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2023/12/14
歯列接触癖(THC)とは?原因や症状、対策を解説
「歯列接触癖(TCH)」をご存じでしょうか。歯列接触癖とは、歯と歯が接触する癖のことです。歯列接触癖によって、体にさまざまな不調が起こることが知られています。もし原因不明の不調に悩んでいるのであれば、その原因は歯列接触癖かもしれません。 今回は歯列接触癖の原因や症状、対策についてお伝えします。
歯列接触癖(TCH)とは?
歯列接触癖(TCH:Tooth Contacting Habit)とは、歯と歯が接触する癖のことです。 歯と歯が軽く接触した程度では、大きな問題にならないと思う人もいることでしょう。しかし通常、食事や会話などをしているとき以外は、上下の歯が接触することはありません。口を閉じた状態でも歯が接触していないのが、本来の正しい位置なのです。 ところが歯列接触癖があると、口周りの筋肉が働いた状態が継続されてしまいます。そのため、次第に筋肉疲労が起こったり、血流が悪くなったりしてしまい、口周りや全身に痛みを生じる場合があります。 歯列接触癖は全身に影響を与える癖のため、対策が必要です。
歯列接触癖(TCH)の原因
歯列接触癖は、食いしばりや歯ぎしりと同様に、ストレスなどが原因で起こるといわれています。リラックスした状態では起こりにくく、緊張したり集中したりといった状況では起こりやすくなるようです。 特に、下を向いて作業をするときに歯列接触が起こりやすいことがわかっています。パソコンやスマートフォンを操作したり、ゲームなどをしたりするときにリスクが高まるようです。 ほかにも、次のようなケースで歯列接触癖が起こりやすい傾向にあります。
▶食いしばりについては、次のコラムをご覧ください。 歯を食いしばっていませんか?食いしばりの原因や対策を解説
歯列接触癖(TCH)による症状
歯列接触癖があると、口周りに関する症状だけでなく、全身に症状が現れることがあります。詳しく見ていきましょう。
口腔内の症状
歯列接触癖があると、歯や歯茎に負担がかかってしまうため、歯の痛みや違和感などの症状が現れることがあります。 接触する力が強いと、歯が欠けたり折れたりするだけでなく、被せ物が外れたりすることもあるでしょう。歯が欠けた部分から虫歯になったり、歯周病の症状が進行したりするケースもあります。
▶歯の破折については、次のコラムをご覧ください。 歯が欠けた!少しならそのままでも大丈夫?どれくらいから治療が必要?
全身症状
前述した通り、歯列接触癖がある人は、口周りの筋肉疲労を起こしやすいといわれています。 さまざまな筋肉や神経が集まる口周りが筋肉疲労を起こすことによって、正常に機能しなくなってしまうかもしれません。そうなると、例えば頭痛や首の痛み、肩こりなどのトラブルを引き起こすことも考えられます。
▶原因不明の頭痛や首肩の痛みについては、次のコラムをご覧ください。 その頭痛や肩こり、イライラは歯のトラブルが原因かも!
顎関節症
歯列接触癖と関係のある疾患に顎関節症があります。顎関節症の主な症状は以下のとおりです。
顎関節症の患者さんの多くは、歯列接触癖があるといわれています。これらの症状に心当たりがある場合は、自分がリラックスしたときの口腔内の状況を確認してみるとよいでしょう。
▶顎関節症については、次のコラムをご覧ください。 「口が開かない」「開けるときに痛む」これって顎関節症?
歯列接触癖(TCH)の対策
歯列接触癖の対策としては、「自覚する」「意識する」の2点があげられます。詳しく見ていきましょう。
自覚する
自分の歯列接触癖に気づいていないことも少なくありません。そのため、まずは自分に歯列接触癖があるのかを自覚することが大切です。どんなときに歯列を接触させているのか、日常生活を送るなかで、その都度チェックしてみましょう。 仕事や家事、車の運転、ゲームなど、あらゆる場面で自分の状態をチェックするのがポイントです。
意識する
自分に歯列接触癖があることがわかったら、歯と歯を接触させないように意識しましょう。付箋などに「リラックス」「歯」などと記載して目に付く場所に貼り、この付箋が見えたら口周りの緊張をゆるめるようにします。 こういった意識付けを繰り返すことで、自分がどういった場面で歯列接触をするのかがわかってくるでしょう。次第に付箋を見なくても、歯と歯を接触させていることに気が付くようになり、口周りの筋肉を無意識に脱力できるようになります。
歯列接触癖(TCH)の可能性があるなら
あご回りの痛みやだるさ、歯の痛みなどがある場合には、歯列接触癖があるのかもしれません。まずは日常生活のなかで、歯と歯を接触させていないかチェックしてみましょう。癖がある場合は、なるべく口周りの筋肉を脱力できるよう意識してみてくださいね。
筆者:seeker編集部