コラム>歯茎の腫れ、出血
2023/09/05
歯茎にできるニキビの正体は?見つけたらなるべく早く受診を!
歯茎に白くぷくっと膨らんだニキビのようなものが繰り返しできることはありませんか? 痛みがほとんどなく、いつの間にか消えていることもあるため、歯科クリニックを受診せずにいる方もいるかもしれません。しかし、歯茎にできたニキビを見つけたら、なるべく早く歯科クリニックを受診するのがおすすめです。 今回は、歯茎にできるニキビの正体を解説するとともに、歯茎にニキビができる原因と治療法についてお伝えします。
歯茎にできるニキビの正体は?
歯茎にできるニキビのようなものは、「フィステル」と呼ばれるものかもしれません。フィステルとは、歯茎のなかにできた膿が外に出るために作られた通り道のこと。「サイナストラクト」「瘻孔(ろうこう)」と呼ばれることもあります。 ほとんど痛みがなく、消えたり再発したりを繰り返すのが特徴です。自然治癒することはなく、症状が進むにつれて腫れが大きくなるといわれています。
歯茎にニキビのようなものができる原因
歯茎にニキビのようなものができる原因として、虫歯や歯根破折、歯根嚢胞、歯周病があげられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
虫歯
虫歯は歯の表面から歯の根元に向かって進行します。治療をせずに放置していると、神経周辺まで症状が進み、徐々に歯の根元に膿が蓄積します。行き場を失った大量の膿は、外への逃げ道としてフィステルを作るのです。
▶虫歯の仕組みについては、次のコラムをご覧ください。 虫歯の仕組み、4つの要因とは?
歯根破折
歯根破折とは、歯の根元が折れたり割れたりする状態のこと。物理的な圧力や虫歯治療で歯の神経を抜いた場合などに起こりやすいです。歯根破折が起こると、細菌に感染しやすくなるため、フィステルの原因となります。
▶歯が欠けた場合の対処法や治療については、次のコラムをご覧ください。 歯が欠けた!少しならそのままでも大丈夫?どれくらいから治療が必要?
歯根嚢胞
歯根嚢胞とは、歯の根元に体のなかにできた病的な袋状のもの(嚢胞)ができた状態のこと。虫歯や外傷によって歯の神経部分が細菌に感染し、歯根の先端や歯根の周辺に感染が広がった状態が慢性化したものです。歯根付近で細菌が繁殖し、炎症が起こることでフィステルが作られます。
歯周病
歯茎に炎症が起こる歯周病がひどくなると、歯ぐきから膿が出てきます。この際、多くの場合、膿は歯周ポケットから出ます。しかし、歯周ポケットが深かったり歯周ポケットの入口が閉じていたりすると、歯周ポケットから膿が出ることができないため、フィステルが作られます。
▶歯周病については次のコラムをご覧ください。 もしかして歯周病?こんな症状に要注意
歯茎にできたニキビのようなものの治療法
歯茎にできたニキビのようなものは指で潰すと消えますが、根本的な治療を行わない限り治ることはありません。治療法としては、歯の根元の治療や嚢胞の手術、抜歯などがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
根管治療
根管治療は、嚢胞が小さい場合に行う治療法です。まず、被せ物や詰め物を外してから、歯の根元をきれいにして無菌状態にします。その後、ニキビのようなものが再発しないよう、歯の根元に薬を詰めて被せ物や詰め物を装着します。
歯根端切除
根管治療ができない場合は、歯茎を切って膿を出す治療を行います。骨を露出させて炎症・感染部位と歯の根元を切除する手術です。治療後、数か月で切除部位が骨に覆われます。
嚢胞開窓術
嚢胞開窓術は、嚢胞の壁の一部分を切除して膿を出す治療法です。手術後、小さくなった嚢胞を摘出することがあります。ただし嚢胞開窓術は、嚢胞が悪化したり再発したりする可能性があるため、治療法として選択されることは少ないでしょう。
意図的再植術
意図的再植術は、根管治療の効果が見られず、歯根端切除ができない場合に行う治療法です。症状のある歯を意図的に抜歯し、歯根端切除と同じように、抜いた歯の病変部などを取り除きます。もろもろの処置を行ったあと、抜いた歯を元の場所に戻します。
▶自身の歯は、抜歯後に移植する「自家歯牙移植」が可能です。自家歯牙移植については次のコラムをご覧ください。 歯の移植はできる?自家歯牙移植について
抜歯
いずれの方法も効果がなかったり、選択できなかったりする場合は、最終手段として抜歯を行います。抜歯後、入れ歯やインプラントなどの治療を行う必要があるでしょう。
▶入れ歯やインプラントについては、次のコラムをご覧<ださい。 インプラントと義歯、どっちにする?メリットとデメリットは?
歯茎にニキビのようなものができたら
歯茎にできたニキビのようなものは、歯の根元に膿がたまっている状態かもしれません。症状が悪化する前に、なるべく早く歯科クリニックを受診することが大切です。
筆者:seeker編集部