎです。砂糖が含まれるお菓子やジュースをたくさん摂取したり、頻繁に口にしたりしていると虫歯になりやすくなります。
砂糖が入ったお菓子やジュースを摂取する際は、量や頻度に十分注意しましょう。



正しく歯をみがけていない

乳幼児期の子どもが虫歯になる原因には、歯みがきが不十分であることも挙げられます。

乳児はもちろん、幼児もまだ自分で正しく歯をみがくことはできません。必ずパパ・ママが仕上げみがきをしてあげてください。歯ブラシを小刻みに横に動かすようにして、軽めの力でみがきましょう。

食事のたびに歯をみがけない場合は、うがいをさせたり水を飲ませたりして、食べかすが口腔内に残らないよう心がけましょう。

また定期的に歯科医院でフッ素を塗布してもらったり、フッ素入りの歯みがき粉を使ったりするのもオススメです。フッ素は、歯の再石灰化を促し歯の修復を助けるため、虫歯予防の効果が知られています。


▶フッ素の虫歯予防効果については、こちらの記事をご覧ください。
フッ素はむし歯予防に効果があるの?




食器の共有を過度に気にせず、家族での食事を楽しもう

パパ・ママのなかには、虫歯リスクを考え、子どもと食器を共有しないよう配慮している方もいるでしょう。しかし日本口腔衛生学会の発表で、親子間での食器共有が子どもの虫歯に直接関与するものではないことが明らかになりました。

パパ・ママは食器共有に関して過度に気にする必要はありません。食事の時間は、食器の共有に敏感になるのではなく、親子でのコミュニケーションを楽しみましょう。

乳幼児期の子どもを虫歯から守るには、食器の共有を避けるよりも、砂糖の摂取量・頻度や日々の歯みがきに気を配るほうが大切です。お子さんの歯みがきについて悩むことがあれば、歯科医院へ相談してみてくださいね。



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筆者:seeker編集部

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